「キリン一番搾り生ビール」 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

EI君と関西へ行く夢を見た今朝は8時ちょっち前に起きた。

令和初の松の内も最終日やさかい、朝食は切り餅三つに海苔巻いて食うた。デザートは愛媛産みかん2個。

「皇貴妃の宮廷」第32話をギャオで見たが、董小苑役のホウ・モンヤオの笑顔めっちゃええ。

ハンプトン・ホーズ→シダー・ウォルトン→モンティ・アレキサンダー→ハンク・ジョーンズとピアニストをユーチューブで聴いた。

昼食は馬道通り「ブラカリ」へ歩き、いつものパスタセットを頼んで、無農薬ルッコラとからすみパウダーのスパゲッティを選んだ。サラダとバゲットとフォカッチャにコーヒー付いて1320円也。

満足して店出たが、帰宅途中で雨降り出した。

風呂に小一時間入って考えとった。カルロス・ゴーンのレバノン逃亡で、プライベートジェット持てる大金持ちなら我が国空港でX線検査がされずに金でも銃でも違法薬物でも機内に持ち込み出来る可能性あるんやなあ。

「美人心計~一人の妃と二人の皇帝~」第3話をギャオで見た。「明哲保身が宮中の掟」ちゅう台詞を悪逆非道な呂雉に云わせると説得力が半端ないわな。

グレープフルーツジュース飲みながら東京キネマ・ジャズトリオのCD「ジャズ・シネマ・ノスタルジア」を聴いた。

夕食は半田麺を茨城産ほうれん草と茹でて食うた。デザートは熊本産トマト。

ほな、メモ書きからEみさんとRちゃんとの遣り取りの続きですわ。

 

 

Rちゃん、どないな言葉を発しよか考えあぐねとる様子やった。

「そんな事云うてはRちゃんが困るやろ。ワテには何の落ち度も無いんやさかい」

「どうよ、この態度。泣いてやる」

Eみさん、また泣いとる声出した。

堪らず云うたがな。「正月早々、泣き真似は止めたらどうや」

「真似じゃないから。不届き者の態度に美しい涙が零れてるんだね~」と云い、Eみさんは手で顔を覆った儘更に大きく泣き声出した。

そうするとほんまに眼から涙が零れ出すのが小芝居得意なEみさんや。これ迄に何度かそれで謀られたもんや。

ワテはEみさんが涙流しとるかどうか観察しながら、「Rちゃん、騙されてはあきまへんでえ。これから涙が頬伝わるかもしれへんけど、このお方は今女優気分で一芝居なんや」云うて牽制した。

けれど、Eみさんは泣き声出し続けるんや。

「隣り近所に迷惑やから止めとき」

「S吉はぁ、Eみよりも漏れた泣き声で近所の人達にいじめてるのがバレてぇ、糾弾される事が心配なんだ~」と手で顔を覆った儘云うた。

{誰が誰をいじめとんねん}と思いつつ、「球団ちゅうたら燕の事?それとも下半身タイガース?」

下向いた儘のお方はすすり上げる仕草して云うた。「Eみを大切にせず糾弾される人は、能ある蛸は吸盤を隠すって云った男しか居ないさ」

「ワテはやな、近所にお前様が変になってもうたと思われんように助言しとるの。態度改めんと白眼視されるでえ」

顔から手外したEみさんが渇いた目で云うた。「君、上から目線だね」

ワテを見据え続けた。「近所の人達に吸盤を隠す蛸の話してごらんよ。後ろ指をさされるのはS吉だね」

そして彼女、箸を持ち栗きんとん摘んで口に運んだ。

その顔をよう見たが、一粒の涙も涙の跡も無かった。

Eみさんはまた栗きんとん摘んで食うた。その彼女のほころんだ顔が美味しいと伝えとったんで、ワテも高価な栗きんとん食おうと箸を持って行きましたんや。

でもEみさん、素早くその皿を台から取り上げ自分の後ろに隠すやないかい。

「何をなさる、ご無体な。ワテにも栗きんとん食わせてえな」

「不埒な男には食べさせないね」

ワテ等の遣り取りに呆れたのか、Rちゃんは炬燵出て立ち上がり、「冷蔵庫からビール出すね」とEみさんへ云い、「キリン一番搾り」を3缶抱えるように持って来た。

「ハイ、これで仲直り」

ワテとEみさんの前に1缶ずつ置いた。

そしてRちゃん微笑みながら云うた。「ふたりが使う言葉、よく似て来てますね。仲がいいんです」

「似て来たのは、このお方の語彙が豆腐になっとるからや」

「語彙が豊富ね、それは認めてもいい。でも自然と駄洒落が出るようになっちゃったは認めたくないんだけどねぇ」

「駄洒落の腕上げとるのはええけど、人生の指針になる言葉も云うて欲しいもんや」

「よく云うね、駄洒落しか云わないのに」

「ハイハイ、ビールを持ってください。新年の乾杯しましょう」

「このビールがRちゃんのお土産だょ。でもねぇ、S吉は「ヱビスビール」じゃないから、きっと飲まないょ」

{飲ませんつもりやな}と思い、ちょっち慌てて云うた。「キリンも飲むわ。知っとるやろ。なんせ初めて飲んだビールが「キリンラガー」や」

「S吉さん、ごめんなさい。渋みのあるのは苦手で。「一番搾り」は渋み少ないから」

「Rちゃん、「一番搾り」喜んで飲ませてもらいますわ。誰かの小芝居に付き合うてたらキリンが無いさかい、乾杯の発声お願いします」

「おバカなS吉にはその1缶だけね。それで一巻の終わり」と泣き真似しくじったお方が駄洒落で返しよった。

三人揃って缶のプルリングを引き上げた。プシュッ。

「今年がここに居る三人にとって良い年になりますように。乾杯!」

「新年に乾杯!」「乾杯!」

缶に唇寄せビールちょっち啜ったEみさん。「そうだね、「一番搾り」は渋み無いね。ちょっち甘味がある」

「これはすっきりタイプなんだ」とRちゃん。

「一番搾りの麦汁なのか。ワテは年始早々搾られとる可哀想な身や」

呟きを聞き逃さないEみさん。「また波風立てようとしてる人が居る」

「お前様こそ波風立てるの好きやが、立てた本人が転覆する事もあるさかい気を付けなはれ」

「そんな心配は要らないね。それより君、お土産は無いの?」

「すんまへん」と頭下げた。

するとEみさん、勝ち誇ったようにRちゃんに云うた。「お正月なのに手ぶらで来る野暮さ。それも、これからお節を食べ尽くそうとしてるんだょ。どうよ、このふてぶてしさ」

「いつもS吉さんからお酒いただいてるんだから、そんな云い方しないの」

「成人の日になったら酒持ってきますわ」

「お土産はシャンパンがいい。他のスパークリングワインじゃ駄目だから」

「シャンパンかいな。ま、それは折を見て持って来るわ。成人の日は」

「檻の中には入らないね」

云いかけたところで、Eみさんに駄洒落で遮られたんや。ほんま、駄洒落の才能が開花しとった。

「成人の日は、自慢のカクテルつくって来よう」

「シャンパンが飲める成人の日が待ちどうしいねぇ」Eみさんは言葉を切って、「指折り数えて楽しみに待ってようね、Rちゃん」と続けた。