『髪結い伊三次捕物余話 俯かず』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

一旦2時半に目覚め、また寝て今朝は7時ちょっち前に右肩の痛みで起きた。

朝食は北海道産蕎麦を新潟産エリンギと茹でて、七味唐辛子振って食うた。デザートはチーズケーキ。

「聴雪楼」第16話をギャオで見た。

田中菜緒子→片岡真由子→早川泰子→大林武司とこれ迄ライブで聴いとるピア二ストをユーチューブで聴いた。

昼食に上野「ラ サエッタ」へ行ったら閉まっとるやないの。和食の気分やなかったさかい駄目元で「ブラッスリーレカン」へ行ったら空いとったがな。注文したのはAランチ。今日は魚料理を選び、前菜はスモークサーモンと野菜のテリーヌ。メインは黒ムツのポワレ バルサミコソース。パン、デセールにクレーム キャラメル、コーヒーが付いて2500円也。

満足して店を出て、スーパーに寄ってアイスクリーム買うて帰宅。

アイスクリーム食い、風呂に小一時間浸り考えとった。小学校で綽名や呼び捨てを禁止し、さん付けを求める学校が増えとるんやそうな。余りに単純で思考力乏しく指導力無いセンセが増えとるんやろ。そんなセンセ達には、生徒からどないな綽名が付けられとるのやら。

グレープフルーツジュース飲みながらサラ・ヴォーンのアルバム「アイ・ラブ・ブラジル」をレコードで聴いた。

 

 

宇江佐真理の連作短編小説シリーズ髪結い伊三次捕物余話「名もなき日々を」から最初の『俯かず』を読んだ。

サイさんお薦めの作家宇江佐真理を読んだのは初めてや。彼のお薦めの佐伯泰英を二冊読んでみたが詰まらんで二冊共読み切らんかった、そない云うてはあかんな、ワテには合わんかったんで、サイさんとは作家の趣味がちゃうと思うて宇江佐真理を読まずに居ったんやが、先般会うて読んどる本の話したオーさんも宇江佐真理はええ云いますねん。髪結い伊三次捕物余話を読んでみてと云いますねん。

『俯かず』はタイトルからして、多分誰かが俯かざるを得ない失態してまい落ち込んどるが、周囲の善なる者に励まされ、俯かぬようにしよちゅう心構えになる物語なんやろと思うたが、遠からぬもんやった。

落ち込んどるのは不破龍之進。北町奉行所の定廻り同心や。捕吏の先導として博打の摘発に行ったんやけど、思い込みがあり場所を間違えた。本所相生町やなくて神田相生町やったんや。気がはやり確認を疎かにしたが為のしくじりや。

それから急ぎ神田相生町へ向かったものの、手入れ情報が回ったらしく問題の商家には人っ子一人居らんかった。

龍之進は義理の弟である見習い同心笹岡小平太から確認した方がええと云われとっただけに穴があったら入りたい。皆に顔向けが出来ず翌日は休みですわ。

父友之進は倅の不始末を詫びて回る事になる。

そして、髪結いの伊三次も俯く事になんねん。永代橋の中央辺りで若者達の諍いの仲裁に入ったんやが、その間に欄干の傍に置いた商売道具の入った台箱が消えとったんや。まるで手足をもがれたように伊三次の気持ちは重く沈んだがな。

けど、話を聞いた娘のお吉が同業の伯父から古い台箱を借りて来るんや。孝行娘ですわ。日本橋で芸者続けとる母お文も感激させた。

後に無くなった台箱は出て来る。台箱に気づいた人が自身番に届けとったんや。伊三次にとっては小さな親切が大きなお世話やったが。

斯様に、俯かざるを得ない状況になっても、その周りに本人の人柄を認め気遣ってくれたりする人達が居るのがこの物語や。

このシリーズ、髪結い伊三次が専ら主役を張り、怪事件に立ち向かい鮮やかに解決する捕物物語とはちゃうようや。それにちょっち戸惑うた。

彼が小者を務める北町奉行所臨時廻り同心不破友之進やその息子龍之進なんかも主役級の役割を果たすようや。人の関わり合い描いた人情物らしいわ。

まだ一話しか読んどらんが、一言で云えば女性作家らしさ濃い小説や思うた。

オーさんは、宇江佐真理の小説は和三盆糖でつくられた和菓子なんやと云う。