
エドワード・ヤン監督は7本の映画を残して、59歳で亡くなった台湾の映画監督である。
もう随分前になるが、映画ファンは口々にエドワード・ヤン監督の素晴らしさを自分に語った。
今、日本を代表する監督である濱口竜介監督や深田晃司監督は、彼から影響を受けている。

「恐怖分子」も「 牯嶺町少年殺人事件」も「ヤンヤン夏の思い出」も、後追いで観た。
今回、新宿でついにデビュー作「海辺の一日」が公開され、全ての彼の作品を映画館で味わうことが出来た。
「海辺の一日」は、こちらの想像を遥かに超えて素晴らしかった。

一人の女性の波乱に満ちた人生。
物語は決して突飛なものではないものの、深く余韻の残る作品だ。
彼女の失われた13年間が語られていく。

すれ違いの連続の人生。
厳格な父親への反発と、自ら切り開いた結婚の破綻。
そして運命を決定付ける3年前の海辺の一日。

13年振りに再会した、兄と結婚するはずだった女性。
カフェで語られていく回想。
物語にぐいぐい引き込まれ、主人公の過去に釘付けになった。

エドワード・ヤンの語り口の上手さだろう。
海辺のシーンはサスペンスも孕み、大きなうねりとなった。
壮大なデビュー作である。

当時エドワード・ヤンについて熱く語った映画狂の知人の言葉の意味が、今は分かる。
エドワード・ヤンがどれだけ偉大な監督だったのか。
死から19年、彼の映画は繰り返し映画館で上映され、今も多くのファンを獲得している。