『雀の森の異常な夜』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

深夜2時半に一旦目覚め、今朝は6時ちょっち前に烏共の鳴き声で起きたが、くしゃみ3連発。

アート・ファーマーのアルバム「オン・ザ・ロード」をレコードで聴いた。

朝食は茨城産あきたこまちでご飯炊き、くめ納豆、紀州産梅干しで二膳。デザートはプロビオR-1ヨーグルト。

「趙氏孤児」第9話をギャオで見た。

クリスチャン・スコット→マティアス・アイク→ライアン・カイザーとトランペット演奏をユーチューブで聴いた。

筋トレ20分した。

昼食を蔵前「ビストロ モンペリエ」でと思うたが9日迄休業。駒形「チッチョ タマヤ」へ行き、注文したのはキッシュ、鹿肉ボロネーゼのラザニア。パン、コーヒーが付いて1000円也。

満足して店を出て、スーパーに寄って食料買うて帰宅。

風呂に小一時間浸り考えとった。プーチンロシアが入国禁止日本人リストを発表したが、「ウラジミール、君と僕は同じ未来を見ている」云うた安倍晋三が入ってなかった。橋下徹も挙がってなかったがな。

「聴雪楼」可愛いユエン・ビンイエンを見たくて第1話だけやなく第2話もギャオで見たが、第2話で登場した彼女はイメージとちゃうなあ。

友人にメール送付した。

牛乳飲みながら辻井伸行のピアノ演奏をユーチューブで聴いた。やはり、彼の演奏聴くと心洗われるわな。

夕食はカナダ産豚肉、茨城産韮、千葉産人参、長野産ぶなしめじをタジン鍋で蒸して食うた。デザートはグレープフルーツ入れたヨーグルト。

ラジオ「テイスト・オブ・ジャズ」を聴いた。ゲストは岸のりこ。ラテンのベテラン歌手やが、知らんかった。

 

 

東川篤哉の「はやく名探偵になりたい」に収録されとる『雀の森の異常な夜』を読んだ。

なぜ読んだかちゅうと、それは一昨日、上野の東京国立博物館に8日迄の「空也上人と六波羅蜜寺」観にやって来たウーさんと彼が云うには三年振りに酒飲んだからや。ワテなんか空也ちゅうたら思い浮かべるのは旨い最中なのに、彼は上人の立像拝まなならんとわざわざ黄金週間に来ましたんや。そして、酒酌み交わし話は読んどる作家になったんやが、彼が今読んどるのは東川篤哉なんやて。

ウーさんによれば、東川篤哉は「ミステリー小説読まないあなたでも軽く楽しく読めるはず」ちゅうねん。「軽く楽しく」ええね、と読むスタミナ無いワテも読んでみるつもりになりましたんや。

東川篤哉は「謎解きはディナーのあとで」で有名になった作家だそうな。その作品名、何か聞いた事がある、と思うたら、テレビドラマ化されとる云いいますんや。ワテ、テレビ持っとらんのですわ、云うたら、映画にもなっとる云う。

そうか、近年珍しく金ガッポリ稼いどる作家なんやと思うた。「ワテが東川のミステリーを戦術的に読み解いてみますわ」云うたら、ウーさんに笑われたがな。

さて、『雀の森の異常な夜』は、私立探偵のうっかりではなく迂回でもない鵜飼杜夫とその弟子である探偵見習の怒ると帽子叩きつける上島竜兵やなくて戸村流平の師弟の交わり、特に海風が吹きすさぶ崖の上の交わりを描いてほのぼのとするミステリーやった。

しかし案山子、流れる平ちゅう名前を付けた父だか母だか祖父はどないなつもりやったやろか?リュウヘイと名付けたいんならやはり竜兵とか隆兵とかやろ。

兎も角、いかがわしい烏賊川市は、とある月明かりの夜や。

そのとある夜に「雀屋」の豪邸ある通称雀の森に居ったんが明日の名探偵を夢見る勤労青年の戸村流平ですわ。19歳の箱入り娘絵理に誘われた流平は満月の下、西園寺家の広大な敷地にふたりで居って、やれるかもと鼻の下をビロ~ンと長くしとったんやけど、西園寺庄三が消えて流平の不埒な妄想も呆気なく消え失せたがな。

