ケン・ローチ監督、最後にして集大成 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


映画が終わった時、横にいた女性が拍手していた。
映画に対してだろうか?
ケン・ローチ監督に対してだろうか?


「オールド・オーク」
ケン・ローチ監督、90歳、最後の作品。
一貫して、労働者のための映画、弱者のための映画を撮り続けた。


「麦の穂をゆらす風」と「わたしは、ダニエル・ブレイク」で、2度のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。
自分が伝えたいこと、自分に出来ることを可能な限り具現化してきた。
今回は、シリア難民を受け入れたパブの物語。


人種差別や分断、争い、今の問題を映画に盛り込む。
溜まり場だったパブに難民が現れてから、不穏な空気が流れ始める。
問題はエスカレートし、彼らの溝は深まってゆく。


パブは労働者達の溜まり場であり、彼らも決して裕福ではない。
他者を受け入れることの難しさ、相容れない両者をどう和解させるのか、映画はどちらの言い分も掬い取る。
シリア難民は居場所すらないのだ。


「わたしは、ダニエル・ブレイク」、「家族を想うとき」に続く「イギリス北東部3部作」の最終章。
ケン・ローチ監督の正に集大成。
徹底して底辺を描き、その手を最後まで緩めなかった監督に、自分も拍手を送りたい。