柳川 ドンコ舟と鰻のせいろ蒸し その前編 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝は8時に起き、朝食には昨夜スーパーで買うとった半額の大麦豚のひれかつ丼。デザートは和歌山産みかん2個。
牛乳飲みながら烏賊にも蛸にもジャマイカ人らしいホーン・アンサンブルなザ・スカタライツをユーチューブで聴いて、ラジオ「セッション2015」で及部恭子(ピアノ)、クリス・スピード(テナー・サックス/クラリネット)、マイケル・オブライエン(ベース)、ジーン・ジャクソン(ドラムス)の演奏を聴いた。
昼食に西浅草「先斗」へ入った途端、店主に「鯖塩?」と云われ、頷いた。それしか頼んだ事ないからな。満足の800円也。
108円ショップと郵便局に寄って帰宅。
筋トレ30分した。

風呂に小一時間浸って、福井地裁樋口英明裁判長が今年4月に関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた仮処分を、昨日取り消した福井地裁林潤裁判長の司法判断を考えとった。あやふやな想定で再稼働を認めるとは、けしからんとしか言いようがない。もし事故が起きたら、林潤は想定外と云うんやろか?

伸びた手足の爪切った。
本日が仕事納めで明日から9連休のMちゃん夫妻と一緒に「moon」で夕食摂る為外出。クリスマスに独り寂しく過ごすの可哀相と誘ってくれたんやが、Mちゃん妻には「自堕落な生活改めたら」とお説教もされた。生ビール飲んでほろ酔い気分で徒歩帰宅。


