救えなかった、あんのこと | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


映画に打ちのめされることが、時々ある。
滅多にあることではないが、事実存在する。
「あんのこと」も、そんな映画だった。


元ネタは2020年6月の新聞記事。
売春や麻薬に染まった21歳の女性。
刑事との出会いを機に、更生への道を歩み出して行くが…。


あまりにも凄絶な彼女の人生の記録である。
こんな女性がいたと言う。
生き直すために必死だった。


麻薬を絶ち、介護の仕事を見つけ、一人で暮らす。
虐待する母親から離れ、自分の人生を取り戻す。
それを社会が邪魔し、コロナが襲った。


ついに自分も先日、初コロナになった。
キックボクシングの仕事も急遽休んだ。
休めない一人体制の仕事だが、さすがにコロナでは。


多少、後遺症もある。
あの時の彼女が喰らったコロナは、如何程のものだったろう?
絶望しても仕方なかったろう。


河合優実さん、いつも凄いが、今回も振り切って目を見張る。
彼女だから出来た体現。
あんという女性に確かな命を与える。


もう一度言うが、打ちのめされるし、腹に堪える重たさである。
それでも、こういう女性がいたことを知ってあげたい。
みんなが救えなかった、あんのことを。