粟ぜんざいの温もり | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

冬の寒い時期の甘味と言ったら、まず粟ぜんざいが頭に浮かぶ。
その日は少し暖かい日だったがそれでも粟ぜんざいが食べたくなって地元でも定評のある甘味処由はらに粟ぜんざいを食べに訪れた。
この店では備前岡山の最高級品の粟を使っている。
それを絶妙な加減で炊きあげ、こし餡を粟の上にかけて客に出す。


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粟ぜんざいができあがった。
蓋を開けると湯気が立ち上る。
お盆に一緒に載っているのは桜湯である。

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桜湯を少し口に含んだ後、粟ぜんざいに手を伸ばす。
確かに上等の粟である。


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ねばり具合といい風味といい炊き方そのものもさることながら素材そのものの良さを強く感じた。
粟ぜんざいと言えば神田須田町の竹むらが有名だが炊きあがった粟そのものなら私はこの店の方が好きである。
こし餡は素朴で昔ながらの味わいがするものである。
決して雅な味わいではないがそのひなびた味わいがかえってこの粟ぜんざいには合っている。


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粟を美味しく食べることができる甘味であった。
春を間近に迎えもうすぐこの粟ぜんざいも食べられなくなる。
今はこの粟ぜんざいを味わって、時のうつろいをいとおしみたい。