洗礼の儀(1) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日10月4日は、過去にBABYMETAL関連では大きなイベントのなかった日DEATH。

 

まだ謎が多いが、12月に広島で行われると思われる今年最後のThe One限定ライブは、「洗礼の儀」と呼ばれるらしい。巨大キツネ祭り@SSA2日目終演後に示された予告編をもう一度引用する。

 

-引用-

5色の狐火は一つになり巨大な炎となって漆黒の闇を照らした夜。メタルレジスタンス第5章の全ての扉が開くのだ。5枚すべての扉が開いたとき、メタルレジスタンス第5章の終幕と共に、キツネ様の新たなお告げの全貌が明らかになる。(ここでスクリーンにはMETAL RESISTANCE EPISODE Ⅵ-APOCRYPHA-の文字)

それは聖なる人が聖なる神へと生まれ変わるイニシエーション。

5色の狐火の中から、ひときわまばゆい閃光を放ち、来るべき運命へと導かれたメタルの魂は、ついにあの聖地へと降臨するのだ。

その昔三つ目の狐の顔を持つ預言者は言った。第三の目から放たれる光が世界を照らすとき、新たな時代が到来する、と。

イニシエーションは、選ばれし勇者たちThe Oneとともに、ついにあの聖地で執り行われるのだ。(地球儀が回転し、日本の瀬戸内海に面した都市が赤く光る。スクリーンには「METAL RESISTANCE第6章-外典- 2017年 THEONE 今年最初で最後の限定イベント-洗礼の儀-開催!!」の文字)

-引用終わり-

 

「聖なる人が聖なる神へと生まれ変わるイニシエーション-洗礼の儀-」とは何か。

ライブの日時と場所については、巨大キツネ祭り@大阪城ホール2日目ないし翌日のLVまではっきりしたことはわからないが、「洗礼の儀」の意味については、ある程度察しがつく。

『BABYMETALの楽園』ブログ様のコメント欄に「名無し」としてチラッと書いたのだが、ここで妄想を大展開してみよう。

BABYMETALプロジェクトにおいて「神」と呼ばれるのは誰か。

それは藤岡神、BOH神、青山神、大村神、LEDA神ら、神バンドのメンバーである。曲と曲の間をつなぐオーケストラ楽曲を手掛け、表には出ないが、ライブのマニュピレーターを担当する宇佐美秀文氏も5人目の神バンドと呼ばれる。

してみるとBABYMETALというプロジェクトにおいて、「神」とは楽曲の制作者、演奏者を指すのではないか。

巨大キツネ祭り@SSAの予告編がいう「ひときわまばゆい閃光を放ち、来るべき運命へと導かれたメタルの魂」とは、フロントマンのSU-METALを指す。12月のライブが、広島生まれで、20歳となるSU-をフィーチャーしたものであることは自明である。

したがって、「人が神になる」とは、Vocal & Danceとして、歌とダンスを担当していたSU-METALが、楽曲の演奏者側、制作者側になることを意味するのだとぼくは思う。

昨年のAPMAsでミニアローを弾いて見せたScream & DanceのMOA、YUIが演奏者になることも考えられなくもないが、神の技量を持つとはいえず、ダンスが見られなくなってしまうのではBABYMETALの意味がない。順当に考えれば、さくら学院時代にシンガーソングライターを志していたSU-が、オリジナル曲を世に問う、BABYMETALの新たな局面に入っていくのだと思う。

もちろん「4の歌」はYUIとMOAが2013年9月にAFAインドネシアに遠征したときに遊びで作った曲で、ベビメタ唯一のオリジナル曲だった。しかし、あれはあくまでもナンセンスな「お遊び」ソングであり、あの歌詞にメディア批判的な深い意味があると主張しているのは、ぼくだけである。興味のある方はこちらをどうぞ。

https://ameblo.jp/jaytc/entry-12132752390.html

2010年~2012年までは、BABYMETAL=さくら学院重音部であり、「アイドル戦国時代」におけるキワモノ的アイドルと見なされていた。

2013年にメジャーデビューして、さくら学院から切り離され、神バンド帯同のロックフェス出演によって、立派なメタルバンドのフォーマットとなり、BABYMETALをメタルバンドとして取り上げる『ヘドバン』が創刊されるなど、メタルファンからも一定評価されるようになった。

2014年の日本武道館以降は海外に進出して爆発的な人気を博し、毎年ワールドツアーを行い、海外のロック/メタル専門誌から表彰され、東京ドーム2日間公演に11万人を動員し、レッチリ、METLLICA、Guns N’ Roses、KORN、STONESOURら大物ロックバンドのライブに帯同するまでになった。

それでも、BABYMETALはメタルじゃないと言いたがる人々がいる。

その最も強力な批判の論点が、「BABYMETALは大人が作ったメタル楽曲をやらされてるだけじゃないか」というものであった。

それがある程度説得力を持つのは、他人であるプロの作曲家・作詞家が作った楽曲を歌うのはポップス歌手であって、ロック/メタルバンドとは、自らの内奥から湧き上がる衝動によってオリジナル曲を作り、演奏するものだという「定義」が、一定の広がりをもって共有されているからである。

じゃあ、エルビス・プレスリーはどうなんだ?とか、ビートルズだって、初期の「Twist and shout」(アイズレー・ブラザーズ)や「Roll over Beethoven」(チャック・ベリー)みたいにR&Bの既存曲をカバーしていたじゃないかとか、エリック・クラプトンの「Change the World」は他の作曲家が作ったものだとか、その「定義」にあてはまらない実例を挙げることはできる。

