息子は加害者か被害者か? | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


堤幸彦監督の映画を観るのは、本当に久し振りである。
今回の「望み」は観たい、と思った。
観るべき、だと思った。
それは正しかった。


この「望み」とは、自分の息子が殺人の加害者と疑われ、行方不明となり、もしかしたら被害者かもしれないという憶測もあり、どちらなのか?という究極の状況に追い込まれた家族の物語である。
母親は例え加害者でも生きててほしいと願い、父親は息子が加害者であってほしくない、息子を信じたいと願う。
そこには死の影が漂うが。


このジリジリとした状況下で、家族はマスコミに追われ、警察に対処し、逃れられない苦しい日々と向き合う。
それを見つめる我々もまた、苦しい閉塞感を味わう。


これは原作と脚本の力と、演出とキャストの迫真の演技が上手く噛み合った傑作である。
重たくて観るのもしんどいが、それでもこの最悪の状況に置かれた家族の闘いを、真摯に描いた一級のサスペンス映画であることに異論はない。


自分には子供はいないけれども、もし自分の大切な誰かがこうなったらどうしますか?と問い掛けられてるような気分になる。
あなたなら何を思う?


愛するが故に息子を信じる父と、愛するが故に生きててほしいと願う母と。
どちらにしても苦しい。
しかし明日は我が身。
明日のことなんて誰にも分からないのだ。