俵屋の蕨餅の極みを味わう | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

今の季節、京都では最も蕨餅が美味しい時期だと言ってもいいだろう。

京都の俵屋に泊まられたことがある方はご存じだと思うが、宿泊時最初に宿泊者にだけ蕨餅が出される。

この蕨餅がこの世のものとは思えないほど美味しい。

俵屋に宿泊する楽しみの半分はこの蕨餅にあると言っても過言ではない。

今回は花見のシーズンで俵屋への宿泊は予約でいっぱいで叶えることができなかった。

ところがである。

俵屋の近く(俵屋の前の道を俵屋を左に見て次の十字路を左に曲がってすぐ左側)に俵屋のカフェができ、そこで蕨餅を食べることができるという話を最近聞いた。

俵屋でさえお代わりのできない蕨餅を思う存分に食べることもできるのだ。


早速今回そのカフェへ伺ってみることにした。


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カフェはモダンで明るく京都独特の坪庭が美しい。


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その坪庭の前の席で蕨餅が届くのを待った。

私は煎茶と蕨餅のセットにしてみた。

まず水が出される。


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水の入ったコップと水差しさえここでは計算しつくされた光の射し具合いにより美しく見えてしまう。

しばらくして竹の筒に入った蕨餅が届けられる。


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一口食べて確信した。

まちがいなくその場で作っている正真正銘の本蕨餅である。


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本蕨入りの餅ではない。

箸でつまむとトルコ式のアイスのように伸びるのである。

この本蕨餅は30分以内に食べないと味も形状もすべてが変わってしまうだろう。

したがって、お土産にはできないのである。

一緒に出された煎茶と干菓子も飛びきりのものであった。


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煎茶は玉露に近い上等なかぶせ茶で玉露のように甘みが心地よい。

そして干菓子はこの上なく上質な和三盆でできている。


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蕨餅を食べ終えた後、口の中ですうっと溶けていくのをかぶせ茶と一緒に味わう。

その後、サービスで丹波の立派な黒豆を出してくれた。

ほんのりと甘みがついていて軟らかく旨みがあった。


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至福の一瞬であった。

これだけの上質で手間をかけたものをこの空間でたべることができて2000円は安いと思った。

本物の本蕨餅のことを知っている方ならおわかりかと思うが…

いずれにしてもこのレベルの蕨餅がカフェで食べられるようになったのは日本人として嬉しい限りである。