2015年のH世っちの誕生日は、福岡県の柳川に居ってん。
行った事あるやろか水郷柳川。北原白秋の故郷ですわ。ワテは三度目の観光やった。初めて行った時のメインは、旧藩主立花氏の別邸やった「御花」。レストランで昼食摂ったんやけど、迎賓館として使われとった西洋館があり、松涛園ちゅう松島模した大きな池ある庭園がええんですわ。ここをまたゆっくり見、城下町風情残す路地を散策したくて二度目の柳川訪問したんやけど、その時の昼食に入った老舗「若松屋」の鰻のせいろ蒸しが旨かった。
その日は、三度目となったH世っちの誕生日に相応しくごっつええ天気やった。秋ちゅうより夏の日差しを感じさせた。
博多からは5人が、そしてワテは始発駅甘木から西鉄電車に乗り込み、五郎丸駅を経て宮の陣経由で水郷柳川へ馳せ参じたんや。5人とは、H世っちとITちゃんのペア、ブッチョA、M夫ちゃん、Nっぺの年に一度一緒にツアーする友人ですわ。
前日から福岡ツアーに出とって、夜は中洲川端で共に河豚食い酒酌み交わし、それからカラオケに入りワイワイ歌っとったのに、なぜワテが彼等と一緒に博多から行かなかったかちゅうと、理由はM夫ちゃんにある。
と云うても、狼藉者M夫ちゃんにお尻を狙われるから危ないと回避して遠方に避難した訳やあらしまへん。このツアー、初めは21日土曜日からの一泊二日予定で話進んどったんやけど、彼の仕事の都合で22日からに1日ズレての出発になりましたんや。
それならワテは飛行機や宿泊料金の安い平日の24日帰る二泊三日にして福岡楽しもうと、連絡もろたツアー幹事ブッチョAに宿等自分で手配すると伝えたんやが、その儘うっかりホテルを予約し忘れてしもたんですわ。前月に気付いて予約せなとネットで探した時には、三連休やさかいもう22日日曜日の博多の宿は2万円とか4万円とか高額料金のしか残っとらんかったんや。
それでやな、ワテは熟女に熟女を重ねて検討しまして、朝倉市甘木に泊まる事にしましたんや。泉質ええ温泉あるからな。
ほな、前夜二次会のカラオケ屋での会話から記すとしまひょ。
「ラバウル小唄」「月月火水木金金」「六甲おろし」と、一軒目で珍しく日本酒飲んだんでドーパミンがドパドパ出たんかM夫ちゃんがマイクきつく握りしめ駆け付け3曲を歌い、「何が燕じゃ、日本シリーズであっさり負けやがって」と叫んでマイクを幹事のブッチョAに渡した。去年の事はすっかり忘れとる下半身タイガースファンであった。
♪♪もっと勝手に恋したり もっとキスを楽しんだり 忘れそうな想い出を♪と「ワインレッドの心」を待ち切れなかったブッチョAが歌うた後、幹事らしく30分しか居れぬワテに「ファンクフジヤマ」をセットしてくれたんで、期待に応え熱唱すると、M夫ちゃんが云うた。「負け犬の遠吠えじゃ」
「恋のバカンス」をNっぺが歌い、達郎の「さらば夏の日」をH世っちが歌うと、M夫ちゃんがまたマイクを取り立ち上がり、敬礼しながら皆を見回し、「諸君、「戦友」を歌うぞ」と宣言、♪♪ここはお国を何百里 離れて遠き満州の♪と力強く歌い出した。誰も共に歌わんかったけど。 
「誰かが酔っ払いになると、他の人は素面になるね」ITちゃんが呟いた。
歌い終え座るの見計らってワテは云うた。「放送劇に出る声優の歌かと思うたわ」
「尾羽打ち枯らした素浪人の分際で生意気な」と云い、M夫ちゃんは立って「尻洗って待っておれ」と腰振った。
「M夫ちゃん、4曲歌ってもう気が済んだよね」ちゅうITちゃんの言葉に、「お盆と師走30日がお仕事だから僕不満なの」と甘えるように云うたM夫ちゃんやった。
「まさか博多に来て迄こんな展開になるとは思わなかった」とH世っちが云うと、「誰も思わないよ」とITちゃん。
「そろそろ甘木へ行くわ。ここから一時間半はかかるさかいな」お尻の危機を感じたワテが云うた。
「次に歌うのは「天城越え」だな」酔い声のNっぺが茶々を入れよった。
「♪♪寝乱れて 隠れ宿 九十九折り 浄蓮の滝って♪って、石川さゆりやないがな」
「Sちゃんもすぐ乗せられるねえ」とは、ITちゃんのお言葉。
「明日は柳川での待ち合わせ時間に遅れないようにね」とブッチョAがワテの方向いて云うた。
「それ、ワテに云うとるんか?それとも、今夜も日本酒飲み過ぎなNっぺの方?」
「2千7百万人中の一人、仕事せずに朝寝坊してる味噌っかすS吉に決まってる」と、「東一」カポカポ飲み酔いが回ったNっぺ。
「まあまあ、折角遠く福岡に来てるんだから、仲良く明日の話しようじゃないか。柳川鍋のどぜうが待ってるぞ。土鍋にさかがきごぼうを敷いて、どぜうを入れて、溶き卵をかけて弱火で煮て出来上がり。H世ちゃん、涎垂れとるぞ」と、一軒目で「東一」は旨い云いながら珍しく日本酒飲んどったM夫ちゃんが間に入ったんですわ。
「M夫ちゃん、それしか浮かばぬとは発想貧困ですわ。有明海のムツゴロウも食えるが、柳川ちゅうたら、鰻のせいろ蒸しやろ」
「君達は食い意地張ってるな。メインイベントは掘割を舟で巡るんだよ」と幹事が云うた。
「船酔いはしないだろう?」と、幹事に聞く心配顔のM夫ちゃん。
「M夫はもうしてるだろ。体揺れてるぞ」と云うたNっぺの頭はちょっち揺れとった。
「貴様こそ」と、云うM夫ちゃんも確かに揺れとった。
「仲良く明日の話しようと云ったのはあなただからね」と、幹事はたしなめてから続けた。「堀巡りだから波がありはしないし揺れる事はないよ」
「堀巡り楽しみにしとる。ほな、ワテは行くが、お前様達は博多の夜を存分に満喫してや」
ちゅう訳で、5人と別れたんや。
一人西鉄電車乗り継ぎ甘木への道のりは遠かったんやが、それで正解やった。と云うのも、その夜5人の泊まったホテルで珍事があったからや。その主役はM夫ちゃんですわ。
翌日、会うなり幹事ブッチョAが「十年語られる出来事」が起きた事を告げた。「物騒な事か?」と問うと、Nっぺが「目くるめく夜の詳細は、抱き合って寝てたH世に聞け」と云うんや。それで、眠そうなH世っちに経緯尋ねたんや。「もう大変」と語り出したのを要約すると、M夫ちゃんが夜中オートロックの部屋出る際キー持たなかったんで締め出されてしもて戻れなくなったんやて。焦燥感に搦め捕られたM夫ちゃんは、Nっぺ部屋、ブッチョA部屋とドア叩いてその中へ入ろうとしたんやが、つい開けてしもたのはH世っちだけで、締め出され者と一緒にベットで寝る破目に陥ったんやて。「悪夢のような一夜だった」と、H世っちは吐き捨てるように云うた。
フロントに助けを求めぬのがM夫ちゃんらしいところやなあ。