チチ | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

目覚めず眠れたが、Eみさんに連れまわされる夢見て今朝は5時半に起きた。右肩痛し。

「明朝皇伝~大王への道~」第1話をギャオで見てみた。ユエン・ビンイエン、可愛いがな。しかし、明には弘治帝しかまともな皇帝は居らんのやろなあ。

朝食は昨夜スーパーで4割引きやった巻き寿司盛り合わせ。デザートはカゼリSPヨーグルト。

ホレス・シルヴァーのアルバム「ソング・フォー・マイ・ファーザー」をレコードで聴いた。ホレスの演奏はEみさん好きやったな。

キッチンシンクを掃除した。

青木弘武→清水くるみ→クリヤマコト→石田衛とこれ迄ライブ聴いとるピアニストをユーチューブで聴いた。

昼食も昨夜スーパーで4割引きやった稲荷寿司詰め合わせ。デザートはチーズケーキ。

「趙氏孤児」第3話をギャオで見た。ええ役者達揃えとるし、ここ迄は脚本もええ。

清水靖晃→本多俊之とサックス演奏をユーチューブで聴いた。

上野へ散歩に出掛けたんやが、白穂乃香を飲みとうなり「銀座ライオン 上野西郷会館店」に入って早目の夕食。白穂乃香を飲み干し、肉食うとったら眠気が・・苦味強めのエーデルピルスを頼み飲んどったら覚めた。

帰宅後、ジャスミン茶を飲んだ。

Eみさんを遣り込めた時のメモを捜したんやけどが見つからぬ。代わりに出て来たメモを写しますわ。

 

 

つくって持って来たカクテルをEみさんと飲もうとリュックサックから出すべく中に手入れようるとした時、彼女がまじまじとワテの目を見詰めるやないかい。

何か話を切り出そうとしとるに違いないが、どうも嫌な予感がする、ここは牽制しといた方がええなと思うた。

「その目、もしかして、また神経逆撫でする事云うつもりやないの?」

「目は云わないでしょ。喋るのは口だね」

「目は口程に物を云う。やはり神経逆撫でしよとしとるんや」

「違うょ。しないね」

「忠告しとくが、悪態ついとると嫌われて気づいた時には周りに誰も居なくなってまうでえ」ともう一つ牽制した。

「大丈夫だょ、悪態をつくのはS吉だけにしてるから」

「あかんやろ、それではワテが大丈夫やない」

「分かんないかなぁ、本当に信じられる人にだけって事さ。光栄でしょ」

{よう云うわ}と思いつつ「面と向かって悪態つかれとうない」

「面と向かってじゃなければいいのかぁ。次は後ろ向きで云うょ」

「相変わらずああ云えばこう云う不埒さやな」

「そんな事より聞きたい事があるの」

身構えながら云うた。「何やの、また温泉に連れて行けとかおねだりやったら認めまへんでえ」

「しないね、今日は」

「今日だけやなく明日も明後日もおねだりは断固認めまへん」

「そんな強い口調で云わなくてもいいのにぃ。聞きたいのは、今朝見た夢の事だね」

「今朝の夢は何やったかなあ」と首捻った。

「S吉のじゃないょ」

「そうかお前様の夢ね、また夢の話したいんか」

おねだりやなくてちょっち安心したワテやった。

「何か胸撫で下ろしてるねぇ」

{やはり観察眼鋭いな}と思いつつ「それで、どないなの見たんや?」

「今日の夢で大きな鶴さんが現れてくちばし近づけて来たの。呆気に取られているとくちばしであっちこっち突つかれてしまったんだょ。鶴って御目出度い象徴でしょ。けど、突かれてしまったの。それって不吉な事が起こる前触れかなぁ?どう思う?」

「鶴って、タンチョウヅルとかか?」

「そう、美しいタンチョウヅルに突かれたの。痛かったんだ~」

「ま、鼠にかじられるよりはよっぽどええわな」

「鼠!かじられたら伝染病に罹るょ」

Eみさんは両手を腕に置きブルブル身震いした。

「そやから、鶴ならよかったんやない」

「鼠やゴキブリが現れて襲われてしまう夢よりは鶴さんに突かれる方がいいけど」

「しかし何でまた鶴が出て来たんや?」

「こっちが尋ねたいたの」

「この前は狐に化かされる夢見とったが、今度は鶴か。お前様に何かしら問題あるから、またからかわれたんやな。そやさかい」

ワテが云い終えない内に、Eみさんは早口で云うた。「先週陽気な狐さんが現れたのは、寝る前にS吉が自分に似てる狐さんの話を長くしたからでしょ。問題は君にあるね」

「ワテに似たなんて一言も云うとらん」

「いじわるな鶴さんが現れたのもS吉が原因かなぁ?」と首傾げるEみさん。

{お前様の普段の行いがあかんからに決まっとる}と思うたものの、それは口にせず「ワテは鶴の話なんかしとらんでえ。近頃見たテレビに出て来たとかやないの?」

「見てないょ」

「最近読んだ童話に鶴が出て来たとか」

「読んでない」

「鶴は千年。長寿の象徴やさかい長生き出来るちゅうええ夢なんやないの」

「でも突かれたんだょ」

ワテは両手を合わせて唱えた。「鶴亀鶴亀」

「いい夢見たいのにぃ、この頃のはS吉に似たいじわるな動物が現れたり、S吉に冷たくされるとか、辛いものばかりだょ」

「夢の中でさえワテは優しいはずや」

「目が覚めてても優しくないね」

そこでワテ、「そないな事云うコにはこれ飲ません」云うて、リュックサックから2ℓペットボトルに入れたチチを取り出した。

腰浮かせたEみさん「あ、カクテルかなぁ?ミルキィな色だね」

「チチですわ」

「やだぁ」

「何か勘違いしとるな。チチとは米国の俗語で粋なちゅう意味なんや」

「感違いは君だょ。お父さんと思ったの」

「そうか?」と語尾を上げて云い、「ふう~ん」に疑うとるニュアンスを出した。続けて、「「父帰る」は菊池寛が書いとる小説や」

彼女は駄洒落を無視し、ペットボトルの中身を繁々見とった。

「何が入ってるカクテルなの?」

「ウォッカにパイナップルジュースとココナッツミルクを混ぜとる」

「ウォッカは透明だから、それはココナッツミルクとパイナップルジュースを混ぜた色なのか」

「グラスと氷を用意してや」

Eみさんは微笑むと、すぐに氷を入れたグラスを用意しワテと自分の前に置いた。

ワテは注ぎながら云うた。「本来ならクラッシュドアイスを入れるんやけどな」

「冷えれば同じだょ」

「相変わらず実際的やな」

グラス持ち上げ云うた。「ほな乾杯しよう」

Eみさんも目の高さにグラスを持った。

「ほな、お前様がええ夢見られますように、乾杯」

「S吉が夢の中でも起きてても優しくしてくれますように、乾杯」

{我が儘なコがよう云うわ}と思いつつ「ええバランスの出来やろ」

「口当たりいいね」

そう何度か云いながらEみさん、「チチをお代わり」云うてワテに何度も注がせカポカポ飲んだ。

「それだけ飲めば、今夜はええ夢見られそうやろ」

「いい夢見られなかったら、S吉が取ってくれる責任はどんなかなぁ。鰻かな?シャンパンかな?」

ワテは伸ばして触れたペットボトルから手を戻し、溜息吐いた。

「お前様が荒々しい振る舞いするタンチョウヅルに見えて来たがな」