Fukushima 50(ネタバレ注意) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ

本日3月10日は、BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

 

■武漢ウイルス感染状況データ(3月9日現在)

●感染確認者数/死者数/致死率

・中国以外 感染確認者2,8104人/死者470人/致死率1.7%

・うち日本 感染確認者522人/死者9人/致死率1.7%

→神奈川県で8日1人、東京都で9日1人が死亡し、国内死亡者は9人となった。

→アメリカの感染確認者数が日本を上回り、日本は世界9位に下がった。日本を韓国・イタリア・イランと並ぶ「エピデミック危険国」と名指ししたテドロスさん、これどうすんの?

●拡大指数(当日感染確認者数÷前日感染確認者数)

・中国以外 3月5日1.068→3月6日1.435→3月7日1.015→3月8日1.112→3月9日1.088

・うち日本 3月5日1.094→3月6日1.156→3月7日1.108→3月8日1.091→3月9日1.032

●人口比感染確認率(感染確認者数÷人口)

・ワースト10 1位バチカン0.20000%、2位サンマリノ0.10909%、3位オランダ0.01868%、4位アイスランド0.01724%、5位デンマーク0.01592%、6位イタリア0.01517%、7位韓国0.01414%、8位イラン0.00869%、9位バーレーン0.00642%、10位中国0.00579%

・日本→103か国中41位

●致死率(死者数÷感染確認者数)

・ワースト10 1位アルゼンチン11.1%、2位イラク10.0%、3位イタリア5.0%、4位オーストラリア4.7%、5位カナダ4.3%、6位フィリピン4.2%、7位中国3.9%、8位アメリカ3.6%、9位サンマリノ2.8%、10位イラン2.7%

日本1.7%→21か国中15位

※傍線部については、データ元の数値が変ったため、数値を修正いたします。(3月11日記)

 

今から9年前の2011年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源地とするマグニチュード9.0、最大震度7の巨大地震が発生した。

福島第一原子力発電所では、送電所からの電力供給は一時止まったものの非常用電源(DG)が起動し、所員たちは緊急時の訓練通り、即時にすべての原子炉を停止させ、事なきを得たかに思えた。

ところが、それから56分後、想定をはるかに超える大津波が押し寄せ、浸水によって非常用電源が止まり、福島第一原子力発電所は、全電源喪失SBO(ステーション・ブラック・アウト)状態に陥った。

核燃料の連鎖的核分裂反応=臨界によって発電する原子炉では、運転を停止しても、核分裂生成物の放射性崩壊が収まらないため、冷温停止の状態になるまで冷却し続けなければならない。冷却できないと、余熱と崩壊熱によって燃料棒や原子炉自体が融けてしまうメルトダウン (炉心溶融)が起こる。

メルトダウンはもはや人間には制御できない。

再臨界に達した核燃料が崩壊熱で地面を溶かしながら沈降するメルトスルーという事態は、アメリカで融け落ちた核燃料が、地球の中心を通り抜けて中国にまで達するというジョークから、別名チャイナシンドロームという。実際にはそんなことが起こる前に、原子炉を囲っている格納容器が内圧の高まりによって爆発し、核燃料が直接外に漏れ出るメルトアウトが起こる。

そうなれば、大量の放射線で、所内にある他の原子炉はもちろん、隣の福島第二発電所にも近づけなくなり、チェルノブイリの10倍の放射能が東京を含む半径300㎞圏内を汚染し、5000万人が住めない状態になってしまう。東日本壊滅である。

だが、今、ぼくらは生きている。福島も東北地方全体も復興を続けている。

それは、吉田所長以下、福島第一原子力発電所の所員たちが、文字通り命がけで、原子炉内の圧力を開放する「ベント」を行い、各原子炉に冷却用の水を注水し続け、メルトダウンが食い止められたためである。

先週金曜日、『Fukushima 50』(松竹/KADOKAWA配給)という映画が封切られた。

事故発生当時、発電所内には約800人の作業員がいた。SBO、東電本社の手違いによる電源車の電圧仕様ミス、1号機、3号機建屋の水素爆発などに苦しみながら、彼らは必死に作業を続けたが、地震発生から4日後の3月15日、4号機建屋の水素爆発によって所内の放射線量が高まり、2号機のメルトダウンの可能性が高まったため、東電は、約800人いた所員や関連企業スタッフの多くを退避させた。そこに居残り、命がけでメルトダウンを防いだ所員は、吉田所長以下、実際には69名いた。

