「スイミング・プール」に続く、フランソワ・オゾンの待望の新作。
私の行ける劇場では公開されなかったため、DVDを心待ちにしていた作品。
ふたりの男女が出会い、結婚し、離婚するという、愛の始まりから終わりを、終わりから始まりへと遡りながら語っていくという作品。
この作品を通して、改めて感じたことは、
フランソワ・オゾンという監督は、多くを語らず、しかし、多くを語る監督だ。
ということである。
言葉では多くを語らないが、その沈黙した映像からは多くのことが語られている。
本で言う行間を読む感じだ。
男女の関係というのは、実に難しく、奥が深いということを感じさせられる映画だった。
しかし、大変よくできているなぁと思うのは、出会い、結婚し、出産し、裏切りがあり、そして離婚へと進むふたりのお互いへの感情の変化が、実にうまく表現されている。
愛が消えてしまう過程は、セックスの仕方についてもよく表されており、フランソワ・オゾンはやっぱりすごいな。と思わされた。
そして、夫婦や恋人同士の微妙な不一致というものは、常にどこかにサインが出ており、それは変えられない結末へと導かれていくものであるということを、つくづく感じさせられる作品であった。
とくにおもしろかった!とかよかった!と感じさせられる作品ではないが、男女の関係という複雑なものについて考えてみたいという人にはオススメの一本かもしれない。