日比谷は海だった | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

正に天王山で、東京ドームに勇んで応援へ行ったんやけども、初回3点先取したのにもかかわらず虚人に逆転負けの昨夜は、Mちゃん夫妻と神楽坂の居酒屋で飲んだんや。またしてもMちゃん妻がはしゃいどって、ワテ等ふたりはしょぼくれとった。しかもMちゃんは仕事の忙しさからお疲れの様子で小一時間もするとうたた寝状態なんで、早々に解散として、重たい気分で戻って来たわ。
今日は8時に起きた。

風呂に小一時間浸り、グローバリズムによって所得格差、資産格差の拡大を招いとるの考えとった。

朝食は北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、紀州産梅干で二膳。デザートは宮崎産早生みかん2個。
オルケスタ・デラルスのCDアルバム「サルサには国境はない」を繰り返し聴いた。

筋トレを小一時間し、気持ちを高めてから歩き出した。
まずは、「YEBISU BAR 東京ドームシティ」に入りビーフシチューランチ980円とランチサラダ150円を注文し、ワテが燕軍監督やったらどない戦うか考えながらゆっくりと食うた。
天王山の第2戦目は、先発投手石川雅規のヒットなどで先制した2点を何とか1点差で守り抜き貴重な一勝。残り5試合でマジック<3>が点灯した。
気分良く本郷を歩いとると、満月なのに気付いたが、大きいんや。スッパムーンやろか?なんや益々気分良くうなり、スーパーに寄りプータローには贅沢な食糧調達してから帰宅した。
「カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン」2013を開けて飲みながらの夕食は、群馬産鶏肉、北海道産南瓜とブロッコリー、オランダ産パプリカ、新潟産舞茸をタジン鍋で蒸しご飯と食うた。デザートは山形産ラフランス。
クリフォード・ブラウンをユーチューブで聴きながら、「カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン」2013を飲み続けたせいで、アルコールが脳を働かせず、昔のメモ書きから初めて日比谷へWみさんと行った時の事を写しますわ。


「日比谷入り江へ行かん?」
「ヒビヤイリエ?それってどこなの?」
「皇居の近く」
「有楽町の近くの日比谷?」
「そう、その昔は海苔の養殖しとったんやでえ」
「本当に?」
「ほんまや。今は日比谷公園内の老舗レストラン「松本楼」でのこの長月にある恒例「10円カレー」で知られる日比谷なんやけどな」
「そう云う魂胆か。並ばないからね」
「いや、「10円カレー」に一緒に並んでくれちゅう話やない。Wみが並ぶの嫌いなのよう分かっとるし、並ぶ時間のコストを考慮したら高いもんになるのも承知しとる。入り江の話なのに余計な事云うてしまったなあ。あの辺り、昔は海やったんですわ」
「その日比谷へ浮き輪持って海水浴に行きたいの?」
「ちゃうわ、公園へ行ってWみのように綺麗な薔薇の花愛でに行きたいんや。今、薔薇が見頃に咲いとるはずなんや」
「そこは今も海よ。私のような綺麗な薔薇に溺れる」と云うてWみさんは白い歯を見せ大笑いした。
「そこで笑うてはいかんやろ」
「だって見え透いたお世辞云うから」まだ笑み浮かべていた。
「自分が云うた事に気恥しくなったんやろ。ワテは世辞など云うとらん」
「有難う、御ほめ頂いて」
「花は見頃に行かな」
ちゅう訳で、一度も行った事無い日比谷公園へ出掛ける約束取り付けた。
夏休みの最後の一日、地下鉄日比谷駅構内でWみさんと待ち合わせして薄暮の日比谷公園に行ってみたら、思うた通り秋薔薇が見事に咲いとった。薔薇ちゅうのはほんま麗しい。
でもな、園内で一番目に付いたのは、ベンチでいちゃついている一組のカップルやった。人目を気にせず自分達だけの世界に浸る姿が、糖尿病になる程の甘さやった。その様子は無邪気云えば無邪気と云えなくもない。云えなくもないんやけど、他人に鼻摘まませる毒気も混じっとるんや。
「ベンチに座ってから、目が薔薇じゃなくて、カップルにばかり行ってる」云うて、Wみさんはぺットボトルのミネラルウオーターを口飲みした。
確かにWみさんの云う通りやった。ワテの眼の玉二つは、カップルの姿態追うとったからな。
「人間の生態観察ですわ」
「薔薇の鑑賞よりもそちらの方が長くなりそうね」
「あのふたり、人目に付き難い所に居るちゅうんでもなく、よう見渡せる所で繰り広げてるんやでえ」
「いいじゃん、他人の恋路を邪魔する奴はって云うよね。それとも」と区切って、ワテの顔覗き込み続けたんや。「あんな事をする甘い誘惑が頭過ぎったの?」
己に過ぎった思いには触れず云うた。「彼等は躊躇する様子全く無い。周りへの 警戒心が緩んどるのとも違う」
「だから」
「そやから、他人に見せたいんですわ。それとも野生動物なんやろか?」
「S吉、ここに来たかったのは、薔薇よりカップルの方なの?」
その言葉に、長居してはワテの清らかな心が疑われると、ベンチから立ちながら「蕎麦手繰りに行きまっか?」と尋ねたワテやった。