
「カメラを止めるな!」の大ヒット大ブームから、もう5年くらい経つ。
あの映画は、多くの無名の俳優や無名の映画監督達に夢を与えた。
第2の「カメ止め」を狙って、売れない者達が表舞台に立とうと希望を持った。
奇跡的に起こった「カメ止め」ブームは正に奇跡で、その後いわゆるインディーズ映画の大ヒットは叶ってない。
みんな頑張ってはいるし、予算がない中工夫を 凝らしてはいるものの、容易なことではないのだ。
特に日本では、無名の者が表に出るチャンスは極端に少ない。
だからこそ、こんなことがあるのかと驚きもしたし、そのインディー魂に感動もした。
自分の知り合いの俳優も出演していたし、売れない者達の爆発に興奮もした。
苦しんだ彼らの長い道のりと、ほんの僅かな報われた思いが、スクリーンから伝わってきた。
映画もドラマも、日本には無名の者に与えられるオーディションがない。
あるのは大手のプロダクションにのみ与えられる出演権。
無名の者達は自腹を切ってワークショップを受け、監督の目に止まりたいとばかりに映画学校に出掛け、舞台で誰かに認められないかとやはりノルマありの演技に託し、多くはないチャンスに望みを繋ぐ。
その爆発が「カメラを止めるな!」の社会現象だった。
そしてまた改めて驚いたのが、その映画をリメイクしたのが、「アーティスト」でアカデミー賞を受賞したフランスのミシェル・アザナヴィシウス監督であり、主演がフランスの俳優ロマン・デュリスとベレニス・ベジョだったことだ。
「キャメラを止めるな!」
観ないわけにはいかない。
オリジナルに忠実に作られており、印象は変わらない。
上田慎一郎さんのプロットは抜群に面白く、脚本もよく出来ている。
ゾンビ映画を通して家族がひとつになり、笑えてもちろん感動もある。
だが、皆さん同じことを思うはずだ。
あのインディー魂こそが、「カメラを止めるな!」 そのままだと。
面白いのは間違いないのだが、あの爆発には到底及ばないのだ。
ついついオリジナルを思い出してしまうのだ。
そして、あの作品の偉大さを痛感することになる。
もう一度「カメラを止めるな!」を味わいたくなる。
彼らは皆、どうしているのか?
売れない俳優に戻ったのか?
それとも、ひとつ上のステージで気を吐いているのか?
「カメラを止めるな!」は埋もれてる者達を代弁して、目一杯叫んでくれた。