三島由紀夫、生きる!!! | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


三島由紀夫ほど挑発する作家はいない。
作家の枠を超え、行動を起こし、周囲を巻き込んだ。
あの日、東大で何が起きていたのか?


貴重な歴史の1ページを目撃出来るのが、ドキュメンタリー映画「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」である。
始まりは東大生からの一本の電話だ。


東大駒場キャンパス900番教室に、真逆の思想を持つ三島由紀夫を呼んだのだ。
単身乗り込んだ三島の前には、1000人を超える東大全共闘の若者達が待ち受けていた。
1969年5月13日午後2時5分、伝説の討論が幕を開けたのだった。


その熱量の凄まじさ。
言葉の激しい応酬は、正直8割何を言ってるか分からない。
理解が追いつかないのだ。
言葉のプロである三島由紀夫と、頭脳明晰で三島を論破しようとする東大全共闘の若者達から繰り出される熱の籠った言葉。


それは現代の腑抜けた時代に慣れた自分には、羨ましくさえあった。
彼らはその言葉で、世界と戦っているのだ。
特に現在の姿も映される、前衛劇団を主宰しているという芥正彦氏には釘付けになる。


この1年半後には割腹自殺を遂げる三島由紀夫。
彼を突き動かしていたものは何だったのか?
しかし、この映画での彼は言葉を使って1000人に斬り込んでいく、とても男臭く魅力的な人物だ。
過剰過ぎるエネルギーは間違った方向に向かったかもしれないが、世の中を変えようと人が本気で立ち上がった時代でもあったのだ。
彼らの「生」を強烈に感じた。