ちゅう訳で、流平は支障やない師匠を呼んだ。「トラブル大歓迎」を看板に掲げる私立探偵の鵜飼杜夫はラーメン屋の出前の恰好でやって来た、午前三時に。本人は念入りに変装して来たつもりらしい。そないな時刻に来るんは泥棒強盗の類しか居らん。ギリギリかかりつけ医ないし産婆や。そやから、ここは産婆に女装して来るべきやったがな。♫みんなみんなおいで踊ろう 夜も昼間もつづくア~ア 瞳潤む炎 赤い赤い月の下で♬と「マツケンサンバ」歌いながらな。

[流平は雀の森で自分が目撃したことの一部始終を話して聞かせた。最初、興味なさげに聞いていた鵜飼も、話が核心に迫るにつれ、探偵としての職業意識を刺激されたらしい。徐々に顔つきにも真剣さが満ち、ついには身を乗り出すような姿勢に変わった。

やがて流平の話が一段落すると、鵜飼はそのあまりに悲惨な結末に愕然としたかのように、「なんてことだ」と呻きながら両手で顔を覆った。

「信じられん、なにもナシかよ!深夜にかわいいこちゃんと暗い森の中で二人っきりだってのに、そのザマか!恰好つけてないでガーッといきたまえ、ガーッと!」

「そこに興味を持たなくていいんです!」まあ、そこに興味を持つのが鵜飼だが。「それより事件ですよ事件。いまの話、凶悪事件の匂いがするでしょ」

あらためて流平が聞くと、鵜飼もようやく探偵の顔になって真面目に答えた。

「なるほど、確かになかなか面白い話ではあるね。で、君と絵理さんは、その後どうしたんだい?逃げた謎の人物を走って追いかけたとか?」

「まさか。もちろん僕らは走ってこの屋敷に戻りました。そして、たったいま見たばかりの出来事を、屋敷の他の人たちに伝えたんです。最初、西園寺家の人たちは半信半疑のようでしたね。しかし、離れにある庄三さんの寝室を確認したとき、みんなの顔色が変わりました。寝室はもぬけの殻で、ベッドも冷たいままでした。決定的だったのは、裏門の傍に庄三さんの車椅子が転がっていたことです。ええ、文字どおり、転がって横倒しの状態だったんです。まるで誰かが車椅子を乱暴に裏門から敷地の中に放り込んだかのように」]

鵜飼が来た時点では、単に弟子の呼び出しやったからただ働きになるんかもと思うたが、西園寺花代から正式な依頼の言葉があったんで商売となったんですわ。深夜割増料金取れたやろか?

さあ、事件を解決するのは探偵である。解決してこその探偵である。

まだ見習いの流平は先入観に囚われるところがあり注意力秋刀魚であるから、事件を見極め難い。勘違いに乗じて語られた偽りの証言に騙されてまうのやった。

容疑者は豪邸に居った、庄三の長女西園寺花代、西園寺家に長年仕える住み込みの家政婦高田朝子、「雀屋」社長で花代の夫である西園寺輝夫、花代の弟西園寺和彦、花代の下の弟西園寺圭介ちゅう事になる、一応、取り敢えず。

鵜飼がどのように事件を解いたんかは記さずにおく。なんせ昔、大学時代からの友Nちゃんが読み出したミステリーをたまたまワテも読んどって口滑らせ謎解きしてもうて、こっぴどく叱られた事があるさかいな。振り返ってみると、それ以来ミステリーを読まなくなったような気もする。

ソ連にしても、探偵は難儀な商売ですわ。弟子とはいえ午前三時に呼び出されるんやからな。産婦人科医と産婆、それに探偵は寝不足を覚悟せなならんのか。だから、世の中から産婦人科医と産婆と探偵は少なくなっとるんやね。