ニッポン哲学(1) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日3月13日は、2016年、NHKで特番「BABYMETAL革命」の放送が発表され、2017年には、AMDデジタルコンテンツオブジイヤー2016で、BABYMETALが優秀賞に輝き、スーツ姿のKOBAMETALが受賞式に現れた日DEATH。

<2021年3月12日現在>                
PCR検査数    累積8,834,768     2月10日7,380,547     直近30日間1,454,221 
陽性判定数    累積444,289     2月10日408,186     直近30日間36,103 
死者数        累積8,451     2月10日6,557         直近30日間1,894 
致死率        累積1.90%    2月10日1.61%        直近30日間5.25%
(データ元:厚労省「新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料」)   

                     
モノには、それを造った人の魂がこもっている。
丁寧に造られたモノは、それを持つこと、使うことが喜びになる。
STAY HOMEを余儀なくされた2020年4月から今日まで、そのことをより強く感じるようになった。
朝、テレビをつければ、ニュースやワイドショーは、PCR検査の母数やCT値、インフルエンザとの比較を絶対に言わないまま、武漢ウイルスの「感染者」数だけを連日報道している。
職場では「本当はよくわかんないんだけど、国の方針だから」と上司に言われ、リモートワークによって残業代や交通費を削られて手取りが大幅に減る。
こんなウンザリするような日常の中で、ネットで注文し、宅配業者によって届けられた商品や食品は、ぼくらの心を癒し、これまでほとんど意識していなかったことに気づかせてくれた。
どんなに分断された状況であっても、手元に届いたモノには、それを造った人の魂が感じられた。
ぼくがこの1年間に購入したモノは、音楽関連に限っても、米国製ギター弦/ピック/DTMソフトウェア/オレンジオイル/ケーブル、英国製アンプ、中国製エフェクター/キーボード/オーディオインターフェース、ドイツ製ミキサー、ロシア製真空管など、さまざまな国からやって来た。原材料や内部の部品はもっと多くの国々から集められたものだろう。
その中には中国製のモノもある。
トランプ米前大統領の政策や、一部の保守系言論人の主張にも関わらず、中国は今なおグローバルなサプライチェーンの一環を成している。
そして、例えば中国製のエフェクターは、米国や国産メーカーの製品と比べても、欲しい機能やデザインがよく考えられており、出音も悪くない。そして何より安い。
中国政府は香港やウイグルや内モンゴルで人権侵害をしているが、これを造った技術者たちは、現代の音楽に求められるものをよく理解しているように思え、製品には、より良いモノを作り、世界中のギタリストに使ってもらおうという気持ちが込められているように感じた。

2021年3月4日、韓国・ヘラルド経済新聞は「日本国民の韓国製品に対する冷遇がピークに達している」と報じた。
記事の元になったのは、ICT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業MM総研(東京都港区)が、日本の市町村教育委員会を対象に、2020年11月24日から2021年1月27日にかけて行った「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」であると思われる。

https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=475
同紙の記事によると、調査に応じた1480の教育委員会のうち、公立学校に導入するタブレットのメーカーは、1位(28.1%)がアップル(iPad)、2位がレノボ(20.2%)、3位はNEC(14.4%)、4位はHP(7.0%)5位はDynabook(旧東芝、6.4%)だった。
日本人から見れば納得できる結果と思えるが、記事では「昨年の世界のタブレット市場で出荷台数シェア2位だったサムスン電子が入れなかった」とし、その理由として「日本では韓国製品への好感度が非常に低く、世界1位のサムスンのスマートフォンですら苦戦しており、現在は自社ロゴをブランド名に変更して販売している状況」であり、「海外ではあまり売れないシャープや富士通のスマートフォンがサムスンより売れている」などと説明している。
要するに日本には「韓国製品を冷遇する風潮」があり、それを受けて教育現場でも意図的に韓国製品を排除しているというのだ。
この結論に、ぼくは非常に違和感を覚えた。
第一に、この記事のロジックは破綻している。
「自社ロゴをブランド名に変更して販売している」にも関わらず売れないのだから、売れない理由は韓国製だからではない。その製品に魅力がないか、他により優れた製品があるからだろう。
また、仮に同等の価格・性能・デザインの製品があった場合、わざわざ外国製の製品ではなく、国産の製品を購入するのは、消費者心理として万国共通だろう。

日本と韓国以外の国では、Made in JapanもMade in Koreaも同じ「外国製」であり、国産ブランドがあれば、その方が強いに決まっている。
スマートフォンを海外にまで輸出できるメーカーのある国は限られている。
日本の電子機器メーカーは、スマートフォンでは自国以外への輸出を抑えており、ファーウェイ(華為)など中国のメーカーは、米国とその同盟国では市場から排除されている。そのため、ファーウェイは西側諸国では売れていないが、中国では市場を独占している。
要するに、サムソンが「出荷台数世界第1位」なのは、アップル同様、グローバルに展開しており、各国へ出荷した台数の合計だからであって、日本でサムソンが売れないのは、日本人の消費者向けには、より馴染み深い国産メーカーの製品があるからだ。
そして、この機序は、教育用タブレットや家電でも同じだろう。


ではなぜ、日本人にとって、サムソンより国産ブランドの方が「良い」と思えるのか。
今から20年ほど前の2000年代初頭、日本の家電量販店には、サムソン、LG、大宇など韓国産の家電製品が並んでいた。ほぼ同じ機能をもった製品でも、韓国製品は国産メーカーより2割~3割安かった。

ぼくもLG製のエアコンを買ったことがある。4年ほど使ったが、故障は一切なかった。
しかし、2000年代中盤になると、同じセグメントに中国製のハイアール、ハイセンスなどの製品が並び、韓国製はそれよりも割高になった。
一方、国産メーカーは、例えばエアコンなら、内蔵されたセンサーによって人の動きを察知して風向きを変えたり、自動的に内部をクリーニングしたり、抗菌イオンを出す機能がついたりと、より多機能化・高級化していった。エアコン以外の家電でも、10万円を超える炊飯器とか、水蒸気で焼き上げるトースターとか、髪の毛をケアするヘアドライヤーとか、よくもここまで考えるものだという新製品が次々と現れた。
アメリカからは、開発者本人が登場する革新的なブランディングをしたダイソンの掃除機や扇風機やドライヤーが登場した。
こうして、シンプルな機能だけでいいなら中国製の方が安く、高価だが先進的なブランドイメージのある米国メーカーもある中で、信頼性やきめ細かい機能ではやはり国産メーカーに分があり、しかも新陳代謝が激しく、新型でも半年以上売れ残ると値段が下がるから、韓国製品は選択肢に入りにくくなった。
2010年代になると、長引くデフレで日本の物価は相対的に安くなり、世界中の人々が日本を訪れ、とりわけ秋葉原などの家電街は、日本製の家電を買う外国人であふれた。家電をこよなく愛する「家電芸人」が現れたのもこの頃だ。
日本は、それほど魅力的な選択肢にあふれる家電大国なのであり、選択肢に乏しい国々への出荷合計が「世界第1位のサムソン」でも、日本の市場では積極的に選ぶ理由がないというのが真相なのだ。
では、どうして日本では、次から次へと新製品が現れてくるのだろうか。
それは日本の伝統的なモノづくりや「労働」に対する社会的なコンセンサス=ニッポン哲学に由来するというのがぼくの考えである。
(つづく)