ドラムが巧い・・・だが、インタープレイが無い。
アレンジ&アンサンブルが巧い・・・だが、
「即興性&インタープレイ」は何処に行った??
①『ショート・ストーリーズ』(82)
《Short Stories/Wolfgang Engstfeld(ts)》
ウォルフガング・エングストフェルド(ts)、ミッシェル・ヘル(p)、
ルロイ・ロー(ds)、デトレフ・バイアー(b)、イスラ・エッキンガー(b)。
随分と情緒を大切にする人。バラードが3曲ある。
チンタラ・チンタラ情緒タップリにロングトーンを吹き流す。
とてつもなく太い音だから迫力はある。が、面白く無い。
全曲変則ビートで攻めてくるが、1曲だけ4ビートを絡ましてくる曲は「イケル」。
4ビート・王道派ド真ん中でノリは最高。ズ太いテナーが縦横無尽に吠えまくる。
しかし、この曲でも曲の導入部分は情緒タップリにチンタラと演奏が始まる。
曲の冒頭から一揆に決めて欲しいもんだ。
EUジャズの特徴を2つ。
80年代はドラムが巧い。だが、インタープレイでサックスに絡んでこない。
曲の進め方、シナリオ作り・アレンジが巧い。
その巧さは、グループのアンサンブルに活かされ、「クラシックの土壌」を臭わせる。
つまり、EUジャズはジャズ本来の醍醐味である「即興性」から離れ、
単なる「ユニットの音楽」としての価値に留まりつつある。
結果、曲の進行中の即興的インタープレイによる「緊張感とスリル」が感じられない。
こんなアレンジの凝り性なことをせず、
王道ジャズ・ド真ん中「即興・アドリブ」で勝負して欲しいもんだ。