『なぁ、あの頃のオレ。』青春編 第106話「風呂場から謎の音を響かせたオレ」 | 『なぁ、あの頃のオレ』青春編

『なぁ、あの頃のオレ』青春編

失敗だらけの人生を、
今のオレが昔のオレにツッコむ。

16歳で一人イタリアへ。
気ぃ使いすぎて空回り。

失敗も、勘違いも、だいたい自分発。

全部実話。1話完結。

『なぁ、あの頃のオレ。』連載中。




◆ 夜中の怪奇現象

なぁ、あの頃のオレ。

ある日の夜中。

クマ先輩は、
ぐっすり寝ていた。


部屋は、
真っ暗。


シーン。


……。


その時。


風呂場から。


ピチャ……。


……。


ピチャ……。


……。


ピチャ……。


クマ先輩。


目が覚める。


……。


何?


しばらくすると。


また。


ピチャ……。


ピチャ……。


……。


何か、
おる?


ちょっと、
怖かったらしい。


そらそうや。


夜中。

真っ暗なホテル。


風呂場から、
謎のピチャピチャ音。


クマ先輩。


布団を、
頭からかぶる。


……。


寝よ。


その判断。


正しい。


なぜなら。


その怪奇現象。


正体。


……。


オレ。


『お前かい!!』


◆ 遡ること、数時間前

その日の夜。


オレは、
なかなか寝られへんかった。


目ぇ閉じる。


……。


寝られへん。


寝返り。


……。


寝られへん。


(しゃあない。)


(風呂入って、
リラックスしてから寝よ。)


……。


ええやん。


珍しく、
まともな判断や。


湯船に、
お湯をためる。


ゆっくり、
浸かる。


ふぅ……。


……。


そこで。


何気なく、
腕を動かした。


ブンッ。


……。


ん?


もう一回。


ブンッ。


……。


あれ?


(これ……。)


(胸に、
効いてへん?)


……。


『寝ろ!!』


寝るために、
風呂入ったんやぞ。


何でそこで、
新しい可能性見つけんねん。


もう一回。


ブンッ。


おぉ。


水の抵抗。


胸に、
くる。


(これ、
ええやん。)


(胸筋、
鍛えられるやん。)


『リラックスしに来て
負荷見つけんな!!』


入浴開始、
数分後。


……。


筋トレ。


『目的どこ行った!!』


◆ 何かを見つけたオレ

そもそも。


何で、
胸筋なん?


サッカー留学やぞ。


理由。


(胸筋、
厚い方がカッコええ。)


以上。


『薄っ!!

胸板やなくて
理由が!!』


サッカーに、
必要やから。


ちゃう。


当たり負け、
せぇへんため。


ちゃう。


ただ。


胸板、
厚い。


……。


カッコええ。


それだけ。


『イタリアまで来て
何を仕上げようとしとんねん!!』


でも。


オレには、
十分やった。


水の中で、
腕を動かす。


ブンッ。


胸に、
くる。


もう一回。


ブンッ。


やっぱり、
くる。


(これ、
毎日やろ。)


……。


決断。


早っ。


サッカーのことは、
あんなに迷うくせに。


胸筋は、
即決。


『その決断力
グラウンドで出せ!!』


そして。


夜の風呂場で。


ブンッ。


ブンッ。


ピチャ。


ピチャ。


……。


こうして。


クマ先輩の、
怪奇現象が誕生した。


『誕生さすな!!』


◆ 正体がバレる

次の日。


クマ先輩が、
オレに言ってきた。


「なぁ。」


「昨日の夜中、
目ぇ覚めてんけど。」


「風呂から、
ピチャピチャって
変な音しててん。」


「ちょっと、
怖かってんけど……。」


……。


あ。


オレや。


「あぁ、
それオレです。」


……。


『怪奇現象、
自首した!!』


クマ先輩。


「……お前?」


「はい。」


「何してたん?」


オレ。


「筋トレです!」


……。


『何でちょっと
誇らしげやねん!!』


「筋トレ?」


「はい。」


「風呂で?」


「はい。」


「……何その筋トレ。」


……。


そら、
そうなる。


夜中。


風呂場。


ピチャピチャ。


正体。


後輩。


理由。


筋トレ。


鍛えてる場所。


胸。


目的。


カッコよくなりたい。


……。


『一個分かるたびに
謎増えとるやないか!!』


◆ それでも、やる

普通なら。


先輩から、

「ちょっと、
怖かってんけど……。」

まで言われたら。


(悪かったな。)


(もう、
やめとこ。)


そうなる。


でも。


オレは、
考えた。


……。


(音、
小さくしたらええんちゃう?)


……。


『やめる選択肢
どこ行った!!』


オレが出した、
結論。


問題は。


筋トレでもない。


時間帯でもない。


風呂場でもない。


……。


音量。


『そこだけ
改善すな!!』


そして。


その日の夜。


湯船に、
浸かる。


昨日より、
ちょっと静かに。


ブンッ。


……。


ピチャ。


……。


ブンッ。


……。


ピチャ。


……。


『やっとる!!』


改善した。


……。


音だけ。


『継続するための
改善やったんかい!!』


次の日も、
ピチャ。


また次の日も、
ピチャ。


気づけば。


毎日の、
習慣になっとった。


サッカーでは。


悩む。


迷う。


うまくいかへん。


でも。


風呂場では。


一切、
ブレへん。


先輩を、
怖がらせても。


見直したんは。


……。


音量。


『改善するとこ
そこちゃうねん!!』


◆ まさかの結果

そして。


しばらく経った頃。


鏡を見る。


……。


ん?


胸。


ちょっと、
厚くなってへん?


もう一回、
見る。


……。


(なってる。)


胸筋。


ちょっと、
ついとる。


……。


(おぉ。)


(効いてるやん!)


『成功すな!!』


夜な夜な。


湯船で、
腕を振り回し。


ピチャ。


ピチャ。


先輩を、
怖がらせ。


改善したんは、
音量だけ。


それでも、
続けた結果。


……。


胸筋。


ついた。


『結果出して
どうすんねん!!』


しかも。


これでオレ。


さらに、
のめり込む。


(やっぱり、
これ効くんや。)


『確信すな!!』


誰にも、
教わってへん。


本にも、
載ってへん。


名前すら、
知らん。


あるんは。


湯船。


水。


オレ。


そして。


ピチャピチャ。


……。


『何で成立
してもうてん!!』


◆ 結論

なぁ、
あの頃のオレ。


寝られへんから、
風呂に入った。


目的。


リラックス。


それが。


水の抵抗を、
見つけて。


胸筋に、
目覚めた。


夜中。


ピチャ。


ピチャ。


先輩を、
怖がらせた。


正体が、
バレた。


そして。


オレが出した、
改善策。


……。


音を、
小さくする。


『やめる方ちゃうんかい!!』


それでも、
続けた。


結果。


胸筋まで、
ちょっとついた。


……。


前回。


洗濯が、
上達した。


今回。


胸筋が、
ついた。


……。


なぁオレ。


順調やな。


『サッカー以外が!!』


【一言まとめ】
怪奇現象。
正体、オレ。
目的、胸筋。


【次回】
何回リピートするねん!
って言われたオレ。