99. White Nights | BACKUP 2024

BACKUP 2024

備忘録

 

 

 

この盤はかつて違うジャケットで出て売れず、幻盤となっていた。
その後この形で澤野商会から再発された。
そうしたところ、女性にも受け売り上げが伸びた。
ジャケットが可愛いと言って、これを買っていく女性がいるらしい。不思議な話だ。
だが、前のジャケットを見た事があり、パッとしない風景写真だったのは事実である。
ジャケットは大事。それを証明するエピソードとなった。

本作が録音されて既に30年が経過している。
ビーナスレコードにおけるエディ・ヒギンズ同様、ウラジミール・シャフラノフは澤野の看板ピアニストとなっていた。
二人は日本で売れたという以外に少しも似ていないが、自分のカラーをより濃く持っているのはヒギンズである。一聴ヒギンズであると誰にでもわかる。
シャフラノフをブラインドで当てる自信は、はっきり言って私にはない。
とは言え、シャフラノフが自分のスタイルを持っていないかと言えば、そんなことはない。
両者を比べるとシャフラノフの方がやや先鋭的である、つまり少し判り辛いというだけで、むしろいつも変わらないのはシャフラノフの方かもしれない。
私にとって彼を選択するポイントがあるとすれば二つしかない。
それは、好みの曲をやっているか。
そして音質が良いか。
それだけだ。

日本で多少売れたが、彼が世界的なビッグネームになった事実は今のところない。
この点ではヒギンズも同様だが、この二人に限らず新たなジャズジャイアントはもう誕生しないだろう。
ウィントン・マルサリスが最後だと思う。