「ふるさと納税」の寄付は23年9月末までに済ませた方がいい。 | 太陽会計税理士法人

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 お得感がある「ふるさと納税」は年末が近づくと、注目度が高まる。

 しかし、2023年は9月末までに寄付を済ませた方がいいだろう。

 総務省がルールを変更した影響で、「返礼品の質の低下」や「選択肢の減少」などが予想されるためだ。  

 間もなく9月を迎え、2023年は3分の2が終わったことになる。

 年末が近くなるとふるさと納税の“駆け込み寄付”が増えるが、できれば9月末までに済ませた方がいい。

 ふるさと納税の寄付を受け入れる地方自治体に対して、総務省がこれまでのルールを変更したからだ。  

 地方自治体は総務省の定めに基づいた返礼品を用意する必要があり、違反した場合はふるさと納税の仕組みに参加できない。

 違反して“排除”された自治体は実際にあり、強制力を伴ったものだ。  

 この新しいルールによって生まれる“悪影響”が、「返礼品の質の低下」や「選択肢の減少」などだ。

 まず1つ目については、自治体の必要経費に算入される費用が増加することに起因する。

 これまで、自治体は返礼品を以下の範囲で提供する必要があった。 

 

 【自治体がかけられる返礼品コストには上限がある】 

 返礼品・発送費・ふるさと納税ポータルサイトに支払う手数料・その他必要経費  

  →寄付金額の50%以下  

 

 上記のうち返礼品

  →寄付金額の30%以下  

 

 そして、23年10月以降は必要経費に以下も含まれることになった。 

 【新たに算入される必要経費】 

 ・寄付金受領証の発行費用および発送費用 

 ・ワンストップ特例事務の費用 

 ・その他の付随費用  

 

これまでの返礼品は寄付金額の30%までとされていて、多くの寄付を集めるために、30%の“枠”を目いっぱい使っていた自治体が多かったと推察される。

 そのため、残り20%で返礼品以外のコストをまかなう必要があったが、上記の通り、必要経費の上昇が見込まれるため、返礼品に寄付金額の30%を充てられなくなる自治体が続出する可能性がある。

 つまり結果として、返礼品の質・量の低下、もしくは寄付金額の上昇が予想されるのだ。  

 

 なお、「訳あり返礼品」はもともと量が多めにあるケースが珍しくなく、お得度は23年9月末までに比べれば見劣りする可能性はあるものの、引き続き、有力な選択肢になるのではないか。

 ふるさと納税ポータルサイトで「賞味期限・消費期限間近」「傷あり・傷もの」「ふぞろい・規格外」と検索してみるのも手だ。

 

姿を消す地場産品はこれだ

 2つ目の選択肢の減少も、消費者にとって分かりやすい“改悪”だ。

 ふるさと納税の返礼品は、当該自治体の事業者が携わっている地場産品であることが求められ、その条件が23年10月から厳しくなる。

 「地場産」の定義は細部では議論が生じるが、今回、総務省は下記をアウトとした。 

 【こんな地場産品はアウトになる】 

 ・寄付先の自治体が属する都道府県を産地としない原材料を使った熟成肉、精米 

 ・首都圏など他エリアの飲食店で使えるグルメポイント 

 ・誰でも受講できるオンラインレッスン 

 ・寄付先の自治体以外で生産され、文字や色、パッケージなどを変えたり、加えたりしただけの家電や各種グッズなど 

 ・他の地域の品とセットにしたもので、地場産品が寄付金の7割未満  

 

 23年10月からは例えば他県産の肉を熟成させたり、他県から仕入れて精米したりしたものは返礼品にできない。

 目当ての返礼品が上記リストに該当するなら、最後のチャンスだ。23年9月までに寄付しよう。

 ただし、1~12月の年間所得で寄付の限度額は変わるため、9月以降の将来分について多く見積もってその上限まで寄付すると、結果的にお得度が下がるので注意しよう。  

 

 なお、ロシア産ズワイガニやノルウェー産サーモン、米国で育った牛のたんなども、「自治体の関与は加工のみのためNG」などとして総務省が規制する可能性はゼロではないと私は考えている。

 今後、これらを返礼品とする自治体に寄付するかどうか迷うなら、寄付した方が無難という考え方もあるだろう。 

 

 ●お得な制度ながら、利用率は低調  

 ふるさと納税は任意の地方自治体に寄付する仕組みで、消費者目線では多様な返礼品を実質自己負担2000円で受け取れるのが魅力だ。

 年間寄付金額のうち自己負担は2000円のみで、残りは住民税所得税から控除される(自己負担が2000円に収まる寄付の限度額は所得によって異なる)。  

 

 「納税」「寄付」と聞くと面倒そうに感じるかもしれないが、ポータルサイトを使った一連の手続きはネット通販サイトで買い物をするのとほぼ同じ感覚で済ませられる。

 

 また寄付先の自治体が5つ以下ならワンストップ制度を利用でき、確定申告は不要だ。  

 ふるさと納税は08年から始まった制度だが、現在の利用率は日本全体で14.9%と低い(ふるさと納税比較サイト「ふるさと納税ガイド」調べ、23年8月発表)。お得度は高いので利用を積極的に検討するといいだろう。

 

 

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