映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -15ページ目


ウェス・アンダーソン監督も追い掛けて来た監督で。
新作「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」。
期待は、さほどしていなかった。


圧倒的な映像美に、徹底した構図。
オールスターキャストで、ユーモアに溢れ。
曲者だらけで、癖になる映画、ファンも多い。


命を狙われる大富豪ザ・ザ・コルダが主人公。
演じるのはベニチオ・デル・トロ。
共に旅をする娘役は、ケイト・ウィンスレットの娘ミア・スレアプレトン。


以前、例えは「ダージリン急行」 や「グランド・ブダペスト・ホテル」等、楽しく観ていた。
奇想天外でも、道を大きく踏み外しても、面白おかしく味わえた。
ウェス・アンダーソンを楽しんでいたのだ。


ところがどうだろう?
ここ最近の作品はどうも乗れない自分がいるのだ。
今回、カンヌ国際映画祭でも絶賛だったと言う。


自分がウェス・アンダーソンを楽しめない体になってしまったのか?
突き抜けた世界観の一人歩きに、置いてきぼり。
ベネディクト・カンバーバッチやスカーレット・ヨハンソンの演技すら薄ら寒く思える程。


これは重症だ。
次回作をどうするか?
観るべきか、やめにするか、これは問題だ。









原田マハさんの小説は好んで読む。
何より、その兄の原田宗典さんが大好きだったので、タイプは違うけれど妹のマハさんにもすっかりハマった。
「キネマの神様」、「奇跡の人」、「まぐだら屋のマリア」、「生きるぼくら」とか。


人間と人間、触れ合い語り合い、心温まり、登場人物も皆、魅力的だ。
「風のマジム」、主演は伊藤沙莉さんだ。
これならハズレはない。


実話を元にした映画。
沖縄のサトウキビからラム酒を造りたいと立ち上がった女性が主人公。
真っ直ぐな物語で、実に原田マハさんらしい作品。


「生きるぼくら」でも、米を作ることで成長していく元引きこもりの青年が主人公だった。
人が人を成長させていくのは、原田マハさんお得意のパターン。
マジムとは真心という意味で、主人公の名前。


マジムは契約社員から、人の助けを借り、人の心を動かし、起業していく。
もちろん現実は甘くないが、信じ、ひたむきに努力する主人公の姿は力をくれる。
それを支える家族の存在もいい。


分かり易いストーリーに厚みをもたらすのは、キャストの力。
家族の高畑淳子さんや富田靖子さん、ラム酒造りに協力する滝藤賢一さんや染谷将太さんのナチュラルな演技が物語を支える。
シンプルな感動作である。


伊藤沙莉さんは日常を演じるのが上手い。
普通の女性を普通に、尚かつ愛らしく演じる。
それで物語を引っ張る、稀有な俳優だと思う。


自分も夢ばかり見て、何度も何度も挫折してきた。
人生終わったなと思うことも多かった。
でも今が1番、そう思える。


私、これをやってみよう、そう思うことが大事。
それを信じて、行動を起こすことが大事。
主人公の笑顔が、周りを幸せにしてくれる。







正直、マリア・シュナイダーのことはよく知らない。
彼女の主演作である「ラストタンゴ・イン・パリ」も観ていない。
問題作であるということ以外は分かってない。


「タンゴの後で」はどうしても観たかった。
あの映画がどう問題だったのかを知りたかったからだ。
あまり評価もされてないし、さほどの話題になっていないにしても。


イタリアの映画監督ベルナルド・ベルトルッチは好きな監督である。
代表作「ラストエンペラー」はもちろん、「暗殺の森」や「殺し」、「シャンドライの恋」、どれもお気に入りだ。
しかし、この「ラストタンゴ・イン・パリ」については詳しくなかった。


暴行シーンについて、事前に知らされていなかったことが問題だった。
脚本に書かれているように、男女の性を描いたラブストーリーであり、ある程度のシーンについてはマリアは承知していた。
だが、暴行はマーロン・ブランドのアドリブであり、ベルトルッチだけがそれを理解していた。


マリア・シュナイダーはそのシーンの撮影後、トラウマに苦しんだ。
薬物依存になり、賞賛と同様に批判の的にもなった。
彼女は最大の被害者であった。


マーロン・ブランドをマット・ディロンが演じるのも興味深かった。
それにしても、これ程までにマーロン・ブランドやベルナルド・ベルトルッチへの憎しみが描かれているとは思わなかった。
マーロン・ブランドと言えば、映画の歴史を変えた名優である。


「ゴッドファーザー」や「波止場」、「欲望という名の電車」、「地獄の黙示録」と、燦然と輝く作品を残した俳優である。
ベルトルッチもまた、大きな足跡を残した名監督である。
今は亡き二人が、これ程怒りの矛先を向けられるとは。


マリア・シュナイダーはその後もトラブルを繰り返しながら女優も続け、58歳に癌で亡くなった。
「ラストタンゴ・イン・パリ」が彼女の人生を狂わせたのは間違いないだろう。
演じるのは、アナマリア・ヴァルトロメイ。


10歳で「ヴィオレッタ」で主演デビュー。
「あのこと」等、問題作に積極的に出演する今期待される女優だ。
マリア・シュナイダーが世間と戦ってから50年、悲劇は二度と繰り返してほしくないものだ。