シネマート新宿で蘇った1971年のカーアクション映画「バニシング・ポイント」。
実にアメリカン・ニューシネマらしい一作である。
1960年代後半から1970年代半ばにかけて。
ベトナム戦争が泥沼化していたアメリカで、次々と反体制的映画が生まれた。
それまで夢や希望に溢れていたハリウッドで、現実と絶望を見せつけたのだ。
主人公は決して報われることなく、悲惨な末路を迎える。
自分も大いに影響を受けた。
バタバタと足掻く主人公達に共感したのだ。
「俺たちに明日はない」や「卒業」、「真夜中のカーボーイ」、「イージー・ライダー」、「明日に向って撃て!」、数々の傑作が誕生した。
「バニシング・ポイント」は、白のチャレンジャーで暴走する元レーサーの逃走劇。
警察に追われ、ひたすら疾走する男の話だ。
反体制を絵に描いたような主人公。
警察官だった過去もあり、体制に不満を持ち、追跡を逃れていく。
世間を巻き込んで追い詰められていく彼の姿は、今見ても色褪せない。
時代も移り、日本で生きる我々。
あの頃と比べて、今は希望はあるのだろうか?
走るのか、それとも止まって諦めるのか、あなたはどっちだ?
