『剣客商売 雨の鈴鹿川』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

一旦3時半に目覚めたがすぐ眠れ、今朝は7時半に起きた。

朝食は昨夜スーパーで半額やった納豆細巻きとかんぴょう細巻き。デザートは栃木産とちあいか。

熊谷泰昌→井上祐一→片倉真由子→西直樹→上原ひろみと、これ迄ライブ聴いとるピアニストをユーチューブで聴いた。

昼食は裏浅草「ダイニング宇田川」へ行った。日替わりランチのチキン南蛮と豚肉生姜焼きを注文。スープ、ご飯が付いて1000円也。やはり豚肉生姜焼きの味が3年8ヵ月お付き合いいただいた御方のつくったもんに似とるがな。

浅草を散歩後、郵便局で金下ろし、スーパーで食料買うて帰宅。

風呂に一時間浸り考えとった。円安が加速しとって対ドル154円になってもた。インバウンド消費の方は順調やろが、輸入依存の会社は経営苦しくなっとり倒産も増えとる。先週、一緒に桜見した後で酒飲んだEI君は159円迄はあるやろと云うとったが。

田中裕士→渋谷毅→ユキ・アリマサ→アキコ・グレースと、これ迄ライブ聴いとるピアニストをユーチューブで聴いた。

友人達にメール送付した。

曙太郎が心不全で亡くなった。54歳の若さやった。合掌。

 

 

池波正太郎の「剣客商売」の第一巻の第五話『雨の鈴鹿川』を読んだ。

秋山大治郎が、卑怯な手により命を落とした嶋岡礼蔵の遺髪と父小兵衛の手紙を携え礼蔵の実兄居る大和芝村へ行った帰り道の話なんですわ。

雨が本降りになっとったので、大治郎は東海道の関の宿場にある旅籠に草鞋脱いだんやが、事情ありそな男女が襖一つを隔てた隣室に泊まっとった。

その晩、大治郎は隣室の烈しい交わりで眠りを破られた。その男女は、憎しみ合い罵り合いながらも肉体の喜びに没頭し、溺れ漂うとる様子。

翌日、大治郎は嘗て修業をしとった辻平右衛門のもとで嶋岡礼蔵と昼夜稽古しとった井上八郎に出逢うた。今の八郎は五十近い小肥りやが、三十五歳の時、彦根藩の上役と喧嘩し、右腕の骨を叩き折ってしまったんを咎められて藩を追放されとった。

浪人となって見すぼらしい姿の井上八郎は、敵持ちになっとる恩義ある知り合いの息子の助太刀をする為に匿われとる桑名に向かう云いますんや。その話を聞いて、大治郎は共に桑名へと向かうんや。

その恩義ある知合い後藤与兵衛の息子ちゅうのが後藤伊織で、取るに足らぬ事を一々とり上げて辛く当たる上役天野半兵衛を斬殺し、彦根藩の江戸屋敷を脱走しとった。

敵討ちに向かうたんが天野半兵衛の弟兵馬と半兵衛の妻の千代なんや。兵馬は念流の使い手で相当な腕なんですわ。

兵馬は亡き兄の跡目を継ぐ為、何としても後藤伊織を討ち果たさぬといかんのや。

井上八郎と大治郎は桑名で隠れ暮らす後藤伊織と会うた。二十七歳になる伊織は老けて見えるが中々の美男子や。

伊織の話す事によれば、上役天野半兵衛が辛く当たったのは妻に絡む嫉妬にあるようなんや。

大治郎が関の宿場で伊織と八郎に天野兵馬と千代らしきもんを見掛けたと伝えると、伊織の顔から見る見る血の気が引いて行ったわ。危機が差し迫っとった。

大治郎は井上八郎と行動共にするんやが。

[(どうして、このようなことになってしまったのか・・・・?)

自分でも、まくわからぬ。

強いていえば、好ましい旧知の人である井上八郎の、古めかしいが恩誼と義理をまもりぬくため、あえて敵もちの救援を買って出た、その心意気を、

(おれは、見すごせなくなってきたのだろうか・・・・?)

そして、後藤伊織のためにではなく、井上八郎のために、

(おれは、助成しようとしているのではないか・・・・)]

大治郎はこうも考えるんや。

[父の秋山小兵衛なら、こうしたことを、

(事もなげに・・・)

解決してしまうにちがいない。

老塾した小兵衛の思案は、おのれでおのれのこころのうごきまでも、操作することが可能であった。

自分がしてよいこと、しなくてもよいことが、たちどころにわかり、すぐさま行動へ移すことができる。

「年をとるとな、若いときのように手足はきかぬ。なれどそのかわり、世の中を見る眼がぴたりと定まり、若いころのように思い迷うことがなくなる。これが年の功というやつで、若いころにはおもってもみなかった気楽さがあるものよ」

と、いつか小兵衛が大治郎に語ったこともあった。]

井上八郎は、後藤伊織を亡き老師が買い取り住んどった大原の里の屋敷に隠そうと出立する。そして、こころが定まった大治郎も付いて行きますんや。

庄野の役場へ近づいた頃、遂に鈴鹿川沿いの街道の竹藪や堤下に伏せとった男達が抜刀して駆け寄って来たわ。

大治郎が五人の内の四人の脚に傷負わせた。

井上八郎は、肩と胸へ傷負うたものの天野兵馬を斬って倒した。

事件の一ヵ月後、江戸へ帰って来た大治郎、父小兵衛に報告へ訪れたが、父からおはるを後添いとして結婚する意思示されるんや。

大治郎「そ、それは・・・・父上の好き勝手に・・・」

台所から飛び出して来たおはる「ありがとうございますよ、若先生」

憮然とする大治郎やった。