LOVEBITESについて | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


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―May the FOX GOD be with you―

★今日のベビメタ

本日5月5日は、2016年、アメリカ・ボストン@House of Blues公演が行われた日DEATH。

 

昨年10月にリリースされたLOVEBITESの1stフル・アルバム『Awakening From Abyss』を、遅ればせながら聴いた。

昨年12月に行われたJapan Culture Festivalや、カムデンのUnderworldでのLOVEBITESのライブにRichardさんが参加し、BABYMETALと出会ったときと同じような衝撃を受けたと書いていたので、ちゃんと聴かなきゃなと思っていたのである。

LOVEBITESは、2017年5月にメジャーデビューした女性5人組のメタルバンドである。

asami:Vocal。つんざくような高音ではないが、幅広い表現力を持つボーカリスト。

バンド加入前はメタルには無知だったという。海外でのファンカムを見ると英語も堪能な様子で、作詞も担当。

midori:Guitar。元激情★めたりっちぇ。イングヴェイ・マルムスティーンばりのネオ・クラシカルな超絶フレーズを連発する速弾きギタリスト。私見では女版Syu。

miyako(mi-ya):Guitar&Keyboard。元a DROP OF JOKER、元21g。アルバムでは数曲の作編曲を手がけ、ギタリストとしてもシュレッドからマスロック的なフレーズまで変幻自在に弾きこなす。同じく私見では女版Leda。

miho:Bass。リーダー。元DESTROSE。アルバムでは数曲の作詞を手がけ、ベーシストとしては、タイトなリズム感でバンドサウンドを堅実に支えている。

haruna:Drums。元DESTROSE。彼女以上に速く、パワフルな女性ドラマーを見たことはない。アルバムはほぼ全曲ツービートであり、スラッシーな疾走感にあふれている。MVでは上から撮影されたアングルで胸元が強調されていて、邪魔にならないのか不思議になる。

と、紹介した時点でネタバレであるが、演奏力は女性バンドとしては、前代未聞の水準である。

はっきり言って、ぼくにはいわゆるガールズバンドや「嬢メタル」で好きになれるバンドがいなかった。その理由の8割以上は、演奏力にあった。

ドラムスの音が軽い。ベースがのったりしていてリズムがタイトじゃない。ボーカルの歌い方が「不良っぽさ」「セクシーさ」を強調するあまりクサい。ギターは常套的なリフばっかりで、速さやフレージングのキレがない。キャバクラ風の衣装・化粧・髪型があざとい、などなど、好きになれる要素がなかった。

だが、LOVEBITESは、演奏力という点で、外見とは裏腹に、オタクなほど音楽性と演奏技術を極めている。PANTERAやIRON MAIDENやANTHRAXが大好きなリーダーのmiho(B)とharuna(D) が、「大人の女性がやるへヴィメタル」をコンセプトに、VAMPSやUVERworld のコーラスを務め、プライベートではR&Bを歌っていたボーカルのasamiを誘い、ANIMALS AS LEADERS(!) が大好きなmidori(G)が加入し、さらにイングヴェイ好きのmiyako(G&Key)がサポートギタリストとして加わり、のちに正式加入してアルバムの方向性が決まったらしい。

活動歴は以下のとおり。

2016年に前述の経緯でバンド結成。ビクター・エンタテインメントと契約。

2016年11月18日、TSUTAYA O-WESTで開催された『WOMEN’S POWER Presents “Girls Band Next Generation”』に出演。

2016年末から、CD制作を開始。NIGHTWISHやCHILDREN OF BODOMを手がけたフィンランドのミッコ・カルミラ、ミカ・ユッシラをエンジニアに起用。

2017年5月24日、1stミニ・アルバム「THE LOVEBITES EP」をリリース。

同じ月のうちにフルレングス・アルバムのレコーディングを開始。8月、mi-yaが正式加入。2017年10月25日、1stフル・アルバム「AWAKENING FROM ABYSS」をリリースし、オリコン総合18位にランクイン。

2017年11月17日のTsutaya-O-Westを皮切りに、12月6日名古屋Appolo Base、7日に大阪心斎橋アメリカ村Drop。イギリスに渡ってロンドンのJapan Culture FestivalおよびカムデンUnderworldでの単独ライヴを挙行。イギリス人メタルヘッズに高い評価を受けた。

この活躍に『BURRN!』と『PLAYER』の読者人気投票で新人賞を受賞。伊藤政則のラジオ番組『POWER ROCK TODAY』のリスナー投票で、『AWAKENING FROM ABYSS』が年間4位入賞。

2018年2月、渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演を挙行。

2018年4月、Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG@幕張メッセに、KORN、PROPHETS OF RAGE、Limp Bizkitらとともに出演。この模様は、『ヘドバン』Vol.18P.39に掲載されている。

なお、このフェスにはPass Codeも出演しており、BABYMETALに続く日本の女性ラウド系アイドルもしくは女性メタルバンドの“Rising”ぶりを示しているとぼくは思う。PROPHETS OF RAGEは、あのパブリック・エナミーとRAGE AGAINST THE MACHINEが合体し、反米帝国主義を標榜するバンドですぜ、旦那。

