映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -17ページ目



ジム・ジャームッシュ監督がヴェネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。
公開が楽しみでならない。

「遠い山なみの光」


こちらはカンヌ国際映画祭で評価された作品。
謎を2時間ぎりぎりまで引っ張り、巧妙に作られたミステリー。
こういう映画には打ってつけの監督が、「ある男」や「愚行録」の石川慶監督。


戦後間もない長崎が舞台。
運命を狂わされた主人公の過去に、何があったのか?
ある女性とその娘と出会い、過ごした夏。


戦後の貧しい時。
原爆の被害とも重なり、その中を必死で生き抜いた彼らの姿がある。
原作はノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさん。


「日の名残り」や「わたしを離さないで」も映画化され、映画化作品も評価が高い。 
今回は製作総指揮まで兼ね、その本気度が分かる。
謎が明かされるクライマックスのカタルシス。


自分も役者をやったことがあるから分かるが、この主要な役の難しさ。
広瀬すずさんも二階堂ふみさんも、大人になった主人公の吉田羊さんも。
重たい過去を引きずりながら謎めいていて、掴むのが困難な役だ。


それは周りのキャストにも言えてることで、皆それぞれに傷を抱え、生き辛い時代を生きている。
役と向き合うのも大変だったろう。
三浦友和さんと渡辺大知さんの対決シーンは、リハーサルなしの一発撮りだったそう。


緊張感マックスで、後半ボルテージも上がって爆発する凄まじいシーンだ。
鳥肌が立った。
ラストは希望の光が見え、我々の背中をそっと押してくれる。









1979年リリース、松原みきさんの「真夜中のドア~Stay With Me」。
昭和の曲が見直されて、この曲が番組に取り上げられることも多くなった。
大好きな曲。


当時の自分は中学生かな。
アイドルがどんどんデビューする中、大人びたシンガーで、しかもサビのメロディーが強烈に焼き付いた。
「♪Stay With Me 真夜中のドアを叩きーーー」


曲はそれ程のヒット曲にはならなかった。
その後もそれ以上のヒットはなく。
彼女は44歳の若さで亡くなった。


2020年、海外でこの曲が注目された。
日本の音楽が海外で受け、シティポップと呼ばれ、この曲も海外の方が口ずさむようになった。
そして、Adoさん達のカヴァー。


亡くなって20年。
この曲が昭和歌謡番組で流れる度に、ついつい口ずさんでしまう。
松原みきさんの艶やかな歌声と共に、何て美しいメロディーなのだろう、つくづくそう思う。








「マルティネス」
孤独な男を描いた映画は、これまでにも数多くあった。
孤独な男の悲哀は画にもなるし、物語にもし易い。


彼らは不器用なりに自分を見つめ直し、新たに生き方を見つけていく。
「マルティネス」の主人公は60歳で、定年を迎えた。
半年前に 死んでいたことが判明した、隣人の女性アマリア。


彼女が、マルティネスに贈り物を残していたことを知る。
それまで無関心だった彼女に興味を抱いたマルティネスは、既に亡くなったアマリアに好意を募らせていく。
孤独であるからこそ、マルティネスの行動はユーモラスだ。


こういった彼の行動線を見ていると、アキ・カウリスマキやジム・ジャームッシュ監督との共通点を見出せる。
影響も受けているだろう。
ロレーナ・パディージャは、これがデビュー作となる女性監督。


実際インタビューでも、今回の作品はジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」の影響を受けたと語っている。
ジャームッシュやカウリスマキ映画の主人公も、多くは孤独だ。
マルティネスは偏屈で嫌われ者。


彼が少しずつ心を変化させていくのは、よくある映画のパターン。
そこに絡むのは、二人の癖ありの同僚。
マルティネスは簡単には心を開かないが、それでも決意は分かる。


この種類の映画に慣れてる方なら、何も起こらなくても大丈夫。
何かを期待し過ぎると、退屈に映るのかも。
何も起こらないが、孤独な男の静かな決意を観逃すなかれ。