なぁ、あの頃のオレ。
サッカーで毎日全力ダッシュしとったやろ。その余ったエネルギー、
なぜか労働に回されとるからな。
誰の判断やねん。
◆ 兄貴の「働く」宣言
始まりは突然やった。
ある日、兄貴が友達と一緒に
新聞配達を始めたんや。
小学校高学年のくせに、
急に「働く」とか言い出して、
何を目指してたんか今でも謎。
ただな、
新聞配達って
早朝が地獄レベルで暗い。
特に冬。
朝5時。
街灯ポツン。
犬の鳴き声だけ。
完全にホラー。
兄貴、
たぶんビビったんやろな。
ある日いきなり、
オレに言うてきた。
「月500円やるから手伝え」
なぁオレ。
その時の顔、覚えとるで。
「500円!?!?!?」
小2の価値観で言うたら、
20億円。
石油王。
人生勝ち組。
理由?
意味?
将来性?
全部どうでもええ。
500円で即契約。
◆ 暗闇が怖い男たちとオレ
しかもな、
問題は兄貴だけやなかった。
一緒に配っとった
兄貴の友達も、
暗闇が怖い。
友達もオレに言う。
「なぁ…今日オレの方ついてきてくれへん?」
気づけばオレ、
早朝の暗闇が怖い小学生男子2名に
取り合いされる存在。
なんやこれ。
どうなっとんねん。
朝5時に
「今日オレの方な!」
「昨日お前やったやろ!」
人生で一番モテた瞬間、
間違いなくここ。
◆ 気づけば一人、残ってた
でもな、
時間って残酷や。
数年経って、
兄貴と友達、
そろって辞めた。
潔すぎる。
で、残されたのが──
オレ。
新聞屋のおっちゃんが言う。
「頼むでオレくん、このまま続けてくれへんか」
気づいたら、
契約更新。
サインしてへん。
同意してへん。
でも継続。
ブラック企業、爆誕。
◆ 小学生、7年勤務
そこからオレ、
小2〜中学卒業まで
新聞配達継続。
7年。
雨の日も、
風の日も、
台風の日も、
雪でチャリ何回もコケた日も。
なぁオレ。
誰が小学生に
こんな責任背負わせたんや。
◆ それでも走るのが好きやった
それでもな、
当時のオレは
しんどいと思ってへんかった。
サッカーも新聞配達も、
オレにとっては
「働く」やなくて
「走る」やった。
ポストに新聞入れる音。
朝焼けの空。
白い息。
気づいたら、
なんか好きになっとった。
月500円は
どう考えても安い。
まぁ途中からはちゃんと
普通の配達代もらえる
ようになったけどな。
最初の500円契約が
すべての始まりやった。
でもな、
オレはここで
「続ける力」
「逃げへん癖」
「自分で動く感覚」
そういうもんを
知らん間に手に入れてた。
◆ 次に欲しくなったもの
走れて、
ボール触れて、
毎日全力。
そうしてオレ、
思い始める。
「これ、もっとやりたい」
走るだけやなくて、
どこかに
ちゃんと属したくなる。
そう。
次は──
部活。
【一言まとめ】
月500円で始まった新聞配達は、
気づけば7年続いてた。
オレは走りながら、
生き方の基礎体力を作ってた。
【次回】
好きだけじゃ通用せえへん世界。
部活という名の、
もう一段深い沼が始まる。