2018年、6月6日には、2ndミニ・アルバム「BATTLE AGAINST DAMNATION」をリリース予定。今回も、引き続きフィンランドのエンジニア・チームを起用し、Finnvox Studiosにて作業を行なったとのこと。また、前作同様、ダビド・ロペス・ゴメスらがアートワークを担当する。この作品からmi-yaがmiyakoに改名することになる。

2018年7月には、ANTHEM主催の「HEADSTRONG FES.18」のサーキット(川崎、名古屋、大阪)に参加し、8月にはドイツでの世界最大級のメタルフェス「Wacken Open Air」の最終日8月4日に、HELLOWEENやARCH ENEMYと同じステージに立ち、イギリスの「Bloodstock Open Air」には初日8月10日に出演することが予定されている。

バッケンは、近い将来BABYMETALが出演するのではないかと思われていたメタルフェスだが、LOVEBITESに先を越されたわけである。

2015年、2016年にBABYMETALが受賞した『METAL HAMMER』のGolden Gods Awardsで、2018年度ニュー・バンドのカテゴリーでLOVEBITESがノミネート。6月11日に発表がある。

こうした、国内外の高い評価も、『Awakening From Abyss』のアルバムを通して聴くとよくわかる。とにかく演奏は半端なく上手い。車の中で聴いていて、思わず大笑いしてしまうほどの上手さだった。彼女たちの意気込みや勢いを感じた。

だが、ぼくがちょっとだけ考えたのが、今、この時代にこれをやる意味である。

『Awakening From Abyss』は、全曲北欧風のメロスピ/パワーメタルである。

超絶テクニックで屈服させるという意味では、欧米人メタルヘッズは驚愕するだろう。女性だけでこれだけの演奏をやれるバンドは世界中に皆無である。教科書通り+きめ細かい細部の作りという意味では、まさにジャパンメイドであり、それをケバイコスチュームに身を包んだ若い女性がやるというのも、「今の日本」らしいことは確かだ。

しかし、そのコスチュームやMVの作りが、あまりに陳腐で、せっかくの卓越したバンドの演奏や緻密な楽曲の作り込みとかけ離れている。

『Awakening From Abyss』というタイトルは、「深淵からの覚醒」というほどの意味だ。

しかし、「Don’t Bite the Dust」のMVは、職場で男性の上司に怒られてばかりいるOLが反乱を起こすというストーリーだった。もう一本の「Shadow Maker」のMVは、地下室で5人がギグしている映像である。「深淵からの覚醒」には、抑圧されてきた女性が立ち上がること、日本人が海外で勝負することなど、いろいろな意図が含意されているはずで、こんなに完成度の低いMVではバンドのイメージを貶めてしまう。

miyakoが大好きだというAnimals as Leadersの「CAFO」のMVは、超絶的なギター演奏のクローズアップのバックに、奇怪な鳥が卵から孵化していくグロテスクな映像を重ねたものだった。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のスタジオMVは、荒野に北欧メタラーっぽい髭もじゃのオジサンが登場し、YUI、MOAがフライングVを弾くわけのわからないMVだったが、コミカルさを強調することで、BABYMETALのKawaiiパワーメタルが引き立つしかけになっていた。

「KARATE」では「強敵」に見えた相手が、最後には自分自身だったというプロットになった美しい映像だった。

BABYMETALは、荒唐無稽な「世界征服」「Metal Resistance」という大義があり、キツネ様というギミックが存在する。演奏・歌唱・ダンスの卓越性のほかに、もうひとつ、虚実皮膜のような物語性が、BABYMETALを支えているのだ。

LOVEBITESは、ヴィジュアル系の流れをくむ日本の「嬢メタル」のイメージが強すぎ、せっかくの卓越性が台無しになってしまっている。

「深淵からの覚醒」というタイトルで、ぼくが想像したのは、「巨大な魚」であった。

真っ暗闇の深海で、「巨大な魚」が目覚める。地表は戦火で破壊されつくし、ぼろぼろの人形を抱いた女の子が泣きながら立ち尽くしている。その廃墟に裂け目が生じ、突如として「巨大な魚」が現れ、空に向かって跳躍する。

それがアルバム冒頭のインスト「Awakening」のイメージだ。

「巨大な魚」というギミックは、抑圧され、虐げられてきたものの象徴だ。そこに「女性性」を見てもいいし、WGIPに押さえつけられてきた「戦後日本」を見てもいい。

メタルという音楽は、単に技巧的だったり、大音量であったりするだけではない。メタルにギミックがつきものなのは、ある種の自己投影のできる物語性や象徴性があるからである。

そして、卓越した演奏性をもつからこそ、ギミックが「ギャグ」ではなく、荒唐無稽だけど、そこに人間の真実があるように思える「虚実皮膜」になる。BABYMETALのキツネ様は、まさにこれなのだ。

LOVEBITESに必要なのは、物語性である。

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