鶏の屠殺(とさつ)場or精肉工場の「実況録音」盤。
「グギッ、ギャゴ、ギィィ~~」。
この2人、まるで鶏の首を絞める虐殺者の如し。
①『ルッキング・アヘッド』(60)
《Looking Ahead/Ken Mcintyre》
ケン・マッキンタイア(as,fl)、エリック・ドルフィー(as,fl,bcl,)、
ウオルター・ビショップJR(p)、サム・ジョーンズ(b)、アーサー・テイラー(ds)。
このジャケット、オヤジ&ガキ。このツラ構え、ジャズマンにはとても見えない。
オヤジが歴史的立役者エリック・ドルフィー(as)、ガキがマッキンタイア。
オヤジ&ガキとの関係では無い。本当は師弟関係である。
誰にも真似出来ない演奏だが、両者は良く似ている。
ドルフィーは大ファンだから、全レコードを集めた。
こんなレコードで脇役で参加してたかと思い、ラックから引っぱ抜いた。
Rchからドルフィー登場。アタック音が鋭角的で神経を逆撫でるように突き進む。
Lchからマッキンタイア。フレーズに丸味と抑揚感が有る。
酔っ払いが吹くように「ダラア~~」として、キミが悪い。
2人の演奏は、まるで「鶏の屠殺場」の悲鳴。
「グギッ、ギャゴ、ギィィ~~」。
右から左から鶏を絞め殺す悲鳴で虐殺者に成り切ったようだ。
面白いのは妙チクリンな抑揚のテーマの演奏。
ドルフィー節の「クネ・クネ」メロディーだが、「ピタッ」と二人の息が合う。
ドルフィー学校の師弟関係は凄いモンダ。
異様な雰囲気のドルイフィー節も、レコード1枚聴けば異常が正常に変わる。
この面白さがタマラナク・イイ。