汎ヨーロッパツアーの意味 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
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★今日のベビメタ
本日12月15日は、2016年、Red Hot Chili Peppers UKツアーのSpecial Guestとして、マンチェスター@Manchester Arenaに出演(二日目)した日DEATH。

明日、明後日は、今年初めての会員限定ライブ「APOCRYPHA - ANOTHER GALAXY」@Zepp Divercityが行われる。解かれる「封印」とは何なのか、気になるところだが、今日は先走りして来年の話。
Zepp Divercityの収容人数は2,473人で、SSAや大阪城ホール、幕張メッセと比べると、約10分の1の規模だから、BABYMETALのライブとしては「小箱」といわれる。
もちろん、ほとんどのロックバンドや地上波に出ないアイドルグループにとって、2,000人以上の会場をコンスタントに埋めるのはなかなか大変である。
BABYMETAL自身も、2012-13年の単独ライブはこの規模だった。Zepp Divercityは2013年の「五月革命」東京ラウンド3公演で使われたのが初めてである。


それが、今やBABYMETALの国内公演は、2万人前後の会場がメインとなっている。
とはいえ、今年の「全米横断ツアー」の単独公演で使われた会場は、ロサンゼルスのThe Forum(17,500人)、ワシントンD.C.のThe Anthem(6,000人)、シカゴのAragon Ballroom(5,000人)の3大都市を除けば、1600人~3600人程度の「小箱」である。
東欧ポーランド、南欧スペインでの単独公演が追加され、いよいよ「汎ヨーロッパツアー」の様相を呈してきた2020年2月からのワールドツアーで用いられる会場の規模も、ほぼそれに準じている。
すでに公表されている6月までのスケジュールを、整理してみると、2月3日から3月1日までの西欧・北欧ツアーが「汎ヨーロッパツアー」第一ラウンド、3月27日から5月16日までは東南アジアツアー、6月8日のポーランドからが「汎ヨーロッパツアー」第二ラウンドという感じになる。今後その他の地域や国々、アメリカ、日本でのライブが追加される可能性もある。
各会場の収容人数とフェスの動員予想数をまとめてみた。(日付は現地時間)

●汎ヨーロッパツアー第1ラウンド
2月3日スウェーデン・ストックホルム@Fryhuset(3,500)
2月4日ノルウェー・オスロ@Sentrum Scene(1,750)
2月5日デンマーク・コペンハーゲン@Vega Main Hall@(1,150)
2月8日ドイツ・ハンブルグ@Große Freiheit 36(1,000)
2月9日フランス・パリ@Élysée Montmartre(1,380)
2月11日オーストリア・ウイーン@Gasometer(3,000)
2月13日ドイツ・ケルン@Carlswerk Victoria(1,200)
2月14日ドイツ・ベルリン@Huxleys(1,600)
2月16日ベルギー・ブリュッセル@AB(2,000)
2月17日オランダ・ティルブルフ@013(3,000)
2月19日UK・グラスゴー@Barrowland(2,100)
2月20日UK・カーディフ@The Great Hall(1,500)
2月22日UK・マンチェスター@O2 Apollo(3,500)
2月23日UK・ロンドン@Eventim Apollo(    5,000)
2月26日フィンランド・ヘルシンキ@House of Culture(1,500)
2月28日ロシア・サンクトペテルブルク@M-1 Arena(2,000)
3月1日    ロシア・モスクワ@Adrenaline Stadium(8,500)

●東南アジアツアー
3月27日タイ・バンコク@GMM LIVE HOUSE(2,569)
3月28日マレーシア・クアラルンプール@KL Live(2,500)
3月29日インドネシア・ジャカルタ@Basket Hall Senayan(7,166)
4月3日    台湾・台北@NTU Sports Center 1F(2,000)
5月16日フィリピン・マニラPULP SUMMER SLAM@SM Mall of Asia(22,000)

