10年のキセキ(21) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ
本日4月29日は、2017年、Red Hot Chili PeppersのUSAツアーSpecial Guestとして、マイアミ(FL)American Airlines Arenaに出演。チャド(D)、フリー(B)、RHCPスタッフ(P)が「ギミチョコ」で共演した日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者2,995,696人>死者209,805人
・日本 感染確認者13,576人>死者376人・退院3,187人・要入院11,389人>重症305人
●10万人当たり    
・世界 感染確認者38.83人>死者 2.72人
・日本 感染確認者10.73>死者0.30人
出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」(4月28日12:00現在)

2013年8月10日、サマーソニック2013幕張Rainbow Stageのタイムテーブルは、11:40~Breaking Arrows、12:40~赤い公園、13:50~Buffalo Daughters、15:00~GazettE、16:10~Cold Rain、17:20~BABYMETALと続くラインナップだった。
メインのマリンスタジアムは、11:00~VOLBEAT、12:05~One OK Rock、13:10~マキシマム・ザ・ホルモン、14:20~Bullet For My Valentine、15:35~Fall Out Boy、16:50~Linkin Park、18:55~METALLICAというタイムテーブル。メッセエリアのセカンドステージ、Mountain Stageは、18:05~チープトリック、19:45~STEREOPHONICSというタイムテーブルだった。
メッセエリアとマリンスタジアム間は、人混みの中を歩いていくと20分くらいかかるので、マリンスタジアムでLinkin Parkをちょっと見てからメッセエリアのRainbow StageのBABYMETALを見るなどという綱渡りはできない。トリまでそのままマリンスタジアムにいた方が楽だ。
だが、どうしてもBABYMETALが見たいなら、マリンスタジアムのFall Out Boyが終わってからメッセエリアに移動し、18:00に終わるBABYMETALを見たあと、マリンスタジアムに戻ってメタルの王者METALLICAを見ることは時間的に十分可能だ。
BABYMETALのあと、マリンスタジアムに戻るのがキツイなら、5分で移動できるメッセエリア内のMountain Stageで70年代アメリカを代表する大物バンドチープトリック、全英1位を連発する2000年代UKのロックアイコンSTEREOPHONICSを見ることもできる。
つまり、METALLICA派、チープトリック/STEREOPHONICS派かによらず、Linkin Parkを見ないで、ロックファンの話題沸騰中のBABYMETALに行くかどうかは、サマソニ2013参加者の焦点だったわけだ。
赤いサイリウムを持つ父兄メイトに加えて、難しい判断を経てたどりついたロックファンを含め、約8,000人がRainbow Stageに集まっていた。
「BABYMETAL DEATH」の神秘的なイントロが流れる中、「紙芝居」が始まる。
スクリーンにはMETALLICAの『…and Justice for All』を下敷きにしたと思しき、白い壁に殴り書きしたようなBABYMETALの文字が浮かぶ。
「メタルは正義。…そしてカワイイも正義。」
「BABYMETALはあのメタルマスターのもとへと導かれた。ここサマーソニック、またの名を天下一メタル武道会に出場し、1万人のステージに挑むのである。諸君。首の準備は、できているか?」
客席から大歓声が沸く。
「リンキンパークはこっちじゃないぞ。」
この一言に、客席のボルテージはさらに上がる。
「いよいよ、メタルレジスタンスの幕開けだ!」と叫ぶようにナレーションが終わると、シンバル4つ打ちから、「♪ダダダダダダダン、ダダダダダダダン…」とイントロが始まり、三人が骨のフードタオルをかぶって登場してくる。観客は「オイ!オイ!」と合いの手を入れながら、一気にヒートアップ状態に突入する。
大村孝佳(下手G)BOH(B)青山秀樹(D)Leda(上手G)の神バンドは、文字通り神がかったような凄まじい演奏で、「天下一メタル武道会」に賭けるメンバーの気概が伝わってくる。
スクリーンに巨大なBABYMETALロゴが翻り、「5、4、321」の文字が浮かぶと、「♪キュイーン」とピッキングハーモニクスが入り、三人がフードタオルを脱ぎ捨て、「B、A、B、Y、M、E、T、A、L!」の体操を始める。

