ホラー愛、映画愛大爆発! | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


新年の1月や2月は、前年に観ることが出来なかった映画を映画館で観るチャンス。
ラスト・チャンスの可能性もある。
昔雑誌ぴあがまだ存在した頃、ブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」を多くの人たちが絶賛していたので、名画座にすぐ観に行った。
まだ未見の傑作を観られる喜びを知ったのだ。


そんな映画が毎年のようにある。
今観なければ、今観るべき映画が。
評価も高く、ロングラン・ヒットしているのが、イギリス映画「ラストナイト・イン・ソーホー」。
去年12月から上映され、キネマ旬報でも堂々の第6位だ。


映画好きの知人もオススメしていたし、去年公開された「マリグナント」との類似も指摘していた。
監督は常に映画への溢れる想いをスクリーンいっぱいに見せてくれるエドガー・ライト。
今回の映画への愛、特にホラー作品へのオマージュは畳み掛けが凄い。


ようやく観ることが叶った「ラストナイト・イン・ソーホー」。
自分も大好きなホラー映画の名作が思い出される。
ブライアン・デ・パルマの「キャリー」や「殺しのドレス」。
ダリオ・アルジェントの「サスペリア」。


ロマン・ポランスキーの「反撥」やニコラス・ローグの「赤い影」にも影響を受けていると言う。
:60年代ファッションや「恋のダウンタウン」、「愛なき世界」といった60年代の名曲を散りばめ、エドガー・ライトの趣味的世界がほとばしる。


主演は「ジョジョ・ラビット」で強烈な印象を残したトーマシン・マッケンジー。
ダンス・シーンを見ていると、ついつい「ジョジョ・ラビット」のラストでデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」が流れる中を踊るシーンを思い出す。
彼女、若い頃のジョディ・フォスターにどこか似ている。


主人公が60年代の悪夢を見る、そこで生きるサンディは「ウィッチ」や「スプリット」のアニャ・テイラー・ジョイ。
存在感抜群で、この役は彼女しかいない、と思える程。


ミステリアスなバーの客役で、テレンス・スタンプが出演しているのも嬉しい。
そしてこの映画、謎が明かされていくのだが、とても切ないのだ。
華やかな世界に飛び込んだサンディ。
歌にダンスにと思いを馳せ、しかし簡単には報われぬ世界。
切なくも、ホラー愛に溢れたクライマックスが待っている。
ホラー映画ファンの自分は唸りに唸った。
映画ファンで良かったと、つくづく思うのだった。


エドガー・ライトに影響を与えたブライアン・デ・パルマとダリオ・アルジェントについては、こちら!