
「クロース」を観ようと思ったのも、ルーカス・ドン監督のデビュー作「ガール」が良かったからである。
先日観た「青いカフタンの仕立て屋」も同様。
マルヤム・トゥザニ監督は、裏切らない気がしたのだ。
13歳の親友レオとレミ。
いつも一緒で兄弟のよう。
繊細で、傷つき易くもある難しい年頃。
仲良過ぎてからかわれる。
これってあるんだね。
俺も同じテニス部の男性と仲良くて、「怪しい」みたいに言われたもんな。
それこそ、彼らのように「付き合ってるの?」って。
からかわれるのが疎ましくて、レオはレミと距離を置く。
お互いぎこちなくなり、衝突する。
そして。
驚いたのは、映画の早い時点で、レオがレミを失うこと。
そこからは、喪失と再生の物語になる。
失うことの辛さを、家族や親友が味わい、逃れられない苦しみにもがく。
是枝裕和監督の「怪物」とも重なった。
「ガール」でも、トランスジェンダーの主人公は置かれてる状況に苦悩し、追い込まれてある決断をする。
衝撃的な内容だったが、主人公の痛みはストレートに伝わった。
今回も、冷たく接したレオの喪失感は、嫌という程伝わる。
カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞。
敏感で、若さ故にどうやり過ごしたら良いか分からない時期。
時が解決するというのは、あまりに安易な慰めだ。
自分も、甘酸っぱいあの頃の自分を俯瞰で見つめた。