
半世紀も生きた作業者には欠かせない、ヘッドルーペ、平たく言うと老眼鏡です。
若い時分には、これ以上は伸びないと思われるほど手を伸ばして新聞を読むオジサンたちが不思議で仕方ありませんでしたが、いざ自分がその不思議の世界に突入してみると、「老い」とはこういうものだったのかと痛切に感じるとともに、受け入れるしかない世界を少しばかり憂うものであります。
画像の老眼鏡は老いの度合いによって、「老い1.25倍」から「老い2.5倍」まで選べるものです。私はまだ軽度の老いのようで、「1.25倍」が心地よく感じます。そして、いずれ訪れるであろうさらなる老いを受け入れるため、2.5倍の老いまで準備しています。
さて、ルーペはこれまで輸入品の安物を使用していましたが、1年も持たずに壊れてしまうので奮発して日本製のものを購入してみました。
東京セイルさんの高級品です。http://www.tokyo-sail.co.jp/item/index/3
ところが、レンズのスタンドがないため、製作することにいたしました。
ここからが本題です。
画像のスタンドはReplicatorで作ったものです。これ一つをプリントするのに約4時間を要します。これまでの経験で、熱溶解積層造形(フィラメント式造形)は画像のようなフラット部分が多い形状が苦手であると認識しています。シンプルな形状なのですが、それが意外と苦手なのです。実は画像のスタンドが出来上がるまでに、都合4回やり直しをしています。原因はReplicatorデータのバグ2回と、単純なフィラメント切れでした。
どちらもノズルからフィラメントが出ないものでしたが、フィラメント切れは残ったフィラメントを取り除くため、ノズル、モーター部分を分解する必要があります。
フィラメント式の造形機にフィラメントを通す作業は、ミシンに糸をセットするようなものと同じと考えますが、ミシン縫いに失敗してミシンを分解したという話はあまり聞きません。掃除機や電子レンジも同じです。いわゆる家電には、使用者が分解整備をするような作業は伴いません。修理が必要な場合にはサービス窓口が柔軟に対応してくれます。
ところが、この手の3Dプリンターは違います。分解が100%必要です。また、以前も書いていますが、プリンターの物理的な側面と、ソフトウェア(Gコード)に関する多少の知識も必要です。無料のソフトウェアにはバグとshimejiに見るような「無許可送信」が必ず付属していますので、用心も必要です。できれば鉛でシールドされた部屋での作業が望ましいでしょう。「タダほど怖いものはない」のです。
というわけで、分解をすると、次の画像のような事故も起こるわけなのです。

モータの冷却ファンを回転させたまま作業を行いましたら、老眼で精度を失った指先が、こともあろうことか、ねじ穴ではなく冷却ファンにレンチを飛び込ませました。老いとは怖いもの知らずでもあるわけです。
分解時には電源は必ず切るようにいたしましょう。
こういった作業を繰り返していると、現状では間違いなく家電にはならないと感じました。
メンテナンスフリーが家電になる絶対条件ではないでしょうか。
ジュエリーのマスターモデルは、分解の必要のない装置で製造しておりますので、ご安心ください。








