水不足を解決する若きサムライ

日経地方創生フォーラム①

amebaブログで知った地方創生フォーラムに参加しました。このフォーラムは最近オープンした東京ミッドタウン八重洲の4階で、3日間に渡って実施されました。オンラインでも視聴できたのですが、東京ミッドタウン八重洲のビルを見てみたいという気持ちがあって、八重洲までへ行きました。

 

ミッドタウン八重洲は東京駅八重洲口の向かい側にあります。八重洲口付近を歩くのは久しぶりでしたが、様子が随分と変わっていました。現在、ミッドタウン八重洲の横のビルも工事中であり、まだまだ変化しそうです。

 

今回のフォーラムは1日目(2023/10/11)が「観光」2日目が「官民連携と共創」3日目が「事業創造と事業承継」というタイトルが付いています。三日間で約60人が登壇され、プレゼンテーションやセッションが実施されました。その中で、最も印象的で感銘を受けたのは2日目に登壇した高野雅彰氏(DG TAKANO代表取締役)です。

 

高野さんの父親は東大阪の町工場の社長で、ガス関連の部品を製造しています。その技術力は世界一を争うほどの優れたものだそうですが、作っている製品の単価は安く、事業経営は厳しいとのこと。高野さんは父の会社を継ぐのではなく、技術を受け継いで、自ら新しい会社を設立しました。

 

世界的な技術力を生かして、世界的な問題を解決したい、と考えた高野さんは、節水率を高める画期的なノズルを開発します。Bubble90という製品名で、洗浄力を維持しつつ95%節水するというもので、水をマシンガンのように玉で飛ばして汚れを直撃する、「脈動流」を起こすノズルです。通常は専用のポンプを電気で動かさないと作れない脈動流を、小さなノズルと水圧だけで作り出した画期的なものだとのこと。

 

 

さらに高野さんは水だけで簡単に汚れが落ちる食器を開発します。meliordesignというブランドで一般に販売しています。これは、ナノテクノロジーを用いて、食器の表面を改質することで、水だけで油汚れや口紅などの落ちにくい汚れをあっという間に落としてしまう、洗剤要らずのハイテク食器です。

 

 

汚れが直ちに落とせるので水の節水(水不足問題解決)、時間の節約(労働負荷の減少)、洗剤不要(下水処理の軽減に寄与)、食器洗い機不要(省エネルギーに寄与)と、様々な問題解決に寄与するwin-winの製品です。Bubble90とmeliordesignを組み合わせることで、極めて大きな節水効果が得られることになります。

 

日本は水に恵まれた国なので、水不足問題と言われても実感の湧かない人も多いと思われます。しかし、砂漠の国である中東の人々にとって、水は極めて貴重な資源です。高野さんは、西村経済産業大臣と共に、サウジアラビア、レバノン、ヨルダンなどへ行き、先方の大臣などへトップセールスし、自社製品をアピールしたそうです。プレゼンの場で、西村大臣と一緒に写った写真等を見せてもらいました。

 

高野さんは、デザインの力を強調されていました。アップルやテスラが優れているのは、技術力だけでなく、デザイン力が優れているからだ、と主張されています。日本の中小企業は世界的に優れた技術を持っているとよく言われます。しかし、技術力だけでは勝てません。マーケティングやファイナンス、そして持てる技術を使って、いかにして世界の問題を解決するか、というデザイン力が重要だ、と高野さんは訴えていました。日本の企業に不足している部分だと感じます。

 

プレゼンテーションを聞いて思いました。高野雅彰氏は日本の宝、将来、スティーブ・ジョブズ、ラリーペイジ、ジェフベゾス、イーロンマスクといった起業家たちに伍する事業家になるかもしれません。若き日本のサムライを応援しましょう。