また、ライブでのBABYMETALの歌唱力、ダンスパフォーマンス、神バンドの演奏力は、並みのメタルバンド/ロックバンドの水準をはるかに超えており、メタルというジャンルが長期衰退傾向にある中、KOBAMETALがメタル史にオマージュを捧げ、新たなページを刻もうとする真摯な情熱は、「メタル」としか言えないだろうという反批判も有効だった。

そして、名だたる大物メタルバンドがBABYMETALを強く支持し、擁護することで、「BABYMETALはメタルじゃない」という批判は少数意見となっていった。

しかし少数とはいえ、それは根強く、ある意味アンチBABYMETALの最後の牙城ともいえる論点が「自分たちで作っていない」だったと思う。

それを、広島でぶち破る。

BABYMETALは、今後、SU-をはじめ、メンバー三人が作るオリジナル曲で自分が訴えたいことを表現する、正真正銘のメタルバンドとなっていくのである。

もちろん、アレンジ、ダンスなどは今までと同様、高水準のプロデュースが施されるはずだし、最初のうちは全曲オリジナルというわけではなく、アルバムに数曲オリジナルが入るというところからスタートするのだと思う。

そして実をいえば、これは今までKOBAMETALがやってきたことなのだ。

「BABYMETAL」と「METAL RESISTANCE」の楽曲には、作詞者としてKOBAMETALあるいはK×B×METALというクレジットが入っているものが多数ある。

また、「ヘドバンギャー!!!」「メギツネ」「ギミチョコ」「KARATE」などは7弦ギターでなければ弾けないが、「ドキドキ☆モーニング」、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」、「紅月-アカツキ-」などの初期楽曲は6弦ギターで弾ける。このことから、大学時代にメタルバンドをやっていたKOBAMETALが、これらの曲のコアとなるメロディやサビの原型を作ったのではないかと、前からぼくは推定している。

そのポジションを、少なくともオトナになったSU-が歌詞を担当し、ゆくゆくはメロディを鼻歌の天才MOA、YUIが担うようになっていくのだと思う。

メタルを知り尽くしたKOBAMETALではなく、あの「デロリアン」のSU-、プニプニほっぺのYUI、泣き虫のMOAにそんなことができるのか?

かつて意地悪なインタビューで、色物アイドルBABYMETALは、好きなメタルバンドについて聞かれて「好きなバンドはカンニバルコープスさんDEATH」とか、「スキンヘッドでヘドバンするケリー・キングさんがカッコよくて…」とか答えていた。当時はみんな「言わされてる」「冗談だろう」と思っていたはずだ。

しかし、BABYMETALをナメちゃいけません。

確かに2010年にBABYMETALが結成されたとき、中元すず香は中学1年生の12歳、水野由結、菊地最愛はわずか小学校5年生の11歳だった。当然メタルなど知らなかった。

しかし、仕事に対する三人の生真面目さと情熱を思い出してほしい。

この7年間、三人は、BABYMETALを演じるために、“お父さん”KOBAMETALの推薦する80枚のメタルアルバム、『ヘドバン』の「メタルの100枚」を皮切りに、スラッシュ4天王やジューダスプリースト、アイアンメイデン、パンテラはもちろん、カンニバルコープス、スリップノットからリンプ・ビズキット、HRやオルタナティブの名盤、前座を務めるレッチリ、ガンズ、KORN、STONE SOURといった主要なバンドの音源はすべて聴いて勉強してきた。

そして、実際に国内・海外の名だたる大規模ロックフェスに出演しつつ、他のメタルバンドを見学し、海外ツアーの日程の合間を縫ってライブを観た。

さらには、レディガガ、メタリカを始め大物バンドに帯同して、その生きざまや、楽曲作りからライブまでの仕事のスタイルを吸収した。

その知識と経験の質と量は、そんじょそこらのメタルファンよりはるかに豊かであり、KOBAMETALが20歳の大学生だった頃より明らかに上である。

メタルに生涯を捧げるKOBAMETALの薫陶を受けて、BABYMETALは、ローティーンの頃からメタルの早期英才教育を受けてきたのであり、三人は10代のうちにメタル史とメタル界の現状、現場を誰よりもよく知る立場になっているのである。

さらに、SU-は高校卒業後、何度も語学留学して英語を学んでいる。もうペラペラなのはみなさんご存じだろう。

今や、BABMETALは20歳そこそこにして、これまで培った知識と経験の上に立ち、メタルに新たな表現を創り出すポテンシャルを十二分に持っているといえる。逆に言えば、BABYMETAL以上に知識と経験を積んだ新人バンドが、世界のどこにいるのか?

そして、そのことに気づけば、BABYMETALというプロジェクトの真の目的は、クールジャパンを背景にした「アイドルとメタルの融合」で世界の人気者になることにとどまらず、そのポジションを足掛かりにして、メタル新世紀を創り出せる三人の天才メタルアーティストを生み出すことにあったという壮大なビジョンが得られるだろう。それこそが「世界征服」の真の意味である。

だから、周りに「冗談だろう」とか「中二病じゃないの」と言われながらも、幼い三人が「憧れのバンドはメタリカさんDEATH」、「リンプ・ビズキットのMy Generationがお気に入りDEATH」とか言っていたのは、マジだったのだ。

ひげもじゃで長髪の汗臭いメタラーではなく、Kawaiiあるいは美しい容姿を持った日本人女性三人組が、実はメタル界の全てを知り尽くし、それを刷新する究極のメタルアーティストになるという戦慄。

それが「洗礼の儀」の意味であるとぼくは妄想している。

(つづく)