あの父親だから今の私が… | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


全米でベストセラーとなったジャネット・ウォールズの自叙伝「The Glass Castle」の映画化「ガラスの城の約束」。
自由奔放で型破りな両親に育てられた女性の自立を描いた、感動作だ。


主人公は「ルーム」でアカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソン。
彼女がブレイクするきっかけになった作品は「ショート・ターム」だが、そのデスティン・ダニエル・クレットン監督と再び組むことになった。


アル中で暴れん坊の父親を演じるのは「スリー・ビルボード」での名演が記憶に新しいウディ・ハレルソン。
無茶苦茶だが実は愛情深い父親を繊細に演じている。


ウディ・ハレルソン同様アカデミー賞ノミネート経験のあるナオミ・ワッツが、こちらも負けじと自由な母親を演じている。


この父親ほどではなかったが、うちの父親も十分に面倒臭い人であった。
態度がコロコロ変わって周りをぶんぶんと振り回すのも、映画の父親に近い。 


映画では、ガラスの家を建てると子供達と約束して、いつも設計図とにらめっこする父親であったが、ちっとも実現しない。
うちもボロボロの家で、中学とか高校は特に色気も出て恥ずかしく、父は家の建て替えを計画し、それこそ設計図を部屋で日々広げていたが、結局実現しなかった。


事業の失敗と、ねずみ講とかやったり借金を重ね、そのボロボロの家にもいられなくなった。
映画では主人公が自分の生き方を見つけ、家を飛び出すが、それでも親の影響からは逃れられないことが分かる。
衝突を繰り返してもそれが出来損ないでも、家族は家族なのだ。


普通とは違ったけど楽しかったのだ。

自分も家を出てから二度と親とは暮らさなかったが、あの親だったから良かったのだなと今は思う。