●汎ヨーロッパツアー第二ラウンド
6月8日ポーランド・ワルシャワ@Stodola(1,200)
6月11日~13日スイス・インターラーケンGreenfieldフェス(20,000?)※
6月14日UK・レスターシャー州Download Festival2020@Donington Park(40,000?)
6月17日オランダ・ユトレヒト@Tivoli Ronda(2,000)
6月19日ベルギー・デッセルGrasshop Metal Meeting@Festival Park(20,000?)
6月21日フランス・クリッソンHellfest2020(20,000?)
6月23日スペイン・マドリッド@ La Riviera(2,500)
6月24日スペイン・バルセロナ@Razzmatazz(2,500)
※スイス・インターラーケンのGreenfieldフェスは、6月11日~13日の開催だが、BABYMETALの出演日程が決まっていないため、公式サイトのツアースケジュールには未表示。

すでに第一ラウンドの単独ライブのチケットはほとんどの会場がSOLDOUTしている。
2月23日UK・ロンドン公演@Eventim Apollo(5,000人)は、今年O2 Academy Brixton(4,921人)をSOLD OUTしているので当然だが、3月1日のロシア・モスクワ@Adrenaline Stadium(8,500人)は初めての訪問だし、3月29日のインドネシア・ジャカルタ@Basket Hall Senayan(7,166人)は2012-13年のAFA以来となるので、ちょっと心配な大会場だが、その他の会場はやはり2,000人前後の「小箱」である。
当ブログでは、これまでBABYMETALの「動員数」を、「BABYMETALを直接観た人」という意味で、フェスの出演ステージ前の観覧者概数を算入している。
これを入れた海外での「動員数」は、
2014年約19万3000人
2015年約25万5000人
2016年約39万3000人
2017年約32万人
2018年約16万3000人
2019年約14万5000人
と推移してきた。
2016年をピークに、「海外動員数」が減ってきているようにみえるのは、前座とフェスの出演数をカウントしているからである。
2016年、2017年が突出して多いのは、レッチリ、メタリカ、KOЯNのツアーに帯同し、これらのバンドが2万人規模のスタジアムやアンフィシアターを巡っていたので「BABYMETALを観た人」=動員数が飛躍的に増えたからだ。
この構造は2014年から始まっている。2014年の19万3000人のうち、レディ・ガガの前座が12万人近く、これにSonisphere 2014の6万人を加えた数が海外動員数のほとんどを占める。
2015年、2016年も同様で、東京ドーム11万人があったとはいえ、Reading & Leeds(2015年)、Download UK/パリ(2016年)など、大規模フェス出演が海外での動員数の基礎数となった。


2018年は年末にシンガポールでJudas Priestの前座を務めたが、2,300人の会場であり、アメリカ、ヨーロッパでは単独公演が中心で、フェスはアメリカ1回、ドイツ2回、イギリス1回、オーストラリア3回という構成だった。
今年のフェスは、グラストンベリー、スーパースリッパ、Aftershockの3つしか出演していない。BABYMETALを土曜日のヘッドライナーにした香港のClockenflapフェスは不幸にも中止になってしまった。それで16万3000人を動員したのは、逆にすごいことだといえる。
つまり、2018年以降のBABYMETALは、「海外動員数」を稼げる大物バンドの前座や、名前を売るためのオープニングアクト的な大規模フェス出演ではなく、真の動員数が問われる単独公演+集客を求められてのフェス出演という大物/人気ライブバンドのツアースタイルになってきたのだ。


ちなみに、ここに挙げた6月までのツアースケジュールで予想される「海外動員数」は、約18万1500人となり、すでに2018年、2019年を超えている。
まだ半年分だから、今年と同じように年末まで活動するとすれば、2016年、2017年の動員数と並ぶか、それを超える可能性は高い。
それにしても、『METAL GALAXY』を引っ提げてのワールドツアーは、日本人アーティストとしては前代未聞の規模になった。もはや堂々たる世界的バンドといっていい。
ただ、2,000人規模の会場で10公演やるのと、2万人規模の会場で1公演するのとでは、「BABYMETALを観た人」の数は同じだ。
レッチリやガンズは2万人規模の会場を巡る単独ライブツアーを軽々とやっている。
それをBABYMETALは生で経験した。
今、欧米で「小箱」のライブをやっているBABYMETALは、かつて日本国内でやっていたように、欧米でもコアとなるファン=THE ONEを創っているのだ。
近い将来、欧米でも2,000人規模のライブは、「小箱」といわれるようになり、なかなかチケットの取れない会員限定ライブ―Apocrypha―と呼ばれるようになるかもしれない。