究極のファンタジー | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」の凄まじさが全身にこびりつき、幾日も抜けない。
あの時代のパワー、人間のパワー。
興味を持ったなら是非劇場へ、と言いにくい今日この頃だが、映画館が今満席になるなんてないのでね、マスクしてケアして是非その目で確かめてほしいんだな。


今日紹介するのは三島由紀夫ではなく、韓国の芸術家キム・ギドクの新作「人間の時間」。
これはギドクのこれまでを知ってる方なら分かると思うが、賛否両論。
自分は今一つだった。


「パラサイト 半地下の家族」で絶賛されたポン・ジュノは昔から好きな監督で。
ポン・ジュノは「殺人の追憶」にしても「母なる証明」にしても、物語を伝える力がずば抜けてるんだね。
ずしりと腹に来る重たい物語を、決して難解にでなく分かり易く伝え、人に感動させる力がある。


かの岡本太郎氏は芸術は爆発だと言った。
上手くあってはならない、綺麗であってはならない、心地よくあってはならないと。
ギドク監督の映画は難解ではないが、爆発してるんだね、絶対に心地よくないし。
破綻してたり暴走してたり、ぶっ飛んで変だったり、でも癖にはなる。
好きな人は次々追い掛けたくなるんだね。


最初に「何これ?」って拒絶反応したら、もう受け付けないと思う。
自分は「うつせみ」とか「サマリア」とかまあ、好きではあったんだけどね、でも無茶苦茶だなーと、映画の常識を破る表現に楽しみながらも疑問も感じてた。
だけど「嘆きのピエタ」で大好きになったね。


前作の「The NET~網に囚われた男」も良かったしね。
そこで今回の「人間の時間」だ。
日本でも人気のチャン・グンソクが究極の状況で人肉を食いまくる衝撃の作品だ。


追い込まれた人間達の極限の欲望を描いたへヴィーな映像。
ギドクはこういうものを毎回差し出す。
そして三大映画祭や世界で賞賛される。
今回は俺もお腹いっぱい、ちょっと破綻し過ぎてついていけなかった。
チャン・グンソクのファンは観ないように!