映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -9ページ目


ショーン・ペンがニュースになった。
ウクライナの短編映画に、報酬1ドルで出演したと言う。


動物たちの目から見た戦争。
どんな作品なのか楽しみ。


それにしても、かつては暴れん坊のオスカー俳優。
格好良すぎるだろ!





かつて阪本順治監督が「王手」で、まるで格闘技のように将棋界の男と男の熱い物語を撮った。
「盤上の向日葵」も、それを彷彿とさせる熱量のあるサスペンス映画だ。
しかし、自分はオープニングから引っ掛かったのだ。


将棋の戦いの演出が過剰なのだ。
主人公に対する、相手のリアクション、見守るその他の驚愕の顔、顔、顔。
これが当たり前のようにラストの瞬間まで続けられる。


男と男の熱いドラマは好きなのだよ。
だが、みんながみんなあまりにも大仰な演技で、ちょっと途中きつかった。
主人公の人生は過酷だ。


駄目な父親の「金をくれ」という、執拗な催促が追い討ちをかける。
容疑者となった主人公への共感は、誰もが持つだろう。
彼は貧しい環境の中で、将棋の才能はずば抜けていたのだから。


彼に大好きな将棋をさせてあげたい。
父親よ、邪魔をするな。
関わる人達も、まるで劇画のように強烈だ。


原作は「狐狼の血」の柚月裕子さん。
社会の裏通りを這いつくばりながら生きる男達。
将棋という勝負の世界に命を預けた者達の希望と絶望。


サスペンス、ミステリーとしての面白さの反面、どうしても役者のキャラの立ち過ぎが気になった。
燃えたぎる演技のラッシュに辟易したのだ。
恐らく、そう思った方も多いのではないか?


ギラギラした男達の真剣勝負。
役者のTHE演技を見せられた我々の置いてきぼり感。
実に勿体ない。








つげ義春さんの漫画は、他とは違う味わいがあってファンも多い。
これまで映画化も、何度もされてきた。
竹中直人監督の「無能の人」や山下敦弘監督の「リアリズムの宿」は、傑作と言っていいでしょう。


他に「ねじ式」や「ゲンセンカン主人」、近年でもかなり攻めてた「雨の中の慾情」があった。
つげ義春さんの漫画を撮るということは、現代に抗うということ。
旅や夢、静謐、決して派手な展開にはならず、淡々と日常の 可笑しさを描く。


「旅と日々」は、「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」を映画化したもの。
「ほんやら洞のべんさん」は読んでいたが、旅先の可笑しさを掬い取った秀逸な作品だ。
雪の山、奥まった民宿での主人とのエピソードを綴る。


特に大きく物語が動くわけでもなく。
主人との語らいや間がユーモラス。
竹中直人さんや柄本明さんが演じそうな主人の役だが、堤真一さんが好演している。


何も起きないからこそ、人と人の空間が大切。
その世界観を損なうことなく、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督がつげ義春ワールドを展開する。
これこそ、つげ義春さんの世界。


映画内映画でヒロインを演じるのは、河合優実さん。
昭和顔でエロティック、つげ義春ワールドにぴったりのキャスティング。
佇まいが、もう漫画から飛び出して来たよう。


映画はロカルノ国際映画祭でグランプリ。
こんなに静かで、雪のしんしんと降る音さえ聞こえてきそうな静寂を映した映画もそうはない。
耳を澄ますことが大事だ。


自分はのんびりした、旅先の自然が大好きなので、また旅に出たいなと思った。
都会の煩わしさから、時には抜け出すことも大事。
現実を忘れさせてくれる貴重な89分。