日本の理系は説明下手 | 逢茶喫茶σ(・ε・`)逢飯喫飯

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A Counterpoint of the Formless Self and the Omnipotent

Wikipedia 日本語版における科学関連の項目は、


業界人の業界人による業界人のための解説になっているので、


門外漢が何かを調べる際には殆ど役に立たないのではないだろうか。



一方、英語版は非専門家にも分かり易く書かれているので、


英語版に目を通す癖を付けておいた方が無難、と言えそうだ。




具体的に「電荷」を例に検証してみよう、


雑駁に言って、「電荷」とは、素粒子間の相互作用に関わる性質(の一つ)である。


巨視的な視点から説明すれば、物質間に働く力の性質、と言っても良い。




まず、日本語版では、「素粒子が持つ性質の1つである」とだけ簡潔に書かれているが、


それが具体的にどんな性質なのかについては、項目全体を通して全く触れていない。



「素粒子の性質」という一言で、基本相互作用(=力)に関わることだ、と分かるのは、


そういった教育を受けた人物だけだろう。すなわち、解説として用を成していない。



他方、英語版では次のような一文から解説が始まっている。


Electric charge is a physical property of matter that causes it to experience a force


(電荷とは、物質が持つ物理的性質の一つであり、電荷を持つ物質が他に存在するとき、)


when near other electrically charged matter.


(自身に対して力を及ぼすものである)



少なくとも、この解説ならば、


「電荷」とは、とある力の作用に関する性質のことなんだな、と直感的に理解できるだろう。




何というか、日本の理系な人たちは、ギルド的というか、


ある種の特権意識に基づく内向性を有しているような気がする。



外向的な米国の科学者たちとは好対照だが、


日本における理系の扱いが「粗雑」であることを鑑みれば、


内向きで島宇宙化しがちなのも仕方のないことかもしれない。



そもそも、数学を除き、理系分野の学問は、


ある種の「作法」を身に付けることを学習目的としているところがあるので、


基本的な概念や決まり事について疑問を持つことは、原則的に禁じられている。



良く言えば禁欲的だが、悪く言えば反知性主義的、という批判も出来るだろう。


(※勿論、現実を上手く説明できるからこそ、それを問うてはいけないわけだが)



何にしても、自分の知っていることを専門用語を使わずに説明できるに越したことはない。


実際、一流の科学者たちは、自らの専門分野を実に分かり易く説明できるものだ。


それが出来ないということは、少なくとも「一流」ではない、ということを意味しているのかもしれない