もちろん客席は大合唱。「SU-METAL DEATH!」「YUIMETAL DEATH!」「MOAMETAL DEATH!」の自己紹介シークエンスでも、観客は「DEATH!DEATH!…」と叫び続け、1曲目だというのに、すでにモッシュ、クラウドサーフが始まっている。

「BABYMETAL DEATH」に続くセトリは、「メギツネ」、「CMIYC」「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「いいね!」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の7曲。
「いいね!」では、あまりの圧縮にグロッギーになった観客が運ばれる騒ぎもあり、この時のBABYMETALのインパクトがいかにすさまじいものだったことを物語る。
中盤、「1年前、BABYMETALはサマソニの小さなステージに初出場した。その時に観たレインボーステージはとても大きく見えた。今年は、そのステージに自分達が立っている」という「紙芝居」が流れた。
これは、その後のBABYMETALとファンの「ベクトル」を決定づけた。フードコートからRainbow Stageへ「成長」したのなら、来年はMountain Stageへ、いつかはマリンスタジアムへ行ける。


BABYMETALはもっともっと大きくなる。その確信をチームベビメタとファンが共有したのが、サマーソニック2013幕張だった。
フィニッシュの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」では、SU-の「ホントの勇気見せてくれたら、ホントのメタル教えてあげるよ」のセリフで、ピットに巨大なWODが形成され、SU-の「♪あー」で、YUIとMOAがステージを駆け抜け、客席ではすさまじいモッシュが始まった。その光景は、BABYMETALがアイドルの「設定」ではなく、ロックフェスにふさわしい「ホントのメタル」であることを証ししていた。
最後には観客全員が「We are?」「BABYMETAL!!」のC&Rでキツネサインを掲げた。この日、Linkin Parkを観ずにBABYMETALを選んだ観客のうち、それを後悔した人はおそらく一人もいなかっただろう。
翌日の大阪・舞洲会場でのBABYMETALの出番はFlower Stageの15:25。この時間ならOcean Stage16:50~のLinkin Park、18:55~のMETALLICA、Mountain Stage17:30~のチープトリック、19:10~のThe Stone Rosesを見るのに支障はない。
最も小さなステージだったが、ヘドバ行脚初日@難波ROCKETS、メジャーデビューリリース記念ライブ@心斎橋FANJ twiceと、節目節目に単独ライブを行ってきた大阪のファンは、前日にもまして巨大なWODを作り、サークルモッシュを繰り返した。


しかし、真夏の太陽に直上から照らされたステージは、灼熱地獄だった。
のちに三人がラジオや雑誌で語ったところによると、鉄板のステージ床に膝をつくと「ジュッ」というほど熱く、「逃げだしたい」と思ったという。
だが、SU-は「中学生のゆいもあが頑張っているのだから」、YUIとMOAは「一人で歌っているすーちゃんが頑張っているのだから」とお互いを思いやり、最後までステージを全うできたのだという。
そのアーティスト魂を、キツネ様は見ていた。そしてキセキが起こった。
METALLICAを敬愛するメタルガールズの噂を聞いた帯同カメラマンのロス・ハルフィンが、ラーズ・ウルリッヒ(D)を連れて来て、舞台袖からBABYMETALのライブを見学していたのだ。
それを知った三人とKOBAMETALは、終演後、METALLICAの楽屋にTシャツを届けに行き、そこでフォトセッションが行われた。「ロン毛のお兄さん」カーク・ハメット(G)の画像は、2014年以降の「紙芝居」にたびたび登場する。

METALLICAとのツーショット写真は、直ちにBABYMETAL公式Twitterにアップされ、それが、BABYMETALの運命を大きく変えて行く。
実は、BABYMETALは前日の幕張でチープトリックともツーショットを撮っているのだが、メタルの王者METALLICAがニコニコ顔で、BABYMETALと写真に納まっていることは、文字通り「メタルマスターの扉」を開いたことになる。五月革命の「紙芝居」が、わずか3ヶ月で現実のものになったのだ。


