国内感染ファクター | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ
本日3月18日は、2012年、スポニチ“なでしこメタル特集”でBABYMETALが紹介され、2016年には、「KARATE」フルMVが公開され、THE ONE 限定イベント2DAYS(4/20、21)開催決定が発表された日DEATH。


■武漢ウイルス関連データ
●感染状況
・感染確認国 166か国・地域 うち100人以上48か国 ほかクルーズ船3隻
・全世界 (3月17日現在)感染確認者179,112人/死者7,426人/致死率4.1%/拡大指数1.069
・うち日本(3月18日7:00現在)感染確認者880人/死者29人/致死率3.3%/拡大指数1.054
・日本のインフルエンザ患者数(2020年第10週)約721.8万人うち入院12,873人
●ランキング
・感染確認者数 日本880人→166か国中17位
・10万人当たり 日本0.67人→48か国中38位 166か国中84位
・死者数 日本29人→164か国中9位
・回復率 日本880人中171人(19.4%)→48か国中8位 166か国中15位
出典:Wikipedia「新型コロナウイルス感染症の流行」、WHO「Situation Report-57」、厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(3月17日版)」

武漢ウイルスの感染確認者が増えるにつれ、「中国人旅行者が多く訪れたところは感染者が多い」とか、「一帯一路に熱心な国ほど感染者が多い」と語る人が現れ始めた。
また、このブログでは偽陽性・偽陰性の問題から「PCR検査をスクリーニングに使うべきではない」と力説してきたが、逆に「日本の感染者が少ないのはPCR検査数が少ないからだ。検査数を増やせばもっと感染確認数も増えるはずだ」という人もいる。
さらには「外国人が多く住む地域ほど感染者が多い」から入国管理法見直しに言及し、暗に「外国人を締め出せ」と言わんばかりの人も現れている。
本当にそうなのか。
右であれ左であれ、社会的な事象に関する主張には検証可能な根拠が必要だというのがぼくの考えなので、これらをデータで検証してみる。

出典:

厚生労働省「新型コロナウイルス陽性者数とPCR検査実施人数」(3月15日掲載分)

uub.jp「都道府県区市町村ランキングデータ」(2019年10月)

JNTO「日本の観光統計データブック」

法務省「平成30年末現在における在留外国人数について」

 

(1)感染確認者数とPCR検査数の相関

相関係数CORREL=0.77

散布図を見ればわかるように、各都道府県の感染確認者数とPCR検査数には明らかな相関関係がある。

神奈川県の検査数2051件はクルーズ船を含むので、これを除外すれば相関係数はもっと高くなる。

「PCR検査を増やせば陽性=感染確認者数が増える」ことはデータから立証できる。

したがって、「日本の感染確認者数が他国に比べて少ないのは検査数が少ないからだ」というところまでは正しい。

だが、「だから韓国のようにどんどん検査を増やすべきだ」という意見は、決定的に誤りであることも同時に導き出される。

武漢市はもちろん、けた違いの死者数を出しているイタリア(2503人)、イラン(988人)、スペイン(533人)といった国々では、やみくもに検査を行うことで、偽陽性を含めて、軽症でも隔離しなければならない患者があっという間に増えてしまった。病院ではベッドも医療スタッフも医療機器も足りなくなり、肺炎が重症化した患者に手が回らず、多くの死者が出てしまった。

本当は風邪に毛の生えたようなこのウイルスで最も恐ろしいのは、「地獄の武漢」イメージに由来する恐怖心がもたらす医療崩壊なのである。

日本では、政府・厚労省が「いわれのない恐怖」を排除し、専門家チームの「積極的防疫調査」方針に従って、感染者クラスターにしぼってPCR検査を行っているから、感染確認者数が少ない。そのことによって隔離しなければならない偽陽性も少なく、高齢者など重症化しやすい方の早期対処が行えている。

マスコミが「検査、検査」と煽ったことを受けて、安倍首相は二度の記者会見で、「必要な方にはPCR検査を実施することができる体制を整えている」と述べた。

しかし、実際には風邪様の症状を訴える人が、検査を求めて医療機関に押し寄せるというような事態にはなっていない。もちろん、先月末にワイドショーで報道された母親のように、少数の事例は存在するだろうが、ほとんどの日本人は、「積極的疫学調査」の方針を理解し、発熱しても自宅で数日様子を見た上で、各県の相談センターに連絡し、指示に従うというモラルを守っている。涙が出るほどすばらしい。

それを示すのが以下のデータである。

 

(2)感染確認者数と人口の相関

相関係数CORREL=0.76

実は感染確認者数と大きな相関を示すのは、PCR検査数だけではない。なんのことはない各都道府県の人口も、感染確認者数と明らかな相関関係がある。

感染確認者数のトップ3である北海道、愛知県、大阪府が人口トップ3ではなく、和歌山県、高知県といった人口の少ない県のクラスターが目立つので気づきにくいが、散布図を見れば、北海道を除き、全体として右肩上がりになっていることがわかる。

