蝿になる | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「クラッシュ」は今年シネマート新宿で観たばかりだったので、「ザ・フライ」のみ。
早稲田松竹、デヴィッド・クローネンバーグ特集である。
知らない人は全く通って来ていないでしょうが、クローネンバーグは世界観まる出しのカナダのマニアックな映画監督。


「ザ・フライ」は分かり易く言うと、実験を繰り返す科学者が実験に失敗して蝿男になってしまう悲劇と、彼を愛してしまった女性の 悲劇である。
それをクローネンバーグらしさ全開で、グロテスクな映像が矢継ぎ早に続く。


主演のジェフ・ゴールドプラムの怪演も凄まじいが、その人を愛して戸惑うジーナ・デイヴィスのリアクションも素晴らしい。
どんな変わり果てた姿になっても、やはり愛していたのだなと思わせるその微妙な匙加減が良いのだ。


クローネンバーグの映画はオンリーワン、決して誰も真似の出来ない作品。
ぶっ飛んでいたり難解だったり、テクノロジーを駆使した作品も多いが、その中で人間の愚かさが浮き彫りになる演出が見事。
彼の映画もハマると脱け出せない。
「何だ、これは!」
芸術が爆発しまくってるのである。