Fukushima 50とは、彼らを海外メディアが切りの良い数字を用いてヒーローだと呼んだことに因む。

だが、この映画でも、原作となった門田隆将氏の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五百日』でも、彼らをヒーローとしては描いていない。ただ絶望的な状況の中で、事態が収まるまであきらめずに己の為すべき仕事を続けた人間群像として描いている。

この映画にはフィクショナルな意味での悪役もいない。

現場にヘリで駆けつけ、「ベントを急げ!」と吠えまくる当時の首相菅直人(佐野史郎)も、官邸に逆らえない東電役員(段田安則)も、吉田所長(渡辺謙)、伊崎1号機当直長(佐藤浩一)以下、所員たちの必死な作業工程の足を引っ張ったという事実は描かれるが、彼らなりに押し寄せる問題に対処しようとしていたのであり、決して悪意があってそうしたのではないことが淡々と描かれている。

さらにいえば、この映画では、原発の是非についても一切触れていない。

地元の人たちは福島第一原子力発電所を「エフイチ」と呼び、発電所内で懸命に作業する所員たちを子どもの頃から見知っていたことが描かれる。さらに若い前田所員(吉岡秀隆)が、「ぼくはこいつ(1号機)に育てられたんです」といい、伊崎が「子どもみたいにやんちゃな奴だからな」と答えるように、所員が原子炉をまるで人格を持った生き物のように愛していたことも描かれる。

その一方、避難民の中には「何が起こってるんだ、説明しろ!」と怒鳴る老人や「原発なんか作るからこんなことになるんだ」と嘆く女性がいたことも描かれる。

自衛隊が登場し、電源ケーブルを敷き、原子炉への注水作業に協力する姿も描かれる。最後の方に「トモダチ作戦」で救援物資を配る米軍も登場する。だが、彼らはメルトダウンを防ぐ建屋内の作業には関わっていない。少なくともこの映画では、自衛隊や米軍は単なる脇役役である。

世界から称賛された配給物資の列でも規律を守る日本人のモラルも、ことさら描かれてはいない。

東電本社に押しかけるマスコミも出てくるが、「福島民友新聞」の記者(ダンカン)が泣きながら「福島はいったいどうなるんですか?」と役員に詰め寄るシーンがあるだけで、朝日新聞による「吉田調書」の誤報など、その功罪は描かれない。

「決死隊」によるGE製の1号機の手動ベントは結局失敗するのだが、吉田所長のアイデアであっけなく成功してしまう。2号機の格納容器の内圧が異常に高まり、メルトダウンまでカウントダウン状態となるが、建屋のパネルが一枚はずれたことをきっかけに、なぜか突如内圧が下がり、収束に向かう。その理由は今に至るまでわかっていない。その経緯も「人間の努力」とは別に淡々と描かれる。

だから、この映画は『ダイ・ハード』のようなドラマチックなヒーロー映画にはなっていない。

同時に、一方的なイデオロギーにもとづく映画でもない。

監督の若松節郎は、凄惨な事故現場の臨場感あふれるセットや、迫りくる恐怖や放射線量と闘いながら必死で作業に当たりつつ、家族に思いを馳せる所員たちの迫真の演技によって、「あの時何が起こっていたのか」をリアルに描くことのみに徹している。

映画としての面白さという点では、個人的には60点くらいだと思う。

だが、この映画はそれを目指していない。

2013年に喉頭がんで亡くなった吉田所長の葬儀シーンに続き、映画のラストでは、「2020年東京オリンピック・パラリンピックは「復興五輪」と位置づけられ、聖火リレーはここ福島からスタートする」という字幕が現れる。

そうなのだ。

これは、9年前にこの日本で本当に起こった大惨事だった。

この映画はぼくらがそのことを忘れないためにつくられた。

東日本大震災の死者・行方不明者は24,585人。震災関連死は認定されただけでも3,739人。

日本を壊滅させないために、命がけで戦ってくれた方々のおかげで、ぼくらは今、生きている。

日本人は、彼らの意志を引き継ぎ、絶望から立ち上がった。

東京オリンピックはそれを世界に示す場なのだ。だからこそ、武漢ウイルスなどに負けず、絶対に成功させなければならないのだ。

もっとも、だからこそ、中止に追い込みたい連中も多いんだろうけどね。