つまり、PCR検査数は人口に応じて実施され、それに準じて感染確認者が出ている、あるいは人口に応じて感染者が現れ、そのクラスターを追跡する中でPCR検査が行われているというのが実態なのだ。

人口が少ないのに、不安に駆られた人々のためにPCR検査が大量に行われ、偽陽性も含めて感染確認者が大量に出ているという都道府県はない。

それでは、人口が少ない北海道で感染者数が突出したのはなぜか。和歌山県、高知県で感染者クラスターが発生したのはなぜなのか。

ウイルスを持ち込んだ中国人旅行者が多かったからではないのか。

 

(3)10万人当たり感染確認者数と中国人旅行者訪問率の相関

相関係数CORREL=0.32

JNTOの「日本の観光統計データブック」には、2018年度ながら、日本を訪れた中国人旅行者の都道府県別訪問率データが掲載されている。「率」なので、人口のバイアスを排除するため、都道府県別に10万人当たりの感染確認者数と中国人旅行者の訪問率を散布図にした。

最も多くの中国人が訪れる東京都の10万人当たり感染確認者数は0.67人、2番目の大阪府は1.17人、3番目の京都府は0.66人、4位の千葉県は0.49人、5位の奈良県は0.60人で、大阪を除いて、10万人当たり感染確認者数の上位5位とは一致しない。

相関係数を見ても、「中国人旅行者が多いほど感染者も増える」という主張は、データ上、立証できない。

では、旅行者ではなく、在住している中国人が「春節」で戻ってきたからではないのか。確かに日本初の感染者は武漢市から帰国した神奈川県在住の30代中国人男性だった。

 

(4) 10万人当たり感染確認者数と10万人当たり外国人数の相関

相関係数CORREL=0.10

各都道府県の感染確認者数と外国人登録者数を、10万人当たりに換算して散布図にした。

一見してわかる通り、ドットの分布はランダムである。

10万人当たり外国人数トップの東京は、10万人当たり感染確認者数では7位。

外国人2位の愛知県は感染確認者数では3位、外国人3位の群馬県は感染確認者数では17位、外国人4位の三重県は感染確認者数では14位、外国人5位の岐阜県に至っては、感染確認者数は28位である。

逆に、感染確認者実数トップの北海道は、10万人当たり外国人登録者数では全国39位である。

要するに「外国人登録者数が多い都道府県ほど感染者が多い」という説も、データ上、立証できない。

したがって、「この際、外国人定住者を締め出してしまえ!」という主張は、単なるヘイトに過ぎず、「一帯一路に熱心な国ほど感染者が多い」という意見も、本当は武漢ウイルスとは無関係であり、政治的な発言と見なければならない。

 

確かに、武漢ウイルスのわが国における流行初期には、中国人旅行者が発症したり、バスやタクシーの運転手に感染させたりしたケースがあった。しかし、国内感染が広がる時期に、各地で発生した感染者クラスターが、中国人旅行者ないし帰国した在日中国人由来であることは立証できない。

以前分析した愛知県のクラスターでは、「ウイルスのイブ」を国内に持ち込んだ1人は、ハワイから帰国した名古屋市在住の70代女性だった。

各地のクラスターを追跡していくと、どこでウイルスをうつされたかもわからず、無自覚のまま雪まつりに行ったり、屋形船で宴会をしたり、スポーツジムで汗を流したり、ライブハウスのコンサートを楽しんだりした感染者がいて、しかも、同じように行動しても8割の方は他に感染させないのに、たまたまある特定の方の体内で、通常の10倍前後の感染力を示すウイルスが増殖したために、その方から次々と感染が広がり、クラスターが発生したことがわかっている。

このウイルスは、健康な人が罹患しても、潜伏期間が長く、すぐには重症化しない。さらには特定の感染者だけが、強力な感染力を持つウイルスを増殖させる。

だからこそ、クラスターから濃厚接触者を追跡し、優先的に検査して、陽性なら隔離し、陰性でも健康観察対象として警戒を緩めない「積極的疫学調査」戦略が有効なのである。

その特性を踏まえつつ、このデータを見れば「国民全員に検査を」と主張することも、「中国人旅行者・在日外国人を締め出せ!」という主張も、等しくナンセンスであることがわかるはずだ。

つけ加えれば、何度も書いているように、武漢ウイルスは風邪に毛の生えたようなウイルスであって、数千人単位の死者が出るインフルエンザに比べれば、脅威とは言えない。

今起こっている事態の本質は「パンデミック」ではなく、「インフォデミック」である。

あることないこと騒ぎ立て、視聴率とアベヤメロと日本下げに結びつけたい人たちの妨害をはねのけ、日本人が普通の日常を取り戻す日が一日でも早く訪れてほしいと願う。