METALLICAとのツーショットはBABYMETALの名前を世界に広め、Sonisphere 2014を企画していた人々や、レディ・ガガの目にも留まった。
また、ここからBABYMETALとMETALLICAの直接交流が始まり、映画『スルー・ザ・ネバー』のキャンペーン出演や、2017年1月のMETALLICAソウル公演前座出演へとつながっていった。

2013年9月22日。BABYMETALは滋賀県草津市烏丸半島芝生広場で行われた西川貴教主催のイナズマロックフェスに出演した。ここでもう一つ、BABYMETAL史上、大きな出来事が起こった。
このライブから、神バンドにMIで大村孝佳の担任だった天才ギタリスト、小神様こと藤岡幹大が加わったのだ。
藤岡幹大は1981年1月生まれで、神バンドのコアメンバーでは最年長だが、幅広い音楽性と超絶的な演奏技術を持つギタリストで、MI講師を務め、『Young Guitar』誌の奏法講座や多くの教則本を執筆したように、奏法を体系的に説明できる理論派でもあった。
小柄なため、神バンドでは小神様と呼ばれたが、彼の参加によって、BABYMETALの音楽性は先鋭さを増し、生演奏のソロにスリリングさが加わった。LOUDPARK 13(大村&藤岡)、Sonisphere 2014(Leda&藤岡)での演奏は、本物のメタルヘッズに衝撃を与え、BABYMETALの虜にした。
以降、Leda、大村孝佳、藤岡幹大がレギュラーの神バンドギタリストとなり、このうちの誰かが他の仕事で参加できない時でも、神バンドは万全の体制でライブを行えるようになった。
なお、イナズマロックフェスでは、青山秀樹に代わって、かどしゅんたろうがドラマーに入った。
BABYMETALの出番は、14:05~で、午後のメインステージトップバッターだった。
セットリストはJoin Aliveと同じ「メギツネ」「いいね!」「Catch Me If You Can」「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の順。


BABYMETALの楽曲は、ギターソロのパートもツイン構成であり、アドリブの余地はほとんどない。
だが、演奏者のタイミング感や短いソロのちょっとしたフレージングの違いは、楽曲の印象やノリに大きく影響するものだ。「ヘドバンギャー!!」の演奏を、初代神バンド、Leda&大村、Leda&藤岡、大村&藤岡、銀河神バンドで比較してみると、相当違うことがわかるだろう。
イナズマロックフェスでの「Catch Me If You Can」は、まだ「神バンドソロ」にはなっていないが、イントロの16小節で、Leda→藤岡が短いアドリブを入れている。かど神のドラムスは青山神に比べてややルーズだが、Leda&藤岡のコンビネーションは、思わず引き込まれてしまうスリリングさを持っていた。グルーヴ感に満ちた演奏にノッて、三人の表情もクルクル変わり、見ているだけで楽しかった。

「ヘドバンギャー!!」で、YUI&MOAがニコニコ顔でCO2を噴射し、「ヘドバン!ヘドバン!もっともっと!」と煽ると、会場は大ハッピーなBABYMETALの世界観に包まれた。フィニッシュの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」では、会場の後ろの方まで「Xジャンプ」をし、キツネサインを掲げた。のちに西川貴教はラジオでBABYMETALを絶賛している。


2013年10月18日のタワレコ新宿店15周年大感謝祭「15の夜」@赤坂Blitzでは、BABYMETALは、鬱P、浮気者(SuG武瑠)、ニューロティカ、ピエール中野(凛として時雨)というラインナップの一角を占めた。
セットリストは野外フェスとは異なり「BABYMETAL DEATH」「メギツネ」「君とアニメが見たい」「おねだり大作戦」「ヘドバンギャー!!」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の6曲だった。

セトリの違いが、大きな意味を持っていることがわかるのは、2013年10月20日、「ロックフェス修行」の締めくくりとなるLOUDPARK 13@さいたまスーパーアリーナだった。
(つづく)