昨年の収穫品2つ目です。存在することすら思付かず、実物をみて、こんなものがあるのかと驚くことが偶にありますが、今回は、このケースです。
画像は、南アフリカのイースト・ロンドン(East London, S. Africa)宛のドイツ外国葉書です。消印は、丸形ですが、SEE POSTの文字が見えることから、船内局です。消印の一番下が23、その上に、12 12と見えるので、1923年12月12日で、更に葉書下部に、1923年12月14日、ラス・パルマス(Las Malmas)の消印が押印されています。12 12は薄くて、断定しずらいかもしれませんが、通信文の2行目が、1923年12月11日を示す11-12.23と書き込まれていることからも判断出来ます。 ラス・パルマスは複数ありますが、南アフリカ宛から考えると、モロッコ沖にあるカナリア諸島の ラス・パルマスのようです。消印などを調べれば、確定出来るでしょう。貼られている切手は、1,400万マルクです。実は、これにぴったりと合う料金はありません。一番近いのは、 10月10日から19日までの900万マルクか、 10月20日から31日までの間の1,800万マルクです。とりあえず1,800万マルクと推定します。消印は、12月12日。2カ月近くです。実は、船内局の郵便料金は、いったん、出港すると、本国でどんどん料金が上がっても、料金はそのままでした。値上げしても、船内では新しい切手やお金がないのです。出港時のまま時間が止まったかのようになります。 10月20日から31日までの間に出港時の 1,800万マルクは、 11月1日に1.2億マルク、11月5日に24億マルク、11月12日に240億マルク、11月20日に480億マルク、11月26日に1,920億マルク、12月1日に、2,000億旧マルク=20新ペニヒと本国では、どんどん料金が変わったのですが、1,800万マルクのままで実に、1万分の1より安くなってました。
切手が、1,400万マルクしか貼られてないことについて、考えてみます。注目したいのは、 右端の切手の表面がへげていることです。へげの上に消印が押されているので、押印前からへげていたのは明らかでしょう。船に持ち込む切手は、それほど多くは無く、航海中に切手が足りなくなるのは結構発生していたようです。また外国葉書料金は切りが悪い数字が多いので、細かい料金の切手が足りなくなり、端数を切り上げた使用例を見かけます。そして、2カ月近くの航海で、残っていたのがへげていたのを含めて1,400万マルク分の切手だったのでしょう。このような、時間が止まった船内局の使用例は、5回の郵便料金改正を経て、900万マルクになったもの、5,000分の1の1,800マルクの例が最高です。今回は、6回の郵便料金改正を経て、1万分の1より小さい本例が最高の例となります。更に、1923年12月の使用例は、12月カバーとして、難関として知られています。実際、外国葉書の12月カバーは、収集開始から10年でようやく入手(1つの上がり )したものです。状態に難があるのが、残念ですが、それを言ってたら、入手出来ないものでしょう。更に、南アフリカ宛と珍しい宛先なのも、うれしいものです。存在するとは思わず、画像をみて、びっくりしたものです。それも、1通だけではなく、十数通のロットの中でした。
実は、葉書の裏側の画が、ラス・パルマス(Las Malmas)の風景になっていることが、ちょっと不思議です。 ラス・パルマスに到着する前に、船の中に、 ラス・パルマスの風景入り葉書があったことになるからです。ドイツから目的地へ行くときに、 ラス・パルマスに寄港し、そこで葉書を購入し、更に長期間の航海後、ドイツへ戻る前に、再び ラス・パルマスに近づく前に、書いて出したのを、 ラス・パルマスで降ろされ、南アフリカに送られたのでしょうか。船内局に詳しい方に教えてもらって、もう少し調べてみる必要がありそうです。