終わらない伝説テレンス・マリック | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


今年の一本目!
豪華キャストを揃えたテレンス・マリックの新作「ソング・トゥ・ソング」。
生ける伝説と呼ばれる映像詩人がテレンス・マリックだ。


スタイルはデビューの「地獄の逃避行」から全く変わらない。
自然光と大自然を美しく切り取り、物語はあるようでない。
退屈と言えばそう、芸術性が高いと言えばそう。
鳥が羽ばたき、水が煌めき、人間関係は縺れる。


当時20年振りに監督した「シン・レッド・ライン」ではベルリン国際映画祭金熊賞、「ツリー・オブ・ライフ」でカンヌ国際映画祭パルムドール、他に「天国の日々」や「聖杯たちの騎士」等、寡作ながら作品の評価は高い。
そのオリジナルな世界観は誰も真似出来ない。


今作に集まったキャストが凄い。
ライアン・ゴズリングにマイケル・ファスベンダー、ルーニー・マーラ、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、ホリー・ハンター、ミュージシャンのイギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。
音楽フェスの映像も本物だ。


撮影はアカデミー賞3年連続受賞という驚異の記録を作った、「レヴェナント 蘇えりし者」「ゼロ・グラビティ」のエマニュエル・ルベツキ。
テレンス・マリックとのコラボは有名だが、ルベツキの捉える光はあまりにも美しい。


人間の成功、野望、愛、堕落。
彼らは金も名誉も手に入れたが、鳥のようには自由ではない。
水のように流れることもない。
彼らには限界があり、挫折があり、失望がある。


テレンス・マリックの伝説は終わらない。
物語はあった方がいいし、物語に感動したいが、最後の二人の選んだ選択に心を掴まれたのも事実。
これぞ、テレンス・マリックの映像マジックだ!