京都(大原~高雄)紅葉の名勝を歩く | 日暮し三昧

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趣味の山登りや歴史探訪、好きなジャズの話題を中心に発信したいと思います。

 令和5年全国的な天候異変で9月までの猛暑のあと10月の急激な冷え込みで京都の紅葉もあまり評判は良ろしくないと聞く。

 

 ネットでは11月中旬の大原や高雄の寺社は全て見ごろとしか書いていない。それならと自分で確かめるしかないと京都へ出かけた。

 

 今回は11月12日(日)の大原(宝泉院~三千院~寂光院)と

 11月19日(日)の高雄(清滝~神護寺~高山寺)を2週に分けて歩くことにした。

 

【大 原】

 

 12日の朝JRで岐阜から京都駅を経由して地下鉄で国際会館まで行き京都市バスで大原まで向かった。

 

京都の紅葉時期の渋滞を避けるにはこのルートが最適なようでスムースに10時30分には大原に着くことができた。

 

 宝泉院からスタートしたこの日は今にも雨が降りそうな天気であった。

 

 大原バス停から呂川沿いの坂道を観光客とすれ違いながら登ってゆき三千院門跡の石碑のある交差点に着いた。

 

     芝ば久

  三千院門跡の石碑

 

途中には大原名物の柴漬けで有名な「芝ば久」の樽には沢山の漬物が所狭しと並んでいた。

 

 

【宝泉院】 

   さっそく天台宗の宝泉院の山門で抹茶付き800円の拝観料を払い庭園が眺められる客殿に進んだ。

 

 「盤桓園」が眺められる赤毛氈には抹茶を飲む人が並び額縁写真は人越しか撮れない状態である。

 

 さらに心配であった紅葉の色づきが少なく曇天で光が遮られ葉の色が今一つであったのは残念。

 

   庭園  

  五葉の松

 

 それでも温かい抹茶で落ち着くと庭園を眺めながら「法句経」の仏のことばを読んで心を穏やかにした。

 

     紅葉最盛の盤桓園

 

 

 

【三千院】

 宝泉院からすぐ三千院の御殿門に着くとさすが門跡寺院(皇族の住職等)と思わせる風格が漂う。

 

      御殿門

 

 受付で700円を払い客殿に入ると池泉観賞式庭園の「聚碧園」を眺めた。

 

 さらに本堂の寝殿から見える池泉回遊式の「有清園」では紅葉を眺めながらお茶を楽しむ人達がくつろいでいた。

 

 しかしここでも宝泉院と同様に紅葉の色づきが今一つであった。(絶頂期の写真も添付)

 

      有清園

 有清園でくつろぐ

 中 庭

 紅葉最盛の有清園 

 散りモミジの中庭

 

 庭園を楽しんだ後はこじんまりとした「往生極楽院」に移り「阿弥陀三尊像」を拝んだ。

 

 両菩薩が前屈みに跪く「大和座り」で浄土へ旅立つ人を迎えてくれるような優しいお姿に見える。

 

 三千院は11時30分頃に見終わったがお腹が減ったので門前にある「芹生茶屋」に立ち寄った。

 

     

 さすがに満席で30分ほど待たされたが温かい「キノコそば」を食べてくつろいだ。

 

 

【寂光院】

 三千院の門前でお昼を済まして最後となる寂光院へと向かった。

 

 途中の「志ば久」でお土産の芝漬けを買うと店主が「内の柴漬けは乳酸菌が発酵したままです」と教えてくれたが何処も同じではなかろうか。

 

 寂光院へ向かって歩き出すと空からぽつりぽつりと雨が降ってきてますます空は暗くなるばかり。

 

 しかし天気を恨まず小雨も気にしないで歩き1kmほど西の寂光院に12時30分に到着した。

 

寂光院山門  

紅葉最盛の山門

 

 やはりパンフのような紅葉ではなかったが聖徳太子が創建した天台宗の尼寺は不思議な静けさに包まれていた。

 

 「建礼門院徳子」の平家物語ゆかりのお寺は歴史に刻まれた平家滅亡の現実と悲しさの中で菩提を弔うために生きた徳子を思うと侘しさが伝わってくるようだ。

 

 案内の人の話を聞いてから徳子の住まいであった狭小で薄暗い所にある「建礼門院御庵室跡」を訪れて寂光院を後にした。

 

建礼門院徳子像

 

  建礼門院御庵室跡

 

※「女一人」の歌にある「京都大原三千院・・・恋に疲れた女が一人」とはまさにこの寂光院の物語と重なるのではないか。

 

※大原女・・・鯖街道を通り京都まで柴を頭にした売り子のことでお洒落な衣装は都でも人気があった。

 

 

 

 

【清滝~高雄】

 

  次週の11月19日(日)は清滝川の遊歩道をさかのぼり神護寺そして高山寺と紅葉をめぐった。

 

 今回は私がリーダーをした山の会の京都山行で一部会員の写真も採用させてもらった。

 

 19日の朝JRで嵯峨嵐山駅に着き清滝まではバスを予定していたが臨時迂回で歩くことになり清滝へは11時20分に到着した。

 

最盛の清滝付近

 

 清滝川東海自然歩道

 

 清滝の入口からは東海自然歩道を利用して川沿いに4km歩くと神護寺に着く。

 

 清滝川沿いの紅葉はいつもあざやかだが今年は今一つであった。

 

 静かな東海自然歩道を歩いて行くとすれ違うのは外人ばかりでさすが京都である。

 

 

 東海自然歩道(北山杉の並木)

 

 神護寺に近づいてくると清滝川沿いの紅葉は徐々に色鮮やかさを増してきた。

 

 逆光の色づく葉から透過してくる光は眩いばかりである。

 

   清滝川神護寺手前

 

 少し遅めの13時前には神護寺の長い石段を登り門前の茶屋「硯石亭」に入り天ぷらソバでお昼とした。

 

 

 硯石亭屋外座敷

 

 硯石亭にあるぼんぼりの下がる屋外座敷では昼下がりの紅葉の中で食事を楽しむ人も幸せそう。

 

 お昼を済ませいよいよ神護寺最後の石段を登るとそこには別世界が展開していた。

 

     神護寺桜門     

                

 神護寺境内を進むと金堂の石段付近ではカエデとドウダンの赤が見事にからみあう。

 

 金堂石段

 

  紅葉最盛時(金堂石段)

 

 平安京で和気清麻呂が創建した神護寺は809年に弘法大師空海が入山した真言宗の寺である。

 

 今年のように全国的に紅葉が低調の年でも神護寺のモミジだけは裏切られることがなく安堵する。

 

 

 

【高山寺】

 最後は栂尾にある鳥獣戯画絵巻で有名な古刹の高山寺(500円)を訪ねた。

 

       開山堂の紅葉

 

 創建は奈良時代で鎌倉時代には明恵上人が後鳥羽上皇からこの地を与えらえたと伝わるお寺である。

 

 この明恵上人とは華厳宗を極め自分の耳を切り落とすほど厳しい修行をした僧侶として知られている。

 

 境内は茶畑があるだけで見どころは少ないが唯一明恵上人の遺構である「石水院」が有名である。

 

 寝殿造りの登り口では別に1000円を払い入場する。

 

石水院山門

 

 善財童子像

 

 最初に現れる善財童子像を眺めてその奥へ回ると例年なら見事な紅葉の額縁庭園の見られる座敷に着く。

 

石水院庭園

 

最盛期の庭園

 

 座敷には平安から鎌倉時代にかけて描かれたとされる「鳥獣人物戯画絵巻」が展示されている。

 

 日本のアニメのはしりのような戯画は現代人にとっても愉快に感じられる。

 

 鳥獣人物戯画絵巻

 

 高山寺を見終わり川沿いにある栂ノ尾のバス停に着いた。

 

 今日の高雄は人出が少なく混雑が無かったためJRバスの始発に乗り京都駅まで座っていけた。

 

 

【おわりに】

 2週に分けて訪れた京都の紅葉の名勝歩きは1週目が曇天であったが2週目は抜けるような晴天であった。

 

 この天気の差が紅葉の光の作用による鮮やかさに違いの出ることが分かった。

 

 でも京都の紅葉はいつ来ても素晴らしく飽きることのない景色の宝庫となっている。

 

 来年の京都の紅葉に期待して記事を終わります。   「そうだ京都行こう!」