衝撃作や問題作を次々生み出すものの、作品の評価は高い。
稀有な存在だ。
白石監督、初の時代劇。
碁という、決して映画的ではない地味な題材を監督がどう料理するのか、楽しみだった。
和田誠監督が「麻雀放浪記」で、麻雀に絡む人間模様を描いて傑作にしてしまったように。
白石監督なら、囲碁をスペクタクルにしてくれるはず。
「彼女がその名を知らない鳥たち」や「ひとよ」、「狐狼の血」、新作を発表する度に我々の心を抉り続けて来た。
作品のクオリティーは、師である若松孝二監督を遙かに超えたろう。
草彅剛さん演じる浪人を見ていると、白石監督の世界にはあまりお目にかかれない 登場人物。
昔ながらの時代劇ファンには、しっくり来るだろうが。
展開も王道で分かり易く、面食らうかも。
その分、時代劇ドラマや映画で育ったオールドファンの期待には、十分応えてくれる。
囲碁に 馴染みのない方も多いだろう。
亡き父は、自分に囲碁を教えてくれた。
将棋はやれるようになったが、囲碁は理解出来なかった。
学んで指せるようになれば、晩年の父相手に親孝行が出来たかもしれない。
人と人が向かい合う空間が貴重だ。