ニュー・ジャーマン・シネマの一人、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
比較されるのは、「パリ、テキサス」のヴィム・ヴェンダースや「フィツカラルド」のヴェルナー・ヘルツォーク。
ファスビンダーの 再評価が、留まるところを知らない。
何故これ程までに愛されるのだろう?
本人は、バイセクシャルで破天荒で薬物中毒、相当な異端者であったと言う。
37歳だった。
作品には、70年代にはまだ今ほど寛容ではなかった同性愛や、移民労働者問題に斬り込み、一貫したイズムがあった。
自分が好んで追い掛けている映画監督達が、ファスビンダーからの影響を公言しているのだ。
余計に興味は尽きない。
とにかく素晴らしかった。
愛してはいけない人を愛し、訪れる悲劇。
時代に翻弄され、行き場を失う歌手ビリー。
ファスビンダーのディーバ、ハンナ・シグラの名演により、深く余韻を残す作品となった。
「リリー・マルレーン」でもチャーミングに歌い踊り、危険な愛に突き進む真っ直ぐな女性を演じた。
悲恋は普遍的なものだ。
そこに感動する現代人も多いのかもしれない。
ファスビンダーの残した映画は、今も脈打ち、息衝いている。