上野はお山 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝は7時に起き、ご飯が炊き上がる迄、風呂に小一時間浸り、イタリアのポピュリストの連立での政治不安が招くEU不安定化を考えとった。今後、イタリアに限らず色々な国でポピュリストが不安定化させるやろなあ。

朝食は北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、紀州産梅干しで二膳。デザートはチリ産レッドグレープ。

サラ・ヴォーンのアルバム「アイ・ラブ・ブラジル」とアイリーン・クラールのアルバム「エンジェル・アイズ」をレコードで聴き、コールマン・ホーキンス→レスター・ヤングとユーチューブで聴いた。

昼食は駄目もとで駒形「花坊」に行ってみたら、予約客来る迄の時間でならOKとの事。頼んだのは苺の入ったサラダ、八寸、豆の炊き込みご飯、赤出汁味噌汁、胡麻だれの汁粉のランチ1080円也。

満足して店出て、スーパーで食料買うて、郵便局で金下ろし、一旦帰宅。今日は湿気少なくて過ごし易いがな。

筋トレ小一時間し、サラ・ボーン&ザ・カウント・ベイシー・オーケストラのアルバム「センド・イン・ザ・クラウンズ」をレコードで繰り返し聴いた。

再び出掛け、今年初めてEI君と会い、上野の立ち飲み居酒屋を3軒梯子し、ええ気分で戻って来た。

EI君と話したジョンソン・エンド・ジョンソン→カルビー、そして来月からライザップCOOとなる経営者松本晃の事、或いは云いたい放題な麻生太郎の事を記そうと思うたんやが、ええ調子に酔うとってまとまらんさかい、やはりEI君との話に出て来たEみさんとの今で云う猛暑日の遣り取りのメモ書きを写しますわ。あの頃はまだ猛暑日ちゅう言葉無かったと思う。地球温暖化や。

 


真夏日やった。日射しが強く風はそよがず、夕刻迄にはまだ間があった。

Eみさん、ピンクのリボンで周り巻いた麦藁帽を被りシガレットパンツに丈長めの無地Tシャツ着て汗吹き出るのをめげずに歩いとった。

「確かに上野はお山だねぇ」額に花柄のハンカチ当てて汗拭いながら云うた。続けて「ほら、びっしょりだょ」と、歩きながら濡れたハンカチをワテに見せた。

「ほんま蒸し暑うてかなわんな」ワテもポケットからバンダナ出して汗拭った。

ワテ等の前を一歩一歩踏みしめるが如く上っとる小太りの小母ちゃんのワンピースの背中には汗じみが広がっとった。
ワテとEみさんは、散策した千駄木、根津、谷中から上野駅の方に向かっとるところやった。こないな日やなければ何ちゅう事もない坂やけど、カンカン照りで上がって行くのなかなかきつかった。飲んだ水分がすぐ汗となるような日や。Eみさんが云う通り、上野に山を初めて意識したわ。
「不忍池の方に迂回して歩けばこないに汗掻かずとも済むのに、意地張るからや。ああしんどい」燕軍の野球帽被ったワテは歩みを止めたい思いでEみさんに云うた。
「意地なんか張ってないから。ちょっちの努力で時間を短縮出来るでしょ。だからぁ、足を止めないの」と、ワテの思い見透かしたように云うた。
「ちょっちの努力どころやあらしまへん」云うて、ワテ立ち止まったがな。「この儘歩いたら人間塩田になるわ」

「あ~止まったぁ、だらしないのぉ」とEみさんも歩み止めた。「お友達のM夫ちゃんによく云われるんでしょ。貴様、精神力が足りんって」
「無茶云いよる。お前様の顔がM夫ちゃんに見えたわ。今日のような日は、時間短縮よりも熱中症にならんようにする事が大事やろ」
「そうだょ。熱中症にならないように時間の短縮してるんでしょ。だからぁ、足動かしなょ」Eみさんは譲らへん。
「汗吹き出す時間短縮は心臓に悪いわ。ここで倒れてもうたらどないすんねん」
「S吉は心臓強いから大丈夫だょ。心配無い無い」と、肩竦め云いよる。
「調べもせんと、そんな診立ては信用ならん」
「いつも会ってるから分かるんだね。ホームドクターみたいなもんさ。休んじゃうと歩くの嫌になるから、さあ、行くょ」云うて、ワテの左手首つかんで歩き出した。

引っ張られとるワテ「そもそも、来るの夕暮れ時にした方がええちゅうのをわざわざ日射し強い真っ昼間にしたのはどこのドイツ連邦共和国」
「また出た、そもそも攻撃。お部屋に居ても冷房で体冷えるから出掛けるか、ってS吉も云ったでしょ。忘れてないよね」

ポツリ、ワテは呟いた。「ソ連はお前様の勢いに押されてちゅうか気迫に負けたからや」

「男らしくないのぉ」

「今は男でなくともええわ。女でもオネエでもなる。背負って運んでくれる」

「はあ~っ」Eみさんつかんどった手を離し、強い口調で云うた。「Eみの流れる汗が見えないの」

{もう歩きたくないねん、云うても冷たくあしらわれるだけやから}思い、「お前様の汗も見えるが、上野戦争で長州・薩摩・佐賀に殺された彰義隊の亡霊も見える。そやさかい足が竦むんやなあ」

「そう、なら亡霊さん達にお説教してもらえばいい。そのだらしなさをね」

{相変わらずああ云えばこう云う。仕方ない}と、「ワテを背負ってくれる心優しいコは居らんかなあ」と甘えた声で云うてみた。
「じゃぁ、先に行くから、S吉は好きにしていいょ」
「好きにって、置いてけぼりにされたらワテには選択肢があらへんやないか。上野戦争指揮した大村益次郎の如く容赦無い奴やな」

「君は歩きたくないんでしょ。一人でここに居て日干しになってれば」云うてEみさんは澄ました顔しとった。