映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -13ページ目


2008年のアカデミー賞、劇的な戦いを覚えている方も多いだろう。
歴史的大ヒット作「アバター」と、イラクでの爆発物処理部隊を描いた「ハート・ロッカー」。
大方の予想は、当時誰もが観ていた「アバター」だったと思う。


しかし、予想に反して作品賞監督賞等計6部門を受賞したのは、「ハート・ロッカー」だった。
それぞれの監督ジェームズ・キャメロンとキャスリン・ビグローが元夫婦だったことも、盛り上がった要因の1つであった。
キャスリン・ビグローは、「ハート・ロッカー」で成功したドキュメンタリー・タッチをより極めていく。


「ゼロ・ダーク・サーティ」も「デトロイト」も、息詰まる緊迫感漲る映画だ。
キャスリン・ビグロー監督の描きたい世界は、一貫していた。
8年振りの新作も然り。


「ハウス・オブ・ダイナマイト」
アメリカに突如放たれた一発のミサイル。
タイムリミットが迫る中、大統領や政府関係者の混乱がリアルだ。


ミサイルが着弾すれば、シカゴが壊滅する。
着弾までは18分、何が出来るのか?
それぞれの視点で窮地を描く。


今では、核がいつどこで使われてもおかしくない。
他人事でもないし、実際世界でミサイルが飛び交っている。
日本が標的になる可能性だって、十分にあるのだ。


Netflix映画だが、現在劇場で公開中。
キャスリン・ビグロー監督が世界の状況に憂い、警告を鳴らす。
もう遅いのか、無駄なのか、それとも?







今年はショーン・ペンの出演作が3本も公開され、ファンには嬉しい年だ。
特に「ワン・バトル・アフター・アナザー」の怪演に次ぐ怪演。
粘着質の軍人を嬉々として演じている。


これぞ、ショーン・ペン。
過剰の一歩手前で暴走するショーン・ペンが好きだ。
たまに、し過ぎて目も当てられない時もあるが。


「アスファルト・シティ」も、ショーン・ペンがどうしても出たいと重い腰を上げた作品だ。
ハーレムのベテラン救急救命隊員。
バディムービーだが、ショーン・ペンの型破りな役が悲哀を感じさせ、映画をぐっと締める。


リアルで緊張感も半端なく、出演を快諾したショーン・ペンの男気を思わせる1作。
ファンにもお勧めだが、コアな映画ファンにも観てほしい。
「ドライブ・イン・マンハッタン」では、タクシー運転手。


ほとんど二人芝居で、受け重視の難しい役だ。
こんな役を選ぶところも、ショーン・ペンの魅力だ。
気難しさでシリアス一辺倒と思いきや、外す遊び心もある。


「アイ・アム・サム」や「ギター弾きの恋」、「きっとここが帰る場所」を観れば、ショーン・ペンのユーモアセンスが分かるだろう。
じゃなきゃ、ロビン・ライトやマドンナはついて来ない。
ショーン・ペン65歳、まだまだ暴走してほしい。






かつて新しい才能を爆発させた、同世代の映画監督の新作が続く。
ウェス・アンダーソン、スティーヴン・ソダーバーグに続いて、ポール・トーマス・アンダーソンの新作だ。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」


自分が観る限り、彼らの作品の中でズバ抜けて良かった。
主人公は、元革命家で今は落ちぶれている。
彼の娘が、訳あり軍人に執拗に命を狙われる。


もちろん、この追いつ追われつが、映画を面白くしているのは間違いない。
かつての傑作、「ノーカントリー」や「レヴェナント蘇りし者」がそうであったように。
昔から逃走劇は人気で、国土の広いアメリカには打ってつけ。


チャップリンもキートンも、アメリカの西部劇も。
我々はこれまで何度も、逃げる者と追う者のスリルに息を飲んだものだ。
今回は、3人の芸達者が揃い踏み。


娘を救いに行く革命家レオナルド・ディカプリオと、変態軍人ショーン・ペン。
ディカプリオを手助けするのは、空手教室の先生ベニチオ・デル・トロ。
それぞれの駆け引きに笑いあり、ドキドキあり。


ポール・ トーマス・アンダーソン監督は、三大映画祭で多くの賞を獲得した偉大な監督である。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」や「ザ・マスター」、俳優の使い方も上手く、彼らの演技も見所だ。
その監督がアクション映画を撮った。


それはアンダーソン印の特別なアクション映画だ。
魅力的なキャラクターがバトルを繰り広げる特別な空間だ。
メインの3人が3人とも、アンダーソン監督がどんなアクションを撮るのか楽しみで仕方なかったと言う。


普通のアクションを撮らないことを知っていたからだ。
銃撃戦もあるし、カーアクションもある、それでもやはり違う。
父が娘を守るために、もう一度這い上がる愛の映画でもある。


体制と反体制。
親の世代と子の世代。
敵対し、いがみ合いながらも、生々しい人間の可笑しさや愚かさが見えてくる、実に良く出来た映画である。