止められない、止まらない! | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


前作「止められるか、俺たちを」は、若松孝二という映画監督と、その周りのスタッフの熱量と思いが交錯する、紛れもない傑作だった。
1970年代の映画の現場、そして社会、それを知る上でも重要な作品だった。
映画に取り憑かれた者達のエネルギーが、スクリーンから溢れんばかりだった。


「青春ジャック~止められるか、俺たちを2」
、その続編である。
1983年に若松孝二監督が名古屋に作ったミニシアター、シネマスコーレの誕生と、そこに現れた若かりし井上淳一さんと若松孝二監督の出会いの物語だ。
前作が好きだった方は必見!


井上淳一さんが監督脚本を兼任。
何より、怪物のような映画監督若松孝二監督とのエピソードが面白い。
無茶苦茶で呆気にとられもするが、観客目線では笑ってしまう数々の出来事。


実際シネマスコーレはコロナ禍も乗り越え、40年以上続く映画館になった。
映画館通いが趣味の自分は、俄然行きたくなった。
名画座が消えて久しい現在では、貴重な存在だ。


若松孝二監督の助監督だった方達が次々デビューしていく中、自分もかつて若松組だった監督の映画に参加した。
小さい役だったが遊びのある面白い役だった。
だが、内容の過激さ故に上映に到らなかった。


試写会までは順調だったのに。
それ以降、声が掛かることはなかった。
「青春ジャック」を観ていると、映画を追い掛ける者達の気概と、困難がじりじりと伝わってくる。


映画の現場が今よりも熱かった時代。 
無茶で夢中になれた時代。
井上淳一さんは若松孝二監督の背中を見て、念願の映画監督になった。


不器用に闇雲に、それでも映画をどこまでも愛し。
夢中になれるものがあるというのは本当に素晴らしい。
自分にももちろんあったし、今もある。


 過去が眩し過ぎないのがまたいい。