黒澤明が選んだ30本 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


本「黒澤明が選んだ100本の映画」の中から、自分が独断で30本を選び、黒澤明監督の魅力について勝手に語ってみたいと思う。


喜劇の難しさを本の中で語っている黒澤監督。

チャップリンと北野武監督を重ねているから、よっぽど北野武さんのことを評価していたのだと思う。

自分にはない才能がチャップリンにも武さんにもあるのだと。


・「黄金狂時代」チャールズ・チャップリン

・「モロッコ」ジョセフ・フォン・スタンバーグ



・「大いなる幻影」ジャン・ルノワール

・「自転車泥棒」ヴィットリオ・デ・シーカ

・「第三の男」キャロル・リード

・「嘆きのテレーズ」マルセル・カルネ

・「ゴジラ」本多猪四郎


本多猪四郎監督とは親友だったと言う。

怪獣映画を多く撮った監督だが、メッセージ性もあり、黒澤監督の心にも引っ掛かるものがあったのだろう。

「ゴジラ」の持つ特撮の素晴らしさに、監督もきっと嫉妬したに違いない。


・「道」フェデリコ・フェリーニ

・「大人は判ってくれない」フランソワ・トリュフォー


黒澤監督はイタリアのネオレアリズモも、フランスのヌーヴェルバーグも、アメリカのニューシネマも、よく観ているし、研究もしている。
「勝手にしやがれ」は、映画においての様々な概念を覆し、勉強になったと語っている。
若い監督達が黒澤監督から学んで登場したように、黒澤監督も若い勢いのある監督達を否定せず、吸収し、学んでいたのだ。

・「勝手にしやがれ」ジャン・リュック・ゴダール

・「かくも長き不在」アンリ・コルピ



反戦映画の描き方のお手本、と「かくも長き不在」を語った黒澤監督。
黒澤監督は女性の描き方が苦手と言われていたが、この映画のアリダ・ヴァリは凄くいい。
アンリ・コルピの繊細な演出が光る一作だ。
「八月の狂詩曲」は黒澤監督が晩年にどうしても描きたかった反戦映画である。

・「太陽がいっぱい」ルネ・クレマン

・「アラビアのロレンス」デヴィッド・リーン


「七人の侍」であれだけのパワフルな演出をした黒澤監督が、この「アラビアのロレンス」には驚いたと言う。

あの砂漠でどうやって撮ったのか?と。

デヴィッド・リーンはパワフルな人だったと実際に会った黒澤監督は言う。

パワフルな黒澤監督が言うくらいだから、相当なパワーだったんだろう。


・「鳥」アルフレッド・ヒッチコック

・「俺たちに明日はない」アーサー・ペン

・「真夜中のカーボーイ」ジョン・シュレシンジャー


ニユーシネマは新たな俳優の発掘にもなり、新たな監督の発掘にも繋がったと語る。

確かにあの頃華々しく登場した監督や俳優は今も生き残り、数々の名作を残した。

黒澤監督は新しい風を好んだのである。


・「ゴッドファーザーPARTⅡ」フランシス・フォード・コッポラ

・「カッコーの巣の上で」ミロス・フォアマン

・「旅芸人の記録」テオ・アンゲロプロス


当時現存する映画監督の中で、最も尊敬の念を抱いていたのが、ギリシャのテオ・アンゲロプロスだったというのが興味深い。

大人の映画を撮る人だと言うのだ。

一時期映画を撮れなかった黒澤監督がこうした成熟した映画を撮りたいと願っていたことは、想像に難くない。


・「アニー・ホール」ウディ・アレン

・「グロリア」ジョン・カサヴェテス



カサヴェテスのことも黒澤監督はデビュー作「アメリカの影」から評価していた。
この「グロリア」を観て、あの「アメリカの影」の監督がこれを撮ったのかと嬉しく思ったのは有名な話。
それにしても黒澤監督は本当に他人の声を聞き、世界中の映画を観て学んだストイックな人だったのだなと、つくづく。

・「フィツカラルド」ヴェルナー・ヘルツォーク



実際に船を山越えさせたフィツカラルドの人生を映画化し、本当に船を山越えさせてしまったヘルツォーク。
クレイジーなヘルツォーク監督とクレイジーな俳優クラウス・キンスキーの奇跡が生まれた本作。
やはり映画のためには何でもやった黒澤監督がこの映画を愛したことは頷ける。

・「ストレンジャー・ザン・パラダイス」ジム・ジャームッシュ


黒澤監督はジャームッシュの才能にも惚れ込んでいた。

お金を使わなくても良い映画が撮れることに感動したのだ。

自分の作品とは真逆の映画でも、これだけ絶賛するのだから、黒澤監督はピュアな人だなと思う。


・「パリ、テキサス」ヴィム・ヴェンダース

・「友だちのうちはどこ?」アッバス・キアロスタミ



・「バグダッド・カフェ」パーシー・アドロン

・「八月の鯨」リンゼイ・アンダーソン

・「となりのトトロ」宮崎駿


宮崎駿監督の映画も網羅していた黒澤監督。
「魔女の宅急便」では泣いたと言う。
老いても尚、いいものはいいと理解を示す柔軟な人であったのだ。

・「HANA-BI」北野武


この本には、黒澤明監督の映画への愛情が詰まっている。

黒澤明監督の作品同様、今も光輝く作